ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年03月

画像処理をするにあたり、フラット補正は最初の方できちんとしているのですが、画像処理を進めて星雲部分を強調していくと、どうしてもフラットに仕切れていない部分が目立ってきます。そのため先日撮影したバラ星雲を使い、少し検証してみました。簡単のため、コンポジットなしの一枚の画像のみで比べます。

最初はフラット補正無しと有りの比較です。ステライメージ7上でフラット補正後、ベイヤー/RGB変換をしてレベル補正で暗い部分をあぶり出しています。以下の2枚の写真を見ると、明らかにフラット処理をした方が周辺減光がまともになっています。

  • フラット補正無し
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_noflattest1

  • フラット補正有り
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat0


なので効果はあることは明らかです。しかしながら、フラット補正をした後でも、少しわかりにくいですが、右上隅に行くに従って途中までは暗くなっていっているのに、あるところから突然明るくなって、三角州のような明るい形が残っています。左上は周辺減光という言葉の通り、徐々に暗くなっていきます。このように一方は明るく一方は暗くというような場合、特に右上のように途中から明るさのスロープの傾きの正負が逆転しているような場合は、ステライメージ7上での周辺減光補正がすごくやりにくくなるので、少なくとも両方とも暗いとかの、スロープが滑らかなる状態を目指します。

あと、もう一つ気になるのは、フラット補正をした場合としない場合で明らかにカラーバランスが変わっている点です。補正無しは緑っぽく、補正有りはホワイトバランスがマシになっています。これは作業ミスというわけではなく、上の2枚をレベル補正のRGBで明るさを合わせようとしただけで、カラーバランスは何も変えていません。


ここから検証です。まずフラット補正時のオフセットの値を変えてみます。
  • プラス20%: 右上、左上、共に少し暗くなりますが、まだ右上が明るいです。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat20


  • プラス40%: 左上はさらに暗く、右上はほぼフラットでしょうか。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat40


  • プラス60%: 両側とも暗くなる方向です。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60



逆にマイナス側のオフセットをかけます。
  • マイナス20%: 逆に明らかに右上がより明るくなっています。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat-20


  • マイナス40%: 両側とも明るくなりました。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat-40


マイナス側は逆センス、プラス40%以上なら、少なくともアンバランスはかなり軽減されるようです。念のためこれ以降の処理をプラス60%をデフォルトとしておきます。

次にフラット補正時のガンマをいじってみました。オフセットは数学的にはフラットフレームに和もしくは差で下駄を履かせるというのでわかるのですが、このガンマはどのような処理なのかいまいちよくわかっていません。おそらくフラットフレームの明るさ方向の幅を決める係数のような気がします。オフセットは+60%で固定です。

  • ガンマ0.6: 四隅とも結構暗くなります。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60_g06

  • ガンマ0.8: 0.6に比べると少し明るいでしょうか?でもデフォルトの1.0より少し暗いです。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60_g08

  • ガンマ1.0: オフセットの変化の時に載せた60%と同じ画像を並べておきます。それほど悪いようには見えません。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60

  • ガンマ1.4: 右上が再び明るくなりました。周辺減光補正(周辺を明るくするという効果)が効きすぎているようです。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60_g14


ガンマを上げていくと、周辺減光補正の効きが強くなるようなので、ガンマがどれだけフラット補正の効果を効かせるかという係数という推測は間違っていない気がします。

オフセットとガンマではフラット補正で残った残差の調整は、最初の目的の明暗逆方向に行っているものを一方向のみにすることはできるとわかりましたが、それでも結局きちんとバランスを取るまでの調整はしきれないことがだいたいわかりました。そもそも、なぜこんなことが起きるかというと、フラットフレームとライトフレームの減光度合いが違っているからに他ならないのですが、考えられる原因はいくつかあって、
  • フラットとライトのカラーバランスが一致していない。
  • フラットの光源はPC画面だが、PC画面を見た場合と、夜空を見た場合で何らかの光の経路が違う。
  • 露光時間の違いが、周辺減光に何らかの影響を及ぼす。
  • ISOの違いが、周辺減光に何らかの影響を及ぼす。
  • フラットが明るすぎる。
などです。この中のフラットのカラーバランスだけはすぐに試すことができるので、とりあえずパッと試してみました。そしたら何と、明らかに効果ありです。

フラットフレームですが、ベイヤー状態ではカラーバランスの補正はできないので、まずはRGBに変換します。その時ホワイトバランスを自動で調整しないでそのまま見てみたら、何と画面全部緑です。

FLAT_1s_100iso_20170305-04h10m44s002ms_x60_RGBnowhiten

白い画面を写したのに、何でこんなに緑が大きくなるのでしょうか?カメラは天体改造してあるので、赤が目立つならわかるのですが。PCのプレビューでは普通に白く見えています。実はフラットフレームだけでなく、ライトフレームもホワイトバランスを自動にしないと緑が大きく強調されてしまいます。

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h05m51s444ms_RGBnowhiten

何かがおかしいです。ステライメージのベイヤーからRGBへ変換ルーチンでしょうか?何か設定を間違えているのでしょうか?これは後できちんと検証するとして、とりあえず気を取り直して、とにかくホワイトバランスをトーンカーブで整え、まともな色のフラットフレームを作ります。

FLAT_1s_100iso_20170305-04h10m44s002ms_x60_RGB


次にライトフレーム一枚をRGBにします。これがこのページの一番上の写真と同じものです。その次に、作ったRGBカラーでのフラットフレームを使って補正します。オフセット0%、ガンマも1とデフォルトの状態にします。そしてできた画像がこれです。
  • ホワイトバランスをとったフラットで補正したもの

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_flatten_byRGBwhitenframe

直接比較するべきは上から2枚目です。見やすいように再度載せます。
  • ホワイトバランスが大きくずれたフラットで補正したもの

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat0

ホワイトバランスをとったフラットフレームで補正した上のほうは、完璧ではないですが四隅がかなり改善されています(追記: それでも画像処理を進めていくとやはり補正しきれていない部分が目立ってくるのが後でわかりました。まだ根本的に何かがずれているのかと思います。2017/9/21さらに追記: CANPでの話を参考に、その場でフラットを撮影するようにしたら、このようなズレは無くなりました。iPadなどのLEDでの光源と、周辺環境の余分光源からの回り込みにどうしても差が出てしまうようです。これ以降はフラットはその場で撮るようにすることにしました。)。それでも今回はとりあえずの対処療法で、フラットフレーム、ライトフレーム共にRGB変換した後にフラット補正したので、ベイヤーでフラット補正できるようカラーバランスの取れたフラットファイルが必要になってきます。

さて、そうなってくるとなぜ白い画面を撮っているのに、カラーバランスが崩れて緑になるかが謎です。これは機材を出して検証する必要があるので、また時間がある時に試します。


追記: どうやらステライメージ7でRAW現像(RAWで開いてベイヤー/RGB変換をしても、最初からRAW現像をしても)をすると緑がかるのは既知の問題の様で、アストロアーツによると仕様だとのことです。ということは、どうもホワイトバランスがとれたベイヤーでフラット補正するのは諦めた方が良さそうという結論になります。対策としては、
  • 最初の方の方式のようにフラット補正の際オフセットを加えて周辺減光を滑らかにしてから、マニュアルで周辺減光を撮る
  • ソフトを変える
などがありますが、当分は前者かなと思っています。 そのうちにPixinsightも試してみたいと思います。






週末金曜土曜と撮影したバラ星雲とマルカリアンの銀河鎖の画像処理を日曜日の一日をかけてやってみました。基本的には以前書いた「画像処理(その1): 一連の工程を試す」に沿って進めました。フラットに関しては「画像処理 (その2): フラットフレーム」で検討したように、PCの真っ暗になる手前一段階明るい光を1秒露光、iso100で撮影したものに、フラットダーク補正をして使っています。

これまでフラットフレームをずっと前に作ったもので使いまわしていたのですが、今回新たに取り直しました。すると明らかに以前のものより黒い丸が増えていることがわかりました。以前からある黒丸もほとんどのものは残っていました。だんだん汚れていっているのがわかりますが、これはカメラのセンサーの汚れと思われるので、そのうちにクリーニングか、メンテナンスに出す必要がありそうです。

ダークファイルも今回240秒といままで取ったことのない時間にしてしまったために、ダークライブラリーがなくて、また冷蔵庫などを駆使して追加しました。撮影するときの露出時間はあまり種類を多くしない方がいいとやっと気づきました。


1. バラ星雲

前回色を出すのにかなり苦労をしたのですが、今回やっとある程度の色を出すことができました。それでもまだ少しざらざら感はあるので、もう少し撮影時間を延ばすか、より暗いところで撮影した方がいいかもしれません。次のマルカリアンの銀河鎖で気付いたのですが、Nik collectionのColor Effect Pro 4の「ディテール強調」を使うとザラザラ感が強調される傾向があります。もしかしたらこれが効いているのかもしれません。それでも月齢4日のさなかに自宅の庭で撮ったと思えば上出来ではないでしょうか。やっと1月6日以来のリベンジが果たせました。

final3

C49 バラ星雲
撮影地: 富山県富山市, 2017年3月3日21時48分
タカハシFS-60Q(D60mm f600mm F10 屈折), Celestron Advanced VX赤道儀
キヤノンEOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出2分x36枚 総露出72分
f200mmCanonレンズ+ASI224MC +PHD2による自動ガイド
ステライメージ、Photoshop CC+Nik collectionで画像処理


バラ星雲であと一つやってみたかったことがあります。

縦にするとドクロです。

final3bonepapa


でも、方向的にはこの向きの方が正しいみたいです。バラ星雲で縦向きってのもありなのでしょうか?



2. マルカリアンの銀河鎖

初めての銀河群の写真処理です。最初二日目に撮れた14枚だけで処理をしたのですが、枚数が足りないと判断し、初日に撮った23枚を追加して処理をしました。初日の文は結構星像が流れてしまっていると思っていたのですが、コンポジットしてしまうと多少ランダムに加わるので、一枚一枚で見るよりも流れは目立たなくなるようです。それよりも、きちんとカメラの角度を合わせていなかったので、日にちが変わった後は画角が少しずれてしまい、使える面積が少し小さくなってしまったのが惜しかったところです。やはりカメラの角度は簡単に合わすことができる仕組みを考えた方がいいと思いました。

あと、上でも既に書いたのですが、Nik collectionのcolorのディテール強調は銀河周りの滑らかなグラデーションを壊し、ざらざらにしてしまいます。やはり得意不得意があるみたいです。ここではNikはSharpner Pro 3: (1) RAW PresharpnerとDfine 2をメインにしました。背景の暗さが効いてくるので、Dfine 2の効果が結構大きかったです。できあがったものです。

MARKARIAN_edit2

Markarian's chain
撮影地: 富山県富山市, 2017年3月4日1時16分から23枚に2017年3月5日0時0分から14枚を追加
タカハシFS-60Q(D60mm f600mm F10 屈折), Celestron Advanced VX赤道儀
キヤノンEOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出4分x37枚 総露出2時間28分
f200mmCanonレンズ+ASI224MC +PHD2による自動ガイド
ステライメージ、Photoshop CC+Nik collectionで画像処理


自分としてはこれは結構満足です。きちんと鎖型にもなっていますし、M87も入れることができました。実際結構な数の銀河がパッと見ただけでもたくさん確認できます。写っている銀河に印をつけると、

markarian_signed_final

拡大して見てもらうとわかりますが、PGCまで入れるとすごい数です。M: 3個、NGC:12個、IC:10個、PGCはまだまだ取りこぼしている分もありますが、写っている(さすがにうっすらと写っているものばかりですが)のを確認できただけで30個で、なんとトータル55個の銀河が写っています。


 

なんと、一昨日金曜夜に引き続き、昨日2017/3/4の土曜夜も撮影できました。気温も上がってきて、夜でもそこまで寒くはならず、だんだん春を感じてきています。

IMG_1230


一昨日のマルカリアンの銀河鎖の撮影ではが星像が少し流れてしまったので、引き続きリベンジで土曜の夜もMarkarian chainを狙って撮影しました。他の天体も考えたのですが、流石に月が明るくなってきて、0時前の撮影は厳しかったです。

さて、なぜ撮影時に星像が流れてしまったかは一応わかりました。カメラの方でとった写真を1時間くらいの単位で連続で見てみると、ずっと一方向に流れています。2分のバラではほとんど出なくて、4分のマルカリアンだとその流れが4分の間に見えるまでになってしまうというわけです。というわけで撮影で流れた星像が写った理由はわかりましたが、肝心の「なぜずっと一方向に流れるのか」の原因がまだわかっていません。

単純に考えると、ガイドのCCDはずっと一つの星を追っているのでCCDでの画面上はずれないはずで、それでもカメラに映った星像が流れるというのは、ガイドCCDと鏡筒に取り付けたカメラに相対的なずれが生じたということになります。すぐに考えられるのは何らかのたわみで、赤道儀の回転とともにたわみが一方向に出続け大きくなっていくというものです。心当たりがあるのは、60Dの鏡筒への固定が、適当なTリングとアイピース固定用の締め具だけで止めてあるので、弱い可能性があります。もう一つがASI224MCに取り付けた、新たに導入した55-200mmのCanonレンズが、ピント合わせのところを触るとすぐにずれるのと、光軸と垂直方向にもさわると結構ぶれる点です。もしくはレンズが重くなったので、そのせいでのたわみなのかもしれません。根拠はこれまでの軽い50mmの単焦点レンズだと、一方向にずれていくような動きは見たことがないということです。これから満月期に向かうので、平日夜あまり遅くならない程度に検証してみようと思います。


それでも2日目は制御の方で少し改善するようにしました。

1. まず、ターゲット星のPHD2上の検出している位置が結構ぶれることです。下の方に緑で出ているS/Nの数値を見ていると30以上は必要みたいで、自動選択だと暗すぎてS/Nが20以下とかになることがあり、ターゲットの位置検出精度が悪くなる時があります。もちろん明るすぎてサチるのには気を付けなければなりません。これは下の方に赤字で「SAT」とか出るのでわかります。

2. ターゲット星の検出精度にもう一つ関係するのが、プロファイルで見た時の形です。きれいなガウス分布の形をしていればいいのですが、実際にはかなりいびつでガタガタで、時間とともに毎回形が大きく変わります。ここはPHD2の下のほうの脳みそマークの左のガンマの値をいじって明るさを変えることで、できるだけきれいで安定した形にすることが大事みたいです。

3. 一つ気づいたことが、赤緯なのですが、フィードバックしない方が揺れのRMSが小さいのです。SWATの時にも同じ現象がみられましたが、これはフィードバックすることでノイズを加えていたことを意味します。下の画面はこれまでの200mmでのガイドです。CCD1ピクセルあたり3.8秒角の視野で、制御すると赤経、赤緯共に0.4ピクセルくらいのRMSで抑えることができています。実際にはRMSはがんばれば0.2ピクセルくらいまでいくことができるので、そこから見て倍くらい精度が悪いということです。

IMG_1221


次に、下の画面を見ると赤いフィードバックの線がないのがわかると思います。RMSのゆれは上の写真と比べて小さくなって0.3ピクセル以下になっていることがわかります。

IMG_1222



4. そのため、Agressiveの値を赤経、赤緯ともに40まで下げました。もう一つは、動き出す値をデフォルトの0.19pixelから0.39pixelに上げたことです。これで無駄にフィードバックする頻度が減りました。

IMG_1223


グラフの揺れ幅が変わっているところが値を変えた時間で、フィードバックの振幅、頻度共に少なくなって、実際の揺れも特に赤緯では明らかに小さくなっているのがわかると思います。


以上で、多少精度は良くなり、RMSでいい時で0.2程度、悪くても0.3程度の揺れまでに抑えることができるようになりました。もちろん風などの影響により実際の揺れは変化するのですが、風の時には赤系、赤緯ともに突発的に揺れるので、だいぶん見分けることができるようになりました。それでも一方向に流れていくのはまだ出ていますが、昨日よりマシみたいです。原因は依然不明です。

結局この日は撮影したまま午前1時頃に仮眠をとって、3時半頃に目を覚まして状況をチェックしたら、2時くらいから雲が出ていたみたいで、撮れた写真を見て見ると4分x30枚ほどにマルカリアンが写っていました。ここから星像が流れている写真などを除くと使えそうなのは15枚くらいで、約50%の率でした。少し枚数が少ないので、一昨日のと合わせて画像処理しようと思います。





 

3月3日、やっと満足いくくらい、夜が晴れました。久しぶりの撮影で、かつ久しぶりのブログ記事更新です。

これまでも何度か多少いい天気の時もあったのですが、一部しか星が見えていなかったり、晴れていても満月に近かったり、晴れている日に限って出張で富山にいなかったり、ずっと曇りで寝る時間になって空を見たら晴れているのに気付いたのに次の日仕事で泣く泣くあきらめたりと、ここ2か月近く全く成果がなかったので、一晩中撮影できたのは本当に久しぶりです。

実は何日か前、夜中の1時半ころに目が覚めると星が出ていたので、そこからSWATで撮影しようとしたのですが、空はすっかり春の星座で、戸惑ってしまい極軸合わせと導入で最後までうまくいかず薄明で終了となりました。その時狙っていたのが乙女座の「マルカリアンの銀河鎖」と呼ばれている、たくさんの銀河が連なっている、いわば銀河で作る星座ともいえるものです。初めての春の星座なので、当然撮影も初めてで、というより、乙女座付近にたくさん銀河があるのは聞いていたのですが、実際のマルカリアンの銀河鎖という名前を知ったのは星座の本を買ったつい最近なので、SWATのマニュアル導入では私の腕では全く歯が立ちません。どこを見ているのか目印の星がないので暗くて全くわからないのです。ガイド鏡のレンズを短い焦点距離のものに代えたりして試しているうちに時間切れで、気づくと薄明の中夏の星座が出始めていました。


1. バラ星雲

昨晩はそんな中でのリベンジです。天気が良かったので夕方からはりきって自宅の庭で準備を準備を始めました。

機材はいつもの通りFS-60Q (f=600mm)、今回は導入で失敗しないように、安全策でSWATではなくAdvenced VXの自動導入を使うことにします。カメラはEOS 60Dを天体用改造したもの。ガイドはASI224MCに200mmのレンズを取り付けたものに、ソフトはPHD2を使っています。カメラ撮影補助のソフトにはBackyardEOSを使っています。

この日は月齢4日で大した明るさでもないですが、夜11時近くまで月が出ているのと、この季節だと乙女座が昇ってくるまで時間があるので、練習がてら前回不満があったバラ星雲で撮影を試しました。前回の撮影からの改良点は
  • ピント調整が減速機のおかげで7倍程度細かく合わせられるようになった。
  • 望遠鏡の固定が、ピント調整の時はスムーズに、固定時はより強固に固定できるようにした。
  • これまで50mmの短焦点レンズだったガイドレンズを交換した。その時使った娘のレンズをガイドレンズとして借りっぱなしにするのは流石に気がひけるので55mm-200mmのCanonのズームレンズを4000円台で見つけたので、ファインダーとガイドがある程度両立でき、かつガイドの精度が上がった。
  • リモートスティックPCのネットワークが安定になったので、自宅の温かい部屋の中からでも外の望遠鏡の付近に行っても快適に操作ができる。
バラ星雲でこれらの効果を確かめ、撮って出し画像でも星像が格段にシャープになっていることがわかりました。撮影時間ですが、前回画像処理に回したのは結局40分ほどでしたが、今回は2時間ほどは取れたのでこちらは期待できそうです。ただ、月明かりがあったのと、自宅での撮影なので、色は前回ほどはでないかもしれません。

FS-60Q (f=600mm)、 EOS60D改、iso3200、120秒の撮って出しjpgです。

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+12c_20170303-22h32m38s767ms

自宅、月明かりの悪条件ですが、うっすらとバラの形は見えています。前回の画像処理前の撮って出し画像と比べてもシャープさは格段に上がっているのがわかります。というより、いかに前回のがピンボケだったか、反省しきりです。こんなのを天文台の写真展に出したかと思うととても恥ずかしいです。今回の処理がうまくいったら入れ替えでしょうか。



1. マルカリアンの銀河鎖

こちらは多数の銀河という、完全に初挑戦の種類の天体です。焦点距離600mmとAPS-Cカメラで結構いい具合の範囲になります。最近構図の確認はStellariumに頼りきっています。手持ちのカメラやレンズ、レデューサーやバローなどを登録でき、どのくらいの範囲が見えるかがすぐにわかります。惜しむらくは、その構図を回転方向に調整しにくということ。デフォルトでは表示している画面に対して水平か、上が北になるかです。

さすがにAdvanced VXの自動導入は楽で、SWATでの苦労はなんだったんだというくらい簡単に導入できました。FS-60Q (f=600mm)、 EOS60D改、iso3200、240秒での撮って出しjpgを載せますが、これだけでも結構銀河の形が見えてしまっています。画像処理が楽しみです。

MARKARIAN_LIGHT_240s_3200iso_+12c_20170304-01h32m26s538ms_a


ただ、結構な率で星像が流れてしまっています。4分で50枚ほど撮ったのですが、下手すると2割くらいしか使えないかもしれません。ガイドは200mmなのですが、RMSで0.4-0.5ピクセルくらいなのであまりいいわけではありません。ピークは時として大きく揺れます。ずれは主に赤緯方向です。風のせいかと思っていますが、ちょっと謎です。


ところで、日本語でなぜ「マルカリア”ン”の銀河鎖」と言うのかと思っていました。「マルカリアン銀河鎖」か「マルカリアの銀河鎖」が正しいのかと思ってしまっていたのですが、英語名がMarkarian's chainなんですね。マルカリアさんではなくマルカリアンさんが見つけたというわけです。



今回の反省点は

  • ASI224MCが何度か認識されないことがありました。ケーブルを入れ替えたり、ドライバーも入れ替えたりしたのですが、そういった問題ではなく、不安定な様子です。結局何度かのPCのリブートで解決しました。
  • 小型無線LAN親機のSSIDのIPが169.254.113.86にどうしても固定されてしまう。iPadのWi-Fiを静的アドレスにして、169.254.113.XXなどの同じセグメントにして、host名でアクセスすることでやっとアクセスできました。この際、DHCPは親機がルーターの機能を持っていないので当然働かず、IPを直接指定しても接続できませんでした。要調査です。
  • 星が徐々にずれていく現象が見られました。ガイドのキャリブレーションでやっと気づいたのですが、Advanced VXが立ち上げ時追尾モードになっていない場合があります。あらわにトラックレートを恒星と指定してやればいいのですが、これまでもたまにこの現象が現れています。毎回気づくまで時間がかかるので、時間がもったいないです。
  • 今回初めて天頂越えでの連続撮影になりました。天頂を超えると追尾できなくなるようなので、再度天体を導入し、反転させなければなりません。ちょうど仮眠をとろうとしていた直前に流れ出して気づいたので、事なきを得ました。ここまではそれでもまだ良かったのですが、実はカメラの向きも反対になってしまうために、撮影した写真が上下反対になってしまうのです。最初これに気づかず、構図が合わないと悩んで結構時間を食ってしまいました。
  • マルカリアンの銀河鎖ですが、風のせいか、主に赤緯方向に結構ガイドが暴れました。非定期に数秒のスケールで暴れるので風かと思っているのですが、それほど強く吹いてなかった気もしています。ちょっと調査が必要かもしれません。
今回撮った写真は今日これから画像処理をします。どれだけ出てくるか、特にマルカリアンの銀河鎖はこれまで挑戦したことがなかった種類の天体なのでとても楽しみです。(追記: マルカリアンは次の日も撮影を続行しました。)


話は変わりますが、このブログを書いている最中に県天のK会長から電話があり、黒部の科学館で6月頃に天体写真の楽しみとかいうテーマで何人かで講演しないかというお話がありました。まだ初心者で大した経験もなくて、いつもトラブルで困っているのですが、そんな困っていることをネタにでも話せたらなと思います。今からとても楽しみです。

あと、いまさらながらに思うのですが、結局いまだにSWATで撮影に成功していません。もともと海外撮影のために準備しているのですが、なんとかして一つでも成功させないとと思っています。


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