- 望遠鏡側の揺れの1マイクロメートルが星のずれ1秒角程度に相当する。
頭の中ででもできるくらいの、簡単な計算の仕方を書いておきます。
- 鏡筒の長さが1mくらいのオーダー(10cmでも10mでもないという意味)だとします。
- もし鏡筒の先端が1μ[m] (= 10^-6 [m] = 1e-6 [m])動いたとします。
- 角度にすると1e-6[m]/1[m]=1e-6[rad]になります。
- ラジアンと°(度)の変換はπ(=3.14)で割って180をかければいいので、大まかにいうと60をかければいいです。なので1e-6[rad] x 60[°/rad] = 60e-6[°] = 6e-5[°]となります。
- 分角にするのは60をかけ、秒角にするのにさらに60をかけるので、3600をかけてやります。なので6e-5[°] x 3600 = 6e-5[°] x 3.6e3 ~ 20e-2 [秒角] =0.2[秒角]程度となります。
- 例えば、鏡筒が50cmくらいの長さなら2倍くらい星像のずれは大きくなり、0.4秒角くらいになります。まあ、1秒角くらいのオーダーということです。
実はこの値は相当厳しいということがわかります。今の私のシステム(鏡筒の長さが50cmくらいのFS-60Qで焦点距離600mm、EOS 60Dの1ピクセル3.75μm)だと、1ピクセルあたり1.4秒角程度になります。上の見積もりが正しいとすると、10μm(たかだか髪の毛の太さの10分の1くらい)の望遠鏡側のゆれで4秒角くらいの星像のずれなので、数ピクセルくらいになり、撮影した画像では容易に星像の流れとして認識されます。ネジが緩かったり、機器の自重でのたわみで簡単に星像の流れになり得ることがわかります。
コメント
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とすると鏡筒は屈折の場合、後ろから1/3ほどのところで赤緯体に固定されていますので、赤緯軸または赤経軸の回転方向に1um動くような揺れがあったとき、どこを中心に動いてしまうかで揺れが画像に与える影響が変わってくるように思います。
たとえば赤緯軸が動いて対物レンズが1um動いたとすると、屈折の場合は鏡筒の後ろから1/3あたりで赤緯軸に固定するので、0.3umの流れとなる。
赤経の揺れは、赤経軸から鏡筒光軸までの距離で流れの長さが決まる。
極軸微動装置の揺れは、動く方向と撮っている写野によっては、影響があったり無かったりする。
という理解で合ってますでしょうか。
オーダー計算なので、あまり細かいことはざっくり省いてしまっています。例えば、回転中心が長さ1mの鏡筒の中心にあって、そこを不動点として、50cm先の鏡筒の頭に触れて1umずれたとすると、実際の回転は後方も1umずれるので、角度としては2udadずれることになります。
実は最初にアップしたときに桁を一つ間違えていて、1umの揺れで2秒角と出してしまっていました。なのでタイトルの1umが1秒というのがまだしっくりきていたのですが、タイトルを変えるのもさえないので、やはりオーダー見積もりの程度でざっくり覚えやすい1umで1秒というのを残してあります。実際には揺れの方は風だったり、人の力だったりでそこまで厳密に与えることができないのと、HUQさんがいうように条件によってファクターでは平気で変わってくるので、オーダーで大きく間違っていなければいいのかなと思っています。
赤径の揺れもrad換算してしまえば同じことなのですが、長さで考えるとHUQさんのいう通りだと思います。でもこの赤経軸から鏡筒光軸までの距離も10cmくらいまで短くなることはありえるかもしれませんが、1cmのオーダーになることはまずありません。10cmだとタイトル通り1umが1秒角になりますね。
赤道儀地震の揺れも問題になってきます。例えば地面も一般的に10秒くらいの周期(0.1Hz)だとで1e-5m位揺れているのですが、これは平行移動になるので、無限遠の星を見ている場合には無視できます。問題は地面の揺れの回転成分ですが、あまりはっきりとしたデータを見たことがありません。評価が難しいのだと思います。1m離れた地点が同様に1e-5mくらい揺れていれば1e-5radくらい回転していることになりますが、星の観測の実績値からも実際にはこんなに回転はしていないと思います。
最後の極軸微動装置のところが少し理解できなかったですが、これは極軸合わせの精度が、見ている星像の長時間露光の場合の流れに出てくる度合いが、星の位置によって変わることを言っているのでしょうか?私がいっているのは長時間露光のことではなく、もっと単純に、機器が動いたらすぐに星も動くことを言っているだけです。この場合、基本的に平行移動成分は効かなくて、回転成分は全て効くと思っていいのではないでしょうか。例えば、ある星を見ている方向を軸に取り、その軸に対し回転に相当するpirch, yaw, roll成分はどれもすべて星像の動きとなって効いてきますが、平行移動に相当する、x,y,z成分の揺れでは星像は動かないので効いてこないということだと思います。