ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年04月

オークションで手に入れた1980年代の天文ガイド60冊を一気に読み続けているのですが (その1) (その2)、一番面白いのは「どくしゃサロン」というお便りコーナーです。今見るととても興味深いので紹介します。1982年5月号の投稿で、ほぼ原文そのままです。

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来、天文界が電子化すると...。まずアイピースの代わりにCCD(電荷結合素子といって、光を電気信号にかえる半導体)をつける。CCDによりCRT(ブラウン管TV)に写し出され、多勢で観測ができる。また、写真よりも解像度さえ高くなれば、野や山でも簡単にハードコピーがとれる。さらにインターフェースを介して光ファイバーによるキャプテンシステム、あるいは無線を通し、どこへでも同時に送画できる。そのため、各地の天文台は週末になると、アマチュア天文家にCRTによる天体観測サービス業務を開始する。また、都会の天文家で、週末に郊外の観測所に出かけていた人たちは、毎日自宅でマニュピュレーターで、遠隔操作で観測ができるようになる。
 天体望遠鏡は、音声で星座名を入力すると、内臓のマイコンが計算して、自動的に視野の中へ入れてくれる、慣性航行装置を応用したデバイスも組み込まれているので、極軸合わせも不要。もちろん公転、自転も自動追尾。おまけに音声合成装置もあるため、機械のブンザイで生意気なことを言うんです。”ネェ、天体観測しようよ〜”」(赤字は私が入れました。けっこう死語に近いですが、意味は何となくわかると思います。)

東京都の19歳の男性からのお便りですが、未来予測の的中率が凄すぎです。驚くべきことに、35年前それこそ夢の技術だったことが、ほぼ完全に実現されています。しかも個人レベルでできてしまっています。
  • CCDは本当に動画でその当時の写真撮影性能に迫る性能が出始めている。
  • CRTはスマホやタブレットで持ち歩きさえできる。
  • ハードコピーにいたっては印刷する必要さえなくなってきている。
  • 光ファイバーによるキャプテンシステム(流石に今の人は知らないか)はインターネットとWeb。
  • 無線は携帯やWi-Fiなど。
  • マニュピュレーターは今まさに取り組んでいるリモートでの操作
  • マイコンが計算して自動的に視野の中へ、赤道儀単体の自動導入でさえも当然入れてくれます。
  • 慣性航行装置を応用したデバイスは電子極望でしょうか?完全自動化とまではいきませんが、かなり楽です。
  • 音声合成装置も特別なデバイス無しで普通のコンピュータがしゃべります。Siriなんかももっと気の利いたこと言ってくれます。
鉄腕アトムは実現出ませんでしたし、Back to the Futureのホバーボードは大企業が総力を挙げてかなりの制限付きでやっと一台実現できたくらいですが、天文に関しては、今、我々は夢の未来の国に生きているんです!



もう一通紹介します。同じく1982年5月号です。60冊近く読んでこの号の2通が一番面白かったです。

人になったら、ドームの中で望遠鏡を操作する天文学者になりたいという夢を持っていました。その頃の星空の美しさは、今とは比較にならないほど多くの星が宝石のように輝いていました。やがて6cmの望遠鏡を買って、ガイドブックをたよりに探した天体に感激したものでした。子供の頃の記憶では、闇と思われる夜、6cmではどんなに目を凝らしても見えなかった天体が、やがて15cmになると簡単によりすばらしい世界が広がったことにまた感激。
 一通りの天体を見てしまい、幻滅する明るい空と、美化された記憶との差で天体というものに興味がうすれかかった時、XX星の会の会員として、市内の児童会館の15cm望遠鏡の定例の一般公開に参加して、新しい人生を発見しました。観測派パワーで、教える立場になり、天文学者とまではいきませんが、15cm屈折を操作できるようになったのです。昔、星を見た時の感動を明るい夜空で今の子供たちに、どの天体はどのように見える伝えるか只今計画中。」
群馬県、XXXX、


















二十一歳。


えっ、てっきり定年を迎えられたような60歳くらいの方の文章かと思いました。当時の人たちむちゃくちゃ若いです。30代は年寄り扱いのような雰囲気です。でもこの方も今は56歳のはず。今の2017年にこの文章が出てきたらすごく納得できるのかもしれません。


とにかく、読者投稿は当時の若い人たちの熱気が伝わってくるような文書ばかりです。いまはインターネットがあるので、blogやSNSやなどコミュニュケーションを取る手段はたくさんあるのですが、当時の、機材もまだまだ不十分で、未来に夢があった時代の、あの熱い雰囲気はその時にしか味わえないものなのでしょう。私も若い頃に星の世界に突っ込んでいたかったです。


他にも広告を見ていると面白いことがわかります。

赤道儀が単体で販売されるようになったのは意外に後の方で、それまでは基本的には鏡筒とセット販売が主流だったようです。それに気づいたのは1986年当時の号を読んでいた時で、例えばタカハシのFC-100でTS-90仕様とか、EM-1仕様とか、同じ機種で違う赤道儀にできるくらいで、それでもまだセット販売が基本のようです。もちろんその前からも赤道儀単体の販売もあったようですが、主流はあくまでセット販売のようです。何故こんなことを思ったかというと、1985年のVixenのマイコン・スカイセンサー2型をつかったマイコン付き赤道儀セットの広告を見たときで、そこの謳い文句に「万能プレート仕様で、他社鏡筒にも対応。」と出ていたからです。この当時でやっと赤道儀の汎用性やクランプ規格の共通化を模索し出したということでしょうか。ちょっと調べてみたのですが、いまのアリガタアリミゾが出たのがどれくらいの時期なかよくわかりませんでした。少なくともまだこの時は万能プレートと言っているだけなので、まだアリガタアリミゾではないと思います。コンピュータと同じで、規格の統一という歴史がこの分野でもあったのだと思わされました。


あと、意外なことに新製品のレポートのようなものが雑誌の記事としてはほとんどありません。広告を見て初めてわかるような感じです。よっぽど人気の出そうなものは少し記事がありますが、新製品のあまりのラッシュで紹介記事を書くのが難しいような印象を受けました。(追記: 後日臨時増刊を読んで、もう少し前の70年代までは製品レポートが熱心に連載されていたとわかりました。)

60冊あったのもあと残り僅か数冊。80年代後半はかなり飛び飛びなので、また機会があったら抜けている号も手に入れたいです。コメントで教えてもらった臨時増刊号も面白そうなので、いつか読んでみたいです。(追記: 20174/15の土曜日、星を見ていたら近所のKさんが早速貸してくれました。Kさんどうもありがとうございました。)

4月13日の夜、まだ平日なのですが、晴れ渡っていたので色々試しました。ただし満月直後なので、23時頃までです。ASCOMの便利さがわかってきました。


BackYard EOS単体で:
BackYard EOSでもASCOM経由で赤道儀と接続できるので、ライブ映像を見ながら位置を調整できます。今回初めて気づきました。特に自宅などからリモートデスクトップで操作している時に便利です。その場に行ってAdvanced VXのコントローラーにさわる必要がなくなります。写真を見るとわかりますが、BackYard EOS上に赤道儀の方向指示コントローラーが表示されます。

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Stellarium単体で:
これは以前書いたことですが、ASCOM経由で赤道儀をコントロールして、Stellariumで見たい天体を指定すると自動導入してくれます。位置の微調整はできますが、遅いです。


Cartes du Ciel単体で:
これも以前書きましたが、こちらでもASCOM経由で赤道儀をコントロールして、天体を指定すると自動導入してくれます。位置の微調整ができ、速度も変更できるので、Cartes du Cielの位置と実際の撮影した画像の位置がズレていても素早く直すことができます。


AstroTortilaとBackYard EOSとCartes du Cielを組み合わせて:
今回これが書きたかったのです。AstroTortilalでASCOM経由で赤道儀とつなぎ、さらにCartes du CielでもASCOM経由で赤道儀とつないでおきます。AstroTortilalで画像の入力先をBackYard EOSにしておいて、解析をスタートすると、ものの1分くらいで解析が終了し、その時の撮影した画像から特定した位置をCartes du Ciel上に表示し、さらにAVXの位置情報とのズレをAVX側にフィードバックして、ズレを無くしてくれますこれは結構すごい!その際BackYard EOSのsettingでserverにセットするのを忘れないでください(設定を変えると一度BackYard EOSを再起動しないとAstroTortillaから認識されません)。 

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特にリモートデスクトップで遠隔操作しているとそのありがたみがわかります。離れたところから細かい調整までできるような感覚です。位置決めで何度も何度も試し撮りする必要がなくなるので、すごく楽です。


上の操作ができるようになった理由の一つが、新たに導入したサンワサプライ製のUSBハブUSB-HAC402BKにあります。現在リモート接続用に使っているStick PCにはUSBポートが2つしかついていないので、USBハブを使う必要があります。このハブはUSB3.0とUSB2.0を同時に繋いでも、USB3.0の速度が落ちないことを保証してくれているハブです。AS224MCをUSB3.0でEOS 60DとASCOM経由のAdvanced VXをUSB2.0で繋いで、何の問題もなく動かすことができました。簡単そうなことなのですが、これができないハブの方が多いと思います。少なくとも私が試した中では唯一このハブが実戦レベルで使うことができました。


2017/11/24 追記: Windows 10 Creator updateでアップデートしたらAstoroTortillaが使えなくなりました。症状と対処法はこちら。 

手に入れた80年代の天文ガイドの60冊のうちのやっと3分の2くらいを読み終えました。その中で面白かった記事を少し紹介します。



CCD

1984年10月号にCCDの特集がありました。そのときカラーページに乗っていた写真が以下のものです。

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もちろん今のCCDとは比べるまでもありませんが、記事を書いた方が当時の宇宙科学研究所の方なので、その当時の研究レベルでも最高に近いものだっただろうことが記事を読んでいるとわかります。今で言う「画素」のことを「絵素」と呼んでいたりしているのも違うところです。384x490絵素を256~1024段階で記録というので、19万画素を8bitから10bitで記録していることになります。でも写真を見る限り、各色8bitとも思えないのですが、もしかしたらデータの方は8-10bitで取っていても当時のモニター状況を考えると表示の色のほうが追いついていなかったのかもしれません。データストレージは900キロバイトの半導体メモリとフロッピー2台になんとハードディスク1台を備えていたそうです。1984年なので相当豪華な部類です。それでもここから見ると、CCDは30年間ですごい進歩を遂げたことになります。コンピュータの進化によるところも大きいでしょう。現在はリアルタイム動画で星雲に色をつけることがやっとできるくらいになりました。今のCCDがさらに進化するとどうなるのでしょうか?どんどん感度が良くなって、今やっている電視みたいなのももっとすごいリアルタイムで綺麗に見えるように成るのでしょうか?今から30年後が楽しみになってきます。



84年7月号質問コーナー

「ちかいうちに銀河系の中で、超新星の爆発は見られるでしょうか?」 

という質問があったのですが、その答えが「私たちはケプラー以来久しぶりの超新星爆発を目の当たりにする幸運にめぐまれるかもしれない。しかしもう少しというのは10万年くらい先のこともありうる。」

とありました。これからわずか3年も経たないうちに、すぐ隣の大マゼラン星雲で超新星爆発が起きたのです。この超新星爆発によるニュートリノ検出で日本はノーベル物理学賞を受賞しました。我々の銀河ではありませんが、近傍の銀河で超新星爆発が起こるのは数百年に一度程度と言われているので非常に珍しい現象です。この質問コーナーでの答えが見事に当たったことになります。



84年11月号: 流星会議

昨年出席させていただいた流星会議の記事がありました。84年の記事ですが、タイトルは「若い人の集まった流星会議」だそうです。その中に年齢が具体的に書いてありました。10代が62人、20代が88人、平均年齢22.8+/-7.8歳だそうです。私が出席したのはこの記事から32年後の流星会議になります。平均年齢は何歳位になったのでしょうか?まさかそのまま22+32で55歳ということはないですが、私は今40代でおそらく出席者の中では若い方でした。それでも学生も何人かいました。確かに他の娯楽もたくさんあるので、星以外に興味が行くのもわかりますが、それにしても今の天文に若い人にアピールする魅力は無くなってきているのでしょうか?観望会をやると目を輝かせながら星を見ている子供が多いのが救いです。



連載

80年代初頭から80年代半ばにかけて、パソコン、当時の言葉で言うと「マイコン」を使った天体現象の計算プログラムの紹介が多くなってきます。今では懐かしいPC-6001やMSXで連載がされていました。私も小学生のころPC-600mkIIをしゃぶり尽くしていたので、天文の方でこれだけ使われていたのは感慨深いです。



広告
昔は眼鏡屋さんで望遠鏡を扱っていたのですね。眼鏡屋さんの広告がたくさん出ていました。確かに光学部品という範疇では変わりありませんが、今では望遠鏡を扱っている店自体が少なくなってきてしまっているので、隔世の感があります。


冊子がどんどん分厚くなってきています。広告も増えていますし、記事の中身も多岐に渡ってきています。60冊のうちあと残り3分の1くらい、頑張って読みます。
 

(その3)に続きます。 

MetaGuideというガイドソフトを試してみました。特徴は、ホームページによると、低遅延でのガイドが可能とのことなので、早い揺れを殺すためのガイドに期待ができそうです。歴史的にはPHDと並び古くからあるソフトらしいのですが、しばらくアップデートされていなくて、先月久しぶりにアップデートされたとのことです。ただ、あまり日本ではメジャーではないみたいで、使っている人はいるみたいですが、使用記などは日本語ではほとんど見つかりませんでした。

インストール自身は簡単です。ただし、3月にアップデートされた最新のβバージョン5.2.18をインストールしたい場合は、まず5.2.6をダウンロードし、一旦インストールして、さらに最新の5.2.18をダウンロードし、解凍した中身で先にインストールした5.2.6の中のファイルを置き換えます。その後、管理者権限でコマンドラインを開き、5.2.6をインストールしたディレクトリに行き

regsvr32 GuideFilter.ax

と打ち込んで、レジストリをアップデートする必要があるとのことです。

その後立ち上げるのですが、接続されているカメラがあると立ち上げ直後からカメラの映像が画面の中に映し出されます。私はカメラにZWO社のASI224MCを使っていますが、まったく認識されませんでした。ASI224MCは画素数が少なく感度が相当いいカメラで、転送がフルサイズでも64fps、サイズを制限すると256.4fpsにも達する相当早いカメラで、低遅延ガイドにはもってこいかと思っていました。色々試したのですが、どうにもこうにもうまくいきません。作者のドキュメントにASI120についての記述はあったのですが、Googleなどで検索してASI224でMetaGuideを動かしているという記事を見つけはできませんでした。MetaGuideのためだけにASI120を本気で買おうかと思ったのですが、一晩たって再度色々海外のブログなどをあさっていたら、Directshow対応のWDM (Windows Driver Model)で動かせばいいという記事が載っていました。WDMドライバーはZWOのダウンロードページの一番下の方にあるとの情報もいっしょにあったので、早速WDMドライバー2.0.1.9をダウンロードして試してみました。メインのドライバーとは別に結構ひっそりと置いてあるので、気づかない人も多いのかと思います。WDMインストール後は何の問題もなくカメラが認識されました

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赤道儀を適当な天体に向けて実際のガイドを試してみます。ターゲットの星は、カメラからの映像の中で一番明るい点が自動で選択されます。「VidProps」というボタンを押して、カメラのゲインや露光時間などを調整します。うまく星が選択されたら、LockStarというチェックボックスがあるので、チェックしておくといかもしれません。それでも星がなくなると勝手に他のところに移ったりするので、完全なロックではないようです。

ガイドのためにはどうやらターゲットの星をセンターに持ってくる必要があります。Centerボタンを押すと勝手にセンターに持ってきてくれるのですが、ターゲットの位置が変わってしまうので困りものです。センターに持ってくるとキャリブレーションが可能になります。この際赤道儀に信号を返す必要があるのですが、ここで一つ問題が起きました。ASI224MCからST4互換のケーブルで赤道儀のAdvanced VXにつないでいるのですが、どうもAdvanced VXが認識されません。同様のセットアップでPHD2ではきちんと赤道儀に接続できるので、ハードウェアの問題ではなく、ソフトウェアの問題だということはわかりました。一つの可能性は上記のWDMで動かしていることです。どうしても解決しなかったので、仕方なくASCOM経由でAdvanced VXと接続することできちんと反応して、なんとかCalibrationに進むことができました。その代わりにUSBケーブルがCMOSカメラ、EOS 60D、ASCOMと3本になるので、USBポートが2つしかないStick PCでは、USBハブが必須となり、しかもCMOSカメラはUSB3.0でその他は2.0なのでハブで混在させるとUSB3.0が使えなくなるので、3.0はStick PCに直結、2.0はハブというようにせざるを得ません。さらに問題が起きます。BackYard EOSでEOS 60Dと接続しているのですが、これもハブがあると接続できないと文句を言われてしまいました。ハブかケーブルを一度総ざらい検証する必要があります。

気を取り直して、とりあえずEOS 60Dへの接続を外して、ASI224MCとASCOMだけで動かすことで、Calibrationも無事に終わって、やっとガイドを始めました。パラメータは結構たくさんあるのでまだまだ触っても効果のほどがいまいちわからないところも多いですが、その中で2つ大きく制御に関わるパラメータがあったので紹介して起きます。

一つは「Setup」ボタンを押した後に出てくる「Frame Rate fps」です。デフォルトは10ですが、これを上げてやるとカメラから読み取る速度が上がります。ただし実効的なfpsがメイン画面に出るのですが、せいぜい20fps止まりなので、むやみやたらに上げても意味がないようです。

もう一つはメイン画面の「NFrames」です。一フレームごとの星の位置は、シンチレーションの影響なので揺らぐので、その揺らぎをそのまま返すと本来静かな赤道儀が余計に揺らされることになります。NFramesはその画像を何回スタックするかを決める数なのですが、デフォルトが10でほぼそのまま使えますが、どうやらこれがMetaGuideの肝だと感じました。要するに普通の制御でいうセンサー部分の精度を上げようという試みです。その代わりにフィードバックの速度を犠牲にしているのですが、それでも実際の制御帯域は赤道儀のモーターの反応速度で制限されてしまうので、その制限にかかるまでは得をするということです。PHD2などで長時間露光しても同じようなことが得られますが、こちらは制御帯域をそのまま縮めるので、そのぶんMetaGuideの方が優位です。

実際のエラー信号のRMSを見てみると、3秒角以下になることもしょっちゅうで、上の写真ではそれぞれの自由度で1.8秒程度、合わせて2.7秒程度です。今使っているASI224MCに50mmの焦点距離のレンズだと1ピクセルあたり15秒角程度となるので、0.2ピクセル以下の精度となり相当なものです。PHDで0.2ピクセル以下にするのは結構大変です。ただし、PHD2に比べて表示がわかりにくいので、読み取ることができる情報量が少ない印象です。

PHD2と比べると色々こなれていない部分も目につきますが、とりあえずパッとやってPHD2を超える精度が出るのは、やはり単純にすごいと思いました。パラメータをいじることでもう少し改善できそうです。まだまだ使っていない機能もあるので、もう少し使い続けてみたいと思います。






 


 

昨日試したPlateSolve2がいまいちマッチング成功率が悪かったので、別のソフトを試すことにしました。AstroTortillaと呼ばれるもので、PlateSolve2と同じくフリーなのですが、ネットを調べる限りPlateSolve2の方が評判がいいようでした。それでもこのソフトにした動機は、いろいろなソフトと連携ができ、その中に常用しているBackYard EOSが入っていたからです。うまくいくとBackYard EOSで撮影して、その位置を調べてどこを撮ったかわかるといったことができるかもしれません。

さてインストールですが、ここからダウンロードして実行するのみです。アルファバージョンのVersion 0.8 test release 1というのを落としてきました。インストールで迷いやすいところはFOVの指定くらいでしょうか。自分が撮影などする場合の最小の画角と最大の画角を含む製図を指定しなくてはなりません。画角は焦点距離とセンサーサイズからすぐに計算できますが、例えばこんなページが計算に便利です。私は最小がindex 4203, 2.5GB, 5.6-8 arcmin、最大がindex 4216, 332KB, 8-11.3 deg としました。ここまでは特に難しくないのですが、ここからの星図データのダウンロードが大変でした。表示されるトータル量はあてにならなくて、最初900MBくらいと表示されたのですが、実際にダウンロードしたサイズは4GB程度になりました。しかも途中何度か失敗したので、ネットワークの調子が悪いのか、元のファイルがなにかおかしいのか見分けがつかず、懲りずに途中でやめたりせず4度ほど再試行をして、トータルで3時間くらい時間をかけてやっとダウンロードに成功しました。これさえ越せばあとはほとんど問題なくcygwinも含めてインストールできるでしょう。

インストール後立ち上げるのですが、簡単な動作確認のために、元々撮ってあった画像を使って試してみました。メニューの「Tools」の「Goto Image」で用意してあった画像を選択すると、すぐに解析が始まります。ただし、画像を画面上に表示する機能が無いせいか、イマイチうまくいっているのか全然ダメなのかよくわかりません。もう少し反応を見やすくするために、メイン画面の「Telescope」のところで、Cartes du Cielの設定のところでインストールした「ASCOM Telescope」を選択し、同時にCartes du Cielを立ち上げておきます。

探索パラメータですが、それほど難しくありません。「Scale Minimum」と「Scale Maximum」が探索する画像の最小と最大で単位は度。私は0と10を入れています。10度四方のエリアを最大と仮定して探索するという意味だと思います。Search radiusは25にしています。これも単位は度で、半径25度のエリアを探索するという意味です。Custom optionsは

--sigma 50 -N none  -r --objs 50

としてあります。--objs 50は多いと精度が出ますが時間がかかります。--sigma 50は背景の暗さらしいですが、あまりよくわかりません。

Cartes du Ciel上で、試したい画像の写真のそこそこ近く(探索範囲に入るくらいという意味、実際に範囲内ならかなり離れていても大丈夫)を表示してから、最初と同様にメニューの「Tools」の「Goto Image」で用意してあった画像を選択すると解析が始まります。やはりPlateSolve2のように解析中の画像が出るわけではないので、イマイチうまく進んでいるかわかりにくいですが、そんな時はログを表示させるといいです。メニューの「Tools」「Log viewer」で表示することができます。

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うまくいくと写真の様にログに成功したというようなメッセージが出てきます。メイン画面の「Action」の「After solve」のところの「Sync scope」と「Re-slew to target」にチェックを入れておくと、赤道儀を同期させ、実際に撮影された位置に勝手に移動させておいてくれます。この際、Cartes du Ciel上で望遠鏡と接続しておくことを忘れないでください。

驚くべきことに、これだけ広い範囲を指定しても、決して粗すぎて見落としてしまうようなこともなく、今回の場合235秒で画像解析、マッチング、赤道儀の移動が終了しています。しかも、多少範囲を広くしても狭くしても、あまりかかる時間は大きく変わりません。遠慮なく広い範囲を指定することができます。

BackYard EOSを試す前にCartes du Cielで試したのですが、これは十分に実用的になりそうです。実戦投入が楽しみです。BackYard EOSでもやり方はわかったので、多分うまく行くのではないでしょうか。


2017/11/24 追記: Windows 10 Creator updateでアップデートしたらAstoroTortillaが使えなくなりました。症状と対処法はこちら。 



 

休日で天気が悪いのを利用して、いくつかソフトをあさっています。今回試したのはCartes du Cielというちょっと変わった名前のプラネタリウムソフトです。SkyChartという名前も付いているようです。結構昔からあるソフトみたいで、ある意味定番ソフトの一つです。

実はすでにプラネタリウムソフトはSteralliumというMacでもWindowsでも使える、かなりこなれたソフトを使っていて、実際に自動導入までできているので、それほど不満があるわけではないのですが、赤道儀自身での自動導入とStellariumでの自動導入に少しだけ誤差があるらしいことがわかったので、それの解決の糸口になればというのと、随分前にStellariumをインストールしたときにCartes du Cielも候補に挙がっていたのですが、インストール方法が少しややこしかったので放っておいた再チャレンジという意味合いもあります。

インストールですが、ダウンロードはここになります。このページから辿って行くのですが、0-betaだとフォルダとかの指定がうまくいかなかったので、安定版にしました。そのためまずは1-softwareのversion4.0の中の自分のシステムにあったものをダウンロードします。Stick PCはWindows10の64bit版のHome editionなので、skychart-4.0-3575-windows-x64.exeをダウンロードし、実行してインストールします。次に2-catalogsに行き、まずNeburaに行ってskychart-data-dso-4.0-3431-windows.exeとskychart-data-pictures-4.0-3421-windows.exeをダウンロードしてインストールします。

さらに2-catalogsのStarsに行き、skychart-data-stars-4.0-3421-windows.exeをダウンロードしてインストールします。バージョンはそれぞれ多少違いますが、3.0とか4.0とか大元のバージョンが一緒ならいいみたいです。

次に2-catalogsのStarsのUCAC4に行き、ucac4-index-v2.zip、ucac4-catalog-v2-equator.zip、ucac4-catalog-v2-north.zip、ucac4-catalog-v2-south.zipの4つのファイルをダウンロードし、展開します。それぞれのフォルダにucac4とucac4-streakというフォルダが入っているので、4つの中身をまとめてしまって、一つづつのucac4とucac4-streakというフォルダにします。途中4uc.hdrがそれぞれのフォルダに入っているので、上書きするかとか聞かれると思いますが、全部同じもののようなのでそのまま上書きしてしまってもいいみたいです。一つにまとめたucac4とucac4-streakというフォルダをCielのインストールフォルダの中のcatというフォルダの中に移動します。

日本語化についてはくわなのほしぞら日記のこのページを参考にさせていただきました。

Carte du Cielを立ち上げ、メニューの「設定」「カタログ」から「カタログ」タブを選び、「追加ボタン」を押して、先ほどのucac4とucac4-streakフォルダの中にある4uc.hdrをそれぞれ選択し、赤い丸をクリックして緑になるのを確認してからOKボタンを押します。これで準備完了です。

とりあえずは色々と触ればわかりますが、いくつか面白いところをピックアップしておきます。
  • アイピースやカメラの視野を登録しておくことができ、しかもそれを複数同時に表示することができる。
  • 横に並んでいるアイコンの2段目の左から4つ目を押すと、星雲や星団の画像が表示される。
  • Steralliumで見ることができなかったシリウスの二重星のシリウスBを見ることができます。メニューの「設定」「カタログ」から「CdC stars」タブのDoubleの四角をチェクしてください。ただし、シリウスAが二つ表示されてしまいます。少しデータにズレがあるのでしょうか?
逆に、イマイチなところは
  • デザインが一昔前でこなれていない。
  • 星座の絵を表示することができない。
  • Stellariumより重い。
くらいでしょうか。自分一人で使うぶんにはCartes du Cielの方が高機能でいいでしょう。観望会で一般の人がいて、見やすい画面を優先するならSteralliumの方が全画面表示もできることもあり、いいかもしれません。


ASCOM経由でAdvanced VXを接続し、自動導入することもできそうです。COMポートにRS-232Cケーブルが接続されていることが前提です。最近はシリアルポートがないPCも多いので、USB-シリアル変換アダプタなどを使うといいでしょう。私は手持ちのアダプタが古いものだったので、以前Stellariumの設定の時にちょっと苦労して認識させました。RS-232CとAVXはAVXに付属のケーブルを使って、ハンディコントローラのお尻のところに接続します。赤道儀の電源もこの時点でオンにしておきます。必要ならばアラインメントもこの時点でやっておきます。

まずはASCOM Platformのインストールです。ここからダウンロードしてインストールしてください。次に自分の赤道儀に合わせてドライバーをここからインストールします。私の場合はAdvanced VXなのでCelestron Unifiedというドライバーを使いました。

インストール後、ASCOM Diagnosticsを立ち上げ、メニューの「Choose Device」から「Choose and Connect to Device」を選びます。「Select Device Type」で「Telecsope」を選び、横の「Choose」を押して、出てきた小さなダイアログから「Celestron Telescope Driver」を選びます。横の「Properties」を押し、出てきたダイアログの「COM Port」で実際に赤道儀がつながっているポートを選びます。Siteのところに現在地を入れておいてください。多分これでCartes du Cielのメインメニューの「望遠鏡」「望遠鏡設定」から「ASCOM」を選択、メインメニューの「望遠鏡」「接続-望遠鏡」で「Ascom.Celestron.Telescope」が表示され、接続ボタンを押すことができるようになります。うまく接続できると写真の左下のようにインジケーターが赤から緑色になります。うまくいかない場合はProfileExplorerを立ち上げてきちんとCOMポートやドライバーが認識されているか確認してみてください。

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写真では小熊座のあたりに丸と四角が表示されています。赤道儀がその方向を向いていることを示しています。適当な星を選び、メインメニューの「望遠鏡」「導入」を選ぶと自動導入が開始されます。

ここでもう一ついいことがありました。
  • 写真の左上のように、方向ボタンが出てきて赤道儀をコントロールしての鏡筒の向きをリモートで変えることができる。しかもスピードも変えることができます。 
さて、肝心のAVXと精度は晴れたときに試したいと思います。


 

撮影した画像から、コンピュータ上でデータとして持っている星の位置と比較して、どの視野の画像かを特定することをplate solvingと言うらしいです。マルカリアンの鎖をSWAT-200で撮影しようとしたときに導入できなくて撃沈した経験から、ちょっと興味があったので調べて見たら、何種類かのソフトが見つかりました。その中でPlateSolve2というフリーのものを試してみました。

1. インストールは上記配布ページから
  • PlateSolve2 v2.28
  • APM Catalog Installer
  • UCAC3 Catalog
の3つをダウンロードし、 PlateSolve2とUCAC3は適当なディレクトリに展開、APM Catalogはインストーラーがあるのでそのままインストール。私はめんどくさいのでPlateSolve2ディレクトリの直下にUCAC3とAPMディレクトリを移動してしまいました。APMはインストーラーでインストールされたディレクトリから移してしまっても大丈夫なようです。

2. その後、 PlateSolve2の「File」メニューの「Configure Catalog Directries」からAPMとUCAC3のディレクトリを指定すれば準備完了です。

3. 適当な画像を PlateSolve2の「File」メニューの「Open Image」から開いてやり、メイン画面の「Show Image」で画像を表示し、一番右のアイコンの「Auto Adjust Levels(Normal)」を押します。

4. 調べたい範囲を指定します。まずはスタートポイントで、それらしいと思われる赤経と赤緯を入れます。例えばM86だと赤経12h 26m 11.814s、赤緯+12° 56′ 45.49″なのですが、ここら辺を探りたい場合は

12 26 00
12 56 00

などと半角スペースを入れて「RA」「Dec」のところに入力します。

5. あとは「Plate Match」を押すだけです。うまくいくと写真のようにマッチした画像と、位置が表示されます。

IMG_1643



少し試したのですが、サーチできる範囲は1x1度くらいまでが実用で、それ以上だと計算量が多すぎるのか落ちることがありました。 また「region」の数がデフォルト999ですが、100とかにして少なすぎると荒く探しすぎるのでマッチしません。うまくいかないときは更に「Edit Parameters」で色々触れるのですが、一番効いたところは「Max Stars」で、デフォルトは45ですが、数が少ないと早いですが、マッチを逃します。多いと遅いですが、マッチしやすいです。

感想としては、範囲内でも思ったよりマッチする条件が厳しくて、一番微妙なのは、マッチしなかったときにパラメーターが悪いのか、範囲に入っていないのの見分けがつかないことです。結構期待していたのですが、実戦投入にはちょっと厳しいかもしれません。

2017/4/9 追記: AstroTortillaが広範囲もミスることなくマッチングしてくれることがわかってきました。
 

現在使っているCMOSカメラはZWO社のASI224MCですが、さすがに一つだと足りない時が多くなるようになってきました。

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現在機能としては「惑星撮影」「電視観望」「電子ファインダー」「極軸調整」「オートガイドカメラ」と一台で5役を兼ねているので、確かに数が足りないというのも致し方ありません。特に、電視観望と電視ファインダーでは必要な焦点距離が違うため一つでは同時に使えない、撮影時にはガイドにCMOSカメラを使うと電視ファインダーとして使えなくなるなど、二つ持っておくといいことがあるケースが増えてきました。


まず現在手持ちのCMOSカメラに関わらず、目的別に必要な機能をあげてみると
  • 惑星撮影: フレームレート、感度
  • 電視観望: 感度、長時間露光
  • 電子ファインダー: 
  • 極軸調整: 
  • オートガイド: 感度、解像度
といったところになりますでしょうか。電子ファインダーと極軸調整はそれほど高い要求がありません。また、惑星撮影と電視観望は露光時間に関してはある意味逆の機能を必要としていますが、両方とも高感度を必要としているところは共通です。


ASI224MCはフレームレートと感度は得意ですが、逆にセンサー面積は小さく、解像度は良くないです。ASI224MCと比較して、2台目のCMOSカメラを考えたときに、目的別に新たに期待したい機能は
  • 惑星撮影: 裏面照射、解像度
  • 電視: 解像度、センサーの面積
  • 電子ファインダー: 
  • 極軸調整: 感度、
  • オートガイド: 解像度 
センサーの面積は実はすごく欲しい項目の一つです。SONYのα7Sと比べて電視でどうしてもできないことの一つが、広角で焦点距離の長いレンズを使って画面に溢れ出んばかりの恒星を写すことです。

逆にいらないもの、かえって邪魔になっている機能としては
  • 惑星撮影: 長時間露光
  • 電視観望: フレームレート
  • 電子ファインダー: フレームレート
  • 極軸調整: フレームレート
  • オートガイド: 
 フレームレートを欠点とて挙げたのはUSB3という意味で、ケーブルが太いことと、Wi-Fiの2.4GHzにノイズを与えることです。


以上の点を考えて、次のCMOSカメラの候補を考えると

  1. ASI178MC: 解像度が高い。面積が1/1.8インチと広い。14bitADC。裏面照射。
  2. ASI174MC: 面積が1/1.2インチとかなり広いが、解像度は多少良くなるくらいでこれまでとあまり変わらない。グローバルシャッターというのが特徴。
  3. ASI185MC: 面積が1/1.8インチと広い。解像度は多少良くなるが、これまでとあまり変わらない。
  4. ASI290MC: 惑星撮影のため。裏面照射。解像度は多少良くなるがこれまでとあまり変わらない。面積は1/3インチだったのが1/2.8インチとほとんど変わらない。
  5. ASI290MM: 惑星撮影のためさらなる感度向上。裏面照射。ただしモノクロのため撮影の手間はかかる。電視観望はモノクロのため色付きではできない。


感度の点からSONYセンサーに限定しました。また、QHYCCD社のQHYシリーズもあるのですが、マウントやレンズアクセサリなどの使い回しも考えて、ZWO社に限定しました。

これだけ見ると、惑星撮影重視ならASI290でカラーかモノクロかは最終画像を撮るか手間を取るかで考えればいい、電視重視ならASI178MCになりそうな感じです。ところが、実はなんだかんだ言って一番重要な感度をもう少し考えてみます。ここにSONYが提唱する新たなSNR1sという指標があるのですが、一言でいうとどこまで暗い光でものが見えるかという非常にわかりやすい値になっています。

このページを信用すると、なんとASI224で使われているIMX224センサーが0.13ルクスで圧倒的に暗い光まで見えます。意外にも次にいいのがASI185に使われているIMX185で0.20ルクスで、どちらも裏面照射ではありません。次がやっと裏面照射のASI290のIMX290で0.23ルクス。ASI178用のIMX178は裏面照射ですが、0.46ルクスでASI224の3倍から4倍です。これは単純に言うと露光時間が3倍から4倍かかることを示しています。いま電視でだいたい10秒くらいで露光していますが、これはすでにリアルタイム性を損ねるくらいすでに長い時間です。これが3倍とかの30秒になると、おそらく待つのに耐えられないでしょう。それならば面積を多少なりとも広くすることだけを考えて、ASI290よりも感度がいいASI185MCが候補に上がってきます。ただし、ASI178MCの14bit ADCが意外に電視でも淡いところの階調の見え具合に効いてくるかもしれません。ここら辺は賭けですね。

値段的にはASI174MCが7-8万円と多少高いくらいで、他の機種は4-5万円と大差ないです。

うーん、迷います。またしばらく考えます。でも、迷って色々考えてる時が一番楽しいんですよね。


星雲星団撮影まで考えると、ビット数、冷却、解像度などが欲しくなりますが、値段が跳ね上がるので今回は考えないことにしました。今の所はカメラで十分かと思っていますが、そのうちに撮影目的で欲しくなるのかもしれません。

ちょっと前のことになってしまいますが、2017/4/2の日曜日は一日中見事に晴れ渡り、昼間の立山の見え具合からも透明度も悪くなさそうでした。ただ、月が12時近くまで出ているのと、次の日の仕事に響くとまずいので、無理をせず自宅の庭で、その前の土曜の晩曇りでできなかった電視メシエマラソンを少しだけ試してみました。

そもそもスタートも、日曜日なので家族サービスで18時半ころ帰宅してからの準備開始です。極軸合わせや赤道儀のアラインメント、夕食などにも時間を取られ、実際のマラソンスタートは20時20分頃なので、すでにいくつかのメシエ天体は沈んでしまっていて、かつ自宅で周りが家や木などに遮られていることもあり、空の開口率、特に西の空の低いところはあまり良くなく、最初の出だしの相当数を逃しています。


まず、機材などの条件を記しておきます。
  • 鏡筒: FS-60CB (FS-60Qのエクステンダーを外した状態で焦点距離355mm)、途中から純正フラットナーを装着したため焦点距離は370mm
  • 電視のためのCMOSカメラ: ASI224MC0.5倍のレデューサ(ノーブランド)+IRカットフィルター(Revolution Imageについてきたノーブランドの物)を装着 -> 結局焦点距離は180mm程度になっているはずです。F値は3まで下がっています。画角は1.5°x1.2°程度でほぼ全てのメシエ天体が画角内に収まるくらいになっています。
  • 赤道儀: Advanced VX
  • 電視、導入用計算機: Stick PC DG-STK4D
  • 電視用ソフトウェア: SharpCap 2.10(β版) (どうやら間も無く有料になるようです。)
  • 自動導入ソフトウェア: Stellarium
電視で見えればいいというものなので、あまりこだわった光学系ではありません。フラットナーを入れてもレデューサーのせいなどでコマ収差も出まくっています。

機材の写真を載せておきます。

IMG_1619


注目して欲しいところは、PCと望遠鏡側がケーブルで接続されていないです。Stick PCに外部PCからRemote Desktopでつないでいるためリモートで操作できるようになっていて、ネットワークの届く範囲ならどこにでも持って行くことができます。今回は自宅の庭での観測なので、自宅のネットワークを使うことができるため、家の中からでも自動導入や観測をすることができます。肝心なスピードですが、ほとんどストレスを感じることはありません。ただしリモート接続時の画面の色の階調を制限しているようで、例えば暗いところの色が見かけ上、階段状になってしまったりはします。あと、たまにブロックノイズが出ますが、それでも操作感を損ねることはほとんどありません。

IMG_1622

上の写真の左の小さな箱がStickPCで、大きな黒いバッテリーに亀の子状態で、マジックテープで互いにくっつくようにしています。右のコントローラーはAVXのものですが、ここにRS-232Cケーブルがつながっていて、StellariumからAVXをリモートコントロールできるようにしています。リモート接続と相まって自宅の中や車の中から自動導入さえもできてしまうので、無茶苦茶便利です。

CMOSカメラ部分と鏡筒の固定方法です。

IMG_1632
鏡筒は上下K-ASTEC製のアルカプレートで挟み込んであります。下のプレートにさらにアリガタプレートをつけてAVXに固定しています。CMOSカメラはFS-60Q付属のアイピース取り付け口に差し込んでいて、USB3ケーブルでStickPCにつなげています。黒いケーブルが少し見えると思いますが、これはCMOSカメラからAVXのガイド端子に繋いでおくことで、SharpCapからスピードはx1倍と遅いですが、赤経、赤緯共にリモートで微調整することができます。ピント調節つまみが標準のものと違うのですが、これは自作の減速機です。

実際の観測ですが、自動導入ありなのでドーピング部門になります。電視と自動導入はとても相性がいいのと、一人で少しでも気軽にできるようにという意味で自動導入はありとしました。自動導入はAVXのものとStellariumを併用します。これはAVXのものとStellariumの現在の位置の認識で少しズレがあり、精度が必要な時はAVX、見やすいインターフェースが必要な時はStellariumというように随時使い分けていたからです。なぜズレが生じるのかはもう少し検討する必要がありそうです。


長いので、その2に続きます。



その1: 準備編
からの続きです。


メシエ天体が実際に電視で見えるかどうかはSharpCapの設定に大きく関わってきます。以前解説を書いたのですが、バージョンが上がって新しい機能が追加されていることなどもあるので、今一度簡単に書いておきます。本質的にはSharpCapのパラメータは以前書いたものとあまり変わらず、8秒露光、ゲインは350程度、Image Controlsのgamma 50、Brightness 240で固定、あとはDisplay Controlsでいじります。

ポイントはLiveStack機能のタブの一つのhistgramでのレベル補正が、特に淡い天体の場合の見やすさにかなり効いてきます。基本的にはdark側のスライドをピークの左側の裾野くらいまで持ってくることです。あとは左側の上下スライドでダークの効き具合をいじるだけです。

見たという事実が大事で、見え方は所詮低解像度のカメラでそれほどこだわらないので、これくらいの設定で十分だと思います。

次に画像の保存方法です。SnapshotファイルはStackした画像とは必ずしも一致しないようで、たいてい画面で見ているより保存された画像の方がイマイチな場合が多いです。さらにSnapshot機能はLive Stack機能がオンになっていると使えないので、
  1. 一旦StackをPauseしてから
  2. Live Stack機能をオフ
  3. SnapShotボタンを押してPNG画像ファイルを保存
  4. Live Stack機能をオン
  5. Auto saveにチェックを入れる
  6. Clearボタンを押してfits形式で保存
  7. Auto saveにチェックを外し、次のメシエ天体へ
というような手順でStackの機能があまり反映されないsnapshotファイルと、Stackの機能が反映されたfitsファイルを保存します。さらに注意点ですが、Live機能をオフにしてからDisplay Controlsなどのパラメータを変えると保存されるSnapshotファイルの色などが落ちてしまい、みすぼらしくなるので、LiveStack機能をオフにしたら何も触らずにすぐにSnapShotボタンを押してPNG画像ファイルを保存するようにします。

今回はそれに加え、何枚かPCの画面を直接iPhoneで撮影するという、これまでよくやっていた方法でも画像を撮りましたが、メシエマラソンの場合は時間との勝負で、画質にはこだわらないので、実はこの方法が一番いいのではと後から思いました。

実際に撮った写真を、数が多いのでちょっと迷ったのですが、参考になればと思い全部載せることにしました。
  • 20時21分: とりあえず見やすいM45 (プレアデス星団、すばる)。月明かりもあるため星間分子ガスなどは見えず。左下に大きなゴミがあるみたいで写り込んでしまっています。最初の頃はSharpCapのSnapshotで保存です。
Capture 20_21_36_0001_M45


  • 20時30分: やはり見やすいM42とM43 (オリオン大星雲)。さすがにこれは月明かりがあってもよく見えます。
Capture 20_21_36_0002_M42_M43

  • 20時35分: M103。SharpCapの使い方ミス(Stackをオフにしてからパラメータを触ってしまった)で白黒になってしまいました。
Capture 20_21_36_0003_M103


  • 20時44分: M52。ゴミの写り込みが目立ちます。
Capture 20_21_36_0007_M52

  • 21時03分: M41。かなり下の方に来ていて、気付いた時には木に隠れかけていました。枝が写り込んでしまっています。これも焦っていて白黒に。この直前にCMOSカメラをクリーニングしたため、ゴミの写り込みがなくなっています。
Capture 20_21_36_0008_M41

  • 21時17分: M78。写っているのか写っていないのか、真ん中に何か見えますが、かなり薄くしか見えていません。
Capture 20_21_36_0009_M78

  • 21時44分: M1。月がすぐ真横にあるせいなのか明るすぎるのと、これまで見たことないような変な模様が写ってしまっています。真ん中に薄くぼんやりと何か写っているのですが、これだけ写すだけでもかなり手こずって、すごく時間を費やしてしまっています。
Capture 20_21_36_0010_M1

  • 21時48分: M38。星雲に比べると星団は楽で、導入と電視、ファイルの保存までわずか4分しかかかっていません。
Capture 20_21_36_0011_M38


  • 21時52分: M36。こちらもわずか4分。
Capture 20_21_36_0016_M36

  • 21時55分: M37。これは星が集まっていて綺麗です。
Capture 20_21_36_0017_M37

電視中のものをiPhoneで撮影すると下のようになります。実際の電視中の印象にとても近いです。これくらいの印象になると思ってもらえるといいです。

IMG_1614_M37


  • 21時59分: M35。
Capture 20_21_36_0018_M35

  • 22時03分: M50。
Capture 20_21_36_0019_M50

  • 22時05分: M47。散開星団続きでつまらないで、ちょっと飽きてきたところです。
Capture 20_21_36_0020_M47

  • 22時11分: M46。
Capture 20_21_36_0021_M46

上のは撮って出しですが、下のは画像処理をしたものです。と言ってもホワイトバランスとレベル調整だけです。
Stack_32bits_4frames_32s_M46


  • 22時14分: M48。
Capture 20_21_36_0022_M48

  • 22時21分: M44。これも白黒になってしまいました。
Capture 20_21_36_0023_M44

  • 22時25分: M67。星がたくさん集まっていてちょっと変化があります。
Capture 20_21_36_0024_M67

  • 22時37分: M65とM66。系外銀河です。SharpCapのパラメーターが変わるので、ファイルにするまでに時間がかかりました。系外銀河は見にくいので画像処理をしています。
Stack_32bits_10frames_80s_M65_M66


  • 22時42分: M98。系外銀河もパラメータさえ決まるとすぐに写ります。ちなみに、今回ほとんどのものが8秒露光の複数スタックです。
Stack_32bits_12frames_96s_M98

  • 22時46分: M99。渦までよく見えます。画像処理済みです。
Stack_32bits_13frames_104s_M99

ちなみに撮って出しだと下のようになります。これでも渦はなんとか見えますね。電視上はこんなもんです。
Capture 20_21_36_0028_M99


  • 22時48分: M100。
Stack_32bits_16frames_128s_M100



この時点で、あまりに寒いのと明日の仕事があるので撤収することにしました。結局20時20分ころから22時50分頃と約2時間半で、23天体。一時間あたり10天体くらいはいけるので、練習としては上出来かと思います。実は自動導入付きのドーピング部門なのでもっと早く進めることができるのではと鷹をくくっていたのですが、スタック時間や撮影に多少かかってしまい、これくらいのスピードになってしまいました。完走するのに結構ギリギリのペースです。もし普通の星図片手にマニュアル導入でのメシエマラソンだと相当なペースで進めないと完走しないこともよくわかりました。

こうやって並べてみると、ホワイトバランスもめちゃくちゃだし、収差もあるし、解像度も低いしなので、iPhoneで写すのでやはり十分な気がします。そんなことより、次々見えるメシエ天体が楽しくて楽しくて。人がたくさんいたらみんなで一つの画面を共有して見ながらできるので、とても盛り上がると思います。

電視の利点の一つに、Stick PCでのリモート観望というのがあるので、実はメシエマラソンでもリモートでほぼ全ての操作が可能で、自宅内からでも可能なのですが、やはり空を見ながらやることに意義があると思い、今回は全て外で見ることにしました。でも結局一人で電視だと画面とにらめっこで、あまり外に出ている意味がなかったです。やはり何人かで手分けしてやるのが楽しい気がしました。たとえばソフトで次の天体をどれにするか決める人、天体をあぶり出す人、画像を記録する人、タイムキーバー、記録係などです。多分これが本来のメシエマラソンのやり方であり、楽しみ方なのでしょう。

ちなみに子供達は春休みの最中なので、一緒に外に出て星を見ていたのですが、早々と寝袋にくるまって眠ってしまい、マラソンどころでは全くありませんでした。

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