画像処理をするにあたり、フラット補正は最初の方できちんとしているのですが、画像処理を進めて星雲部分を強調していくと、どうしてもフラットに仕切れていない部分が目立ってきます。そのため先日撮影したバラ星雲を使い、少し検証してみました。簡単のため、コンポジットなしの一枚の画像のみで比べます。
最初はフラット補正無しと有りの比較です。ステライメージ7上でフラット補正後、ベイヤー/RGB変換をしてレベル補正で暗い部分をあぶり出しています。以下の2枚の写真を見ると、明らかにフラット処理をした方が周辺減光がまともになっています。
なので効果はあることは明らかです。しかしながら、フラット補正をした後でも、少しわかりにくいですが、右上隅に行くに従って途中までは暗くなっていっているのに、あるところから突然明るくなって、三角州のような明るい形が残っています。左上は周辺減光という言葉の通り、徐々に暗くなっていきます。このように一方は明るく一方は暗くというような場合、特に右上のように途中から明るさのスロープの傾きの正負が逆転しているような場合は、ステライメージ7上での周辺減光補正がすごくやりにくくなるので、少なくとも両方とも暗いとかの、スロープが滑らかなる状態を目指します。
あと、もう一つ気になるのは、フラット補正をした場合としない場合で明らかにカラーバランスが変わっている点です。補正無しは緑っぽく、補正有りはホワイトバランスがマシになっています。これは作業ミスというわけではなく、上の2枚をレベル補正のRGBで明るさを合わせようとしただけで、カラーバランスは何も変えていません。
ここから検証です。まずフラット補正時のオフセットの値を変えてみます。
逆にマイナス側のオフセットをかけます。
マイナス側は逆センス、プラス40%以上なら、少なくともアンバランスはかなり軽減されるようです。念のためこれ以降の処理をプラス60%をデフォルトとしておきます。
次にフラット補正時のガンマをいじってみました。オフセットは数学的にはフラットフレームに和もしくは差で下駄を履かせるというのでわかるのですが、このガンマはどのような処理なのかいまいちよくわかっていません。おそらくフラットフレームの明るさ方向の幅を決める係数のような気がします。オフセットは+60%で固定です。
ガンマを上げていくと、周辺減光補正の効きが強くなるようなので、ガンマがどれだけフラット補正の効果を効かせるかという係数という推測は間違っていない気がします。
オフセットとガンマではフラット補正で残った残差の調整は、最初の目的の明暗逆方向に行っているものを一方向のみにすることはできるとわかりましたが、それでも結局きちんとバランスを取るまでの調整はしきれないことがだいたいわかりました。そもそも、なぜこんなことが起きるかというと、フラットフレームとライトフレームの減光度合いが違っているからに他ならないのですが、考えられる原因はいくつかあって、
フラットフレームですが、ベイヤー状態ではカラーバランスの補正はできないので、まずはRGBに変換します。その時ホワイトバランスを自動で調整しないでそのまま見てみたら、何と画面全部緑です。
白い画面を写したのに、何でこんなに緑が大きくなるのでしょうか?カメラは天体改造してあるので、赤が目立つならわかるのですが。PCのプレビューでは普通に白く見えています。実はフラットフレームだけでなく、ライトフレームもホワイトバランスを自動にしないと緑が大きく強調されてしまいます。
何かがおかしいです。ステライメージのベイヤーからRGBへ変換ルーチンでしょうか?何か設定を間違えているのでしょうか?これは後できちんと検証するとして、とりあえず気を取り直して、とにかくホワイトバランスをトーンカーブで整え、まともな色のフラットフレームを作ります。
次にライトフレーム一枚をRGBにします。これがこのページの一番上の写真と同じものです。その次に、作ったRGBカラーでのフラットフレームを使って補正します。オフセット0%、ガンマも1とデフォルトの状態にします。そしてできた画像がこれです。
直接比較するべきは上から2枚目です。見やすいように再度載せます。
ホワイトバランスをとったフラットフレームで補正した上のほうは、完璧ではないですが四隅がかなり改善されています(追記: それでも画像処理を進めていくとやはり補正しきれていない部分が目立ってくるのが後でわかりました。まだ根本的に何かがずれているのかと思います。2017/9/21さらに追記: CANPでの話を参考に、その場でフラットを撮影するようにしたら、このようなズレは無くなりました。iPadなどのLEDでの光源と、周辺環境の余分光源からの回り込みにどうしても差が出てしまうようです。これ以降はフラットはその場で撮るようにすることにしました。)。それでも今回はとりあえずの対処療法で、フラットフレーム、ライトフレーム共にRGB変換した後にフラット補正したので、ベイヤーでフラット補正できるようカラーバランスの取れたフラットファイルが必要になってきます。
さて、そうなってくるとなぜ白い画面を撮っているのに、カラーバランスが崩れて緑になるかが謎です。これは機材を出して検証する必要があるので、また時間がある時に試します。
追記: どうやらステライメージ7でRAW現像(RAWで開いてベイヤー/RGB変換をしても、最初からRAW現像をしても)をすると緑がかるのは既知の問題の様で、アストロアーツによると仕様だとのことです。ということは、どうもホワイトバランスがとれたベイヤーでフラット補正するのは諦めた方が良さそうという結論になります。対策としては、
最初はフラット補正無しと有りの比較です。ステライメージ7上でフラット補正後、ベイヤー/RGB変換をしてレベル補正で暗い部分をあぶり出しています。以下の2枚の写真を見ると、明らかにフラット処理をした方が周辺減光がまともになっています。
- フラット補正無し
- フラット補正有り
なので効果はあることは明らかです。しかしながら、フラット補正をした後でも、少しわかりにくいですが、右上隅に行くに従って途中までは暗くなっていっているのに、あるところから突然明るくなって、三角州のような明るい形が残っています。左上は周辺減光という言葉の通り、徐々に暗くなっていきます。このように一方は明るく一方は暗くというような場合、特に右上のように途中から明るさのスロープの傾きの正負が逆転しているような場合は、ステライメージ7上での周辺減光補正がすごくやりにくくなるので、少なくとも両方とも暗いとかの、スロープが滑らかなる状態を目指します。
あと、もう一つ気になるのは、フラット補正をした場合としない場合で明らかにカラーバランスが変わっている点です。補正無しは緑っぽく、補正有りはホワイトバランスがマシになっています。これは作業ミスというわけではなく、上の2枚をレベル補正のRGBで明るさを合わせようとしただけで、カラーバランスは何も変えていません。
ここから検証です。まずフラット補正時のオフセットの値を変えてみます。
- プラス20%: 右上、左上、共に少し暗くなりますが、まだ右上が明るいです。
- プラス40%: 左上はさらに暗く、右上はほぼフラットでしょうか。
- プラス60%: 両側とも暗くなる方向です。
逆にマイナス側のオフセットをかけます。
- マイナス20%: 逆に明らかに右上がより明るくなっています。
- マイナス40%: 両側とも明るくなりました。
マイナス側は逆センス、プラス40%以上なら、少なくともアンバランスはかなり軽減されるようです。念のためこれ以降の処理をプラス60%をデフォルトとしておきます。
次にフラット補正時のガンマをいじってみました。オフセットは数学的にはフラットフレームに和もしくは差で下駄を履かせるというのでわかるのですが、このガンマはどのような処理なのかいまいちよくわかっていません。おそらくフラットフレームの明るさ方向の幅を決める係数のような気がします。オフセットは+60%で固定です。
- ガンマ0.6: 四隅とも結構暗くなります。
- ガンマ0.8: 0.6に比べると少し明るいでしょうか?でもデフォルトの1.0より少し暗いです。
- ガンマ1.4: 右上が再び明るくなりました。周辺減光補正(周辺を明るくするという効果)が効きすぎているようです。
ガンマを上げていくと、周辺減光補正の効きが強くなるようなので、ガンマがどれだけフラット補正の効果を効かせるかという係数という推測は間違っていない気がします。
オフセットとガンマではフラット補正で残った残差の調整は、最初の目的の明暗逆方向に行っているものを一方向のみにすることはできるとわかりましたが、それでも結局きちんとバランスを取るまでの調整はしきれないことがだいたいわかりました。そもそも、なぜこんなことが起きるかというと、フラットフレームとライトフレームの減光度合いが違っているからに他ならないのですが、考えられる原因はいくつかあって、
- フラットとライトのカラーバランスが一致していない。
- フラットの光源はPC画面だが、PC画面を見た場合と、夜空を見た場合で何らかの光の経路が違う。
- 露光時間の違いが、周辺減光に何らかの影響を及ぼす。
- ISOの違いが、周辺減光に何らかの影響を及ぼす。
- フラットが明るすぎる。
フラットフレームですが、ベイヤー状態ではカラーバランスの補正はできないので、まずはRGBに変換します。その時ホワイトバランスを自動で調整しないでそのまま見てみたら、何と画面全部緑です。
白い画面を写したのに、何でこんなに緑が大きくなるのでしょうか?カメラは天体改造してあるので、赤が目立つならわかるのですが。PCのプレビューでは普通に白く見えています。実はフラットフレームだけでなく、ライトフレームもホワイトバランスを自動にしないと緑が大きく強調されてしまいます。
何かがおかしいです。ステライメージのベイヤーからRGBへ変換ルーチンでしょうか?何か設定を間違えているのでしょうか?これは後できちんと検証するとして、とりあえず気を取り直して、とにかくホワイトバランスをトーンカーブで整え、まともな色のフラットフレームを作ります。
次にライトフレーム一枚をRGBにします。これがこのページの一番上の写真と同じものです。その次に、作ったRGBカラーでのフラットフレームを使って補正します。オフセット0%、ガンマも1とデフォルトの状態にします。そしてできた画像がこれです。
- ホワイトバランスをとったフラットで補正したもの
直接比較するべきは上から2枚目です。見やすいように再度載せます。
- ホワイトバランスが大きくずれたフラットで補正したもの
ホワイトバランスをとったフラットフレームで補正した上のほうは、完璧ではないですが四隅がかなり改善されています(追記: それでも画像処理を進めていくとやはり補正しきれていない部分が目立ってくるのが後でわかりました。まだ根本的に何かがずれているのかと思います。2017/9/21さらに追記: CANPでの話を参考に、その場でフラットを撮影するようにしたら、このようなズレは無くなりました。iPadなどのLEDでの光源と、周辺環境の余分光源からの回り込みにどうしても差が出てしまうようです。これ以降はフラットはその場で撮るようにすることにしました。)。それでも今回はとりあえずの対処療法で、フラットフレーム、ライトフレーム共にRGB変換した後にフラット補正したので、ベイヤーでフラット補正できるようカラーバランスの取れたフラットファイルが必要になってきます。
さて、そうなってくるとなぜ白い画面を撮っているのに、カラーバランスが崩れて緑になるかが謎です。これは機材を出して検証する必要があるので、また時間がある時に試します。
追記: どうやらステライメージ7でRAW現像(RAWで開いてベイヤー/RGB変換をしても、最初からRAW現像をしても)をすると緑がかるのは既知の問題の様で、アストロアーツによると仕様だとのことです。ということは、どうもホワイトバランスがとれたベイヤーでフラット補正するのは諦めた方が良さそうという結論になります。対策としては、
- 最初の方の方式のようにフラット補正の際オフセットを加えて周辺減光を滑らかにしてから、マニュアルで周辺減光を撮る
- ソフトを変える