私がいろいろ悩んでいるのを見兼ねてか、いつもコメントをいただいているHUQさんからお誘いをいただき、自宅へお伺いさせてもらいました。実は今まで星まつりなどの暗いところでしかHUQさんの機材を見たことがなく、今回はやっとじっくり見させていただくことができました。結局午前11時くらいから午後5時くらいまで、ほぼ6時間ずっといろいろお話しさせていただいて、私にとってはとてもとても有意義な時間で、すごく楽しかったです。覚えている範囲ですが、聞いたことを忘れないようにメモしておきます。


画像処理:
  • ダーク補正、フラット補正、バイアス(フラットのダーク補正のこと)をやった後に、さらにカブリ補正と(フラットの過補正ででた)周辺減光補正をやったほうがいい。縦、横共にやること。通常はステライメージ7などの上で手作業でやる。
  • 星雲の情報は原理的にはヒストグラムのピークより右側に入っている(私はずっと左側に入っていると勘違いをしていました)。また、撮影時には周辺減光、被りなどの影響で星雲の情報が左側に来ることもあるので、実際にはピークが128/256から150/256くらいの右寄りになるようにisoと露光時間を調整する。190/256だと明るすぎ。
  • この原則からいったら、ほとんどヒストグラムのピークが左に寄っているような画像からでも星雲など暗い天体をあぶり出すことは可能であるが、高感度ノイズのレベルとの差が小さいので、多数枚をスタックして十分ノイズを落とす必要がある。
  • 逆に明るすぎると上側の階調不足のために、特に恒星の青などの色が出ない場合がある。カメラの個性にもよるので、いろいろためしてみるべき。
  • 適度な明るさでとったものは、彩りが鮮やかになる。
  • 調整が終わった時のような理想的な状態では、ヒストグラムはピーク位置でまっすぐに切って左半分がなくなったようなものになっているはず。実際には理想的にはならないので、RGB各色のピークの横軸での位置は合わせるが、縦軸の高さは違っていても構わず、左側の裾野の3本の線が一点で交わっている状態ならばいい。
  • 暗いところで黒、明るいところで白になっているべき。暗いところと明るいところのRGBのバランズが崩れているのはおかしい。
  • 暗黒星雲は黒、もしくは色がつくとしても暗い赤(茶色)が正しい。青い星雲というのはそもそも恒星からの光の反射のはずなので、暗黒星雲が青みがかっているのは反射がないため、あり得ないのではないか。
  • 暗黒星雲がバックグラウンドより暗くなることはありえない。
  • 恒星のところでサチっている面積が大きい場合は、DEF DECOで補正して正規化することができる。
  • ステライメージ7のデジタル現像はトーンカーブで再現することができる。特に明るいところでサチるのは、カーブの真ん中をあげ、高いところをサチらせてから、高いところに新たにポイントを加え、なだらかにつなぐことで同じような効果が得られる。
  • トーンカーブまでステライメージ7やPixinsight上ですませてしまい、Photoshop上ではNIKなどの微調整のみにする。
  • Pixinsightはトーンカーブを拡大しながら調整することができる。
  • Pixinsightだと固定撮影した時のひずみの出るような画像でも、補正してスタックすることができる。


SWATと鏡筒の接続の構造など:
  • 三脚はReally Right Stuffは思ったより強固。ねじりなどに対しても大丈夫。Gitzoの3号?のものも十分強固。ただしアルミ製のものはもう売っていないが、カーボン製のものは現在も売っている。トッププレートはエレベーターを無しのものに改造するといい。
  • アルカクランプをSWATに取り付ける時は3つのネジでしめることができるようにクランプにネジ穴を開ける加工をするといい。
  • アルカプレートはやはりねじれ方向に弱い場合が多い。
  • アルカプレートはHejnarのものが丈夫でいい。特に裏側を見ると、フレームが太くとってあるのがわかる。厚さも3/8インチから7/8インチまで選択可能。ただし日本語のページはないようなので、輸入になるようである。
  • 赤系の自由度に関して重心が赤経の回転の軸上にくること。そのためには長い棒(アルカスイスのプレートなど)を渡して、片側に鏡筒やカメラを乗せ、もう片側に重りを乗せる。こうすることにより、カメラがSWATに当たらなくなる。結局ドイツ式のようだが、カメラ側の距離はSWATにぶつからない程度にできるだけ短くする。重り側は多少たわんでもいい。また、赤緯の自由度に関しても赤緯の回転の軸上に重心が来ること。もうひとつ重要なことは、全体の重心が三脚の中心上に来ること。
  • 接続部を増やすと、たわみが発生するのはある意味み仕方がない。それでも重心をきちんととっていればかなりマシになる。
  • Jillvaの微動回転台はオフセットがついていて、重心を三脚の中心に持って来やすい。ただしSWAT本体に改造が必要。

SWATでの制御について:
  • SWAT-200だと2軸制御の方が実用的。SWAT-350なら1軸制御でも実用的。違いは回転台の固定方法で、200は350に比べて極軸が少しぶれるため、長時間の赤緯方向の安定性が出ない。
  • 2軸制御で頑張れば焦点距離1200mmでまともな星像にすることができる。ただし簡単なことではなく、相当経験した上での話。重心位置は特に重要。普通にやると400mmくらいまでで、500mmを超えると途端に難しくなる。
  • 2軸制御のために使っているHigrashiは強度的には十分。赤緯の追尾は必要のない機能だが、100倍までのスピードで動かすことができるので、導入時に便利。
  • 回転台のブレは私が持っているSWAT-200もHUQさんがもっている350もほとんど同じだった。このくらいの1度くらいのオーダーだが、このくらいで問題ないとのこと。

α7S:
  • α7Sでの星景写真はあり。30秒までの露光で微光星まで出し、30秒以上の露光でバックグラウンドの天の川を出してマージするといいかも。

電視観望:
  • ASI1600などの大きなセンサーでの電視観望の例はまだあまり知らない。
  • 思ったより電視観望をやり出す人が少ない。もっと流行ってもいいのに。


その他細かいこと:
  • Stick PCやバッテリーにはシールタイプのマジックテープをつけておくとくっつけて使える。
  • ELECOMのUSBハブはUSB3.0とUSB2.0が混在していてもUSB3.0のスピードが出ることを保証している。
  • Rii mini N7という小さいキーボードがある。私も小さいのを持っているが、唯一の欠点が電源のオン/オフスイッチが付いていないところ。こちらは電源スイッチもついているみたい。 
  • 風対策が必要かも。ホームセンターで売っている周りを囲むフードのようなものを検討中。

まだ聞いたのに忘れていることもあるかもしれません。思い出したら随時追加していきます。HUQさん有益な議論本当にありがとうございました。


ところで、今実家に来ているのですが、都会のあまりの星の見えなささにびっくりしています。確かに子供の頃にもあまり星が見えた記憶はないのですが、改めて久しぶりに星を見ると、富山の自宅での見え方と比べると雲泥の差です。普通で見ると星座としてはほとんどオリオン座しか認識できません。カシオベアがかろうじて形がわかるくらいです。Wide Binoを使って、やっとすばるがなんとか確認できました。というか、こんな環境でも星座を形にしてくれるWide Bino凄すぎです。HUQさんみたいにこの環境で星雲を炙り出している人がいるというのは尊敬に値します。