牛岳での前回の撮影の際、フラットフレームの一枚撮りを無加工でjpegで載せておきました。今回の話はこれがスタートなので、今一度このページでも載せておきますが、

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m10s699ms

真ん中に黒点があるのと、四隅が少し暗いことくらいがわかります。これを再度よく見てみます。

あらためて撮影条件の確認ですが、2016年11月18日、天体撮影後、鏡筒やピントなどもそのままでフラットフレームを撮影。PCの画面を真っ暗になる一段階前(10%)にして、そこに鏡筒を平行に寄せて、ISOは100、露光時間は1秒で撮影しました。その際の一枚撮りのフラットフレームのRAWファイルをステライメージ7(以下SI7)で「ベイヤー配列」で開き、すぐに「ベイヤー・RGB変換」。その際ホワイトバランスを自動で整えました。

まずはその時の状態をjpegに画質6(画質が高すぎるとblogのサイズ制限ではねられてしまうので画質を落としてあります。)で落としたもの。

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m10s699ms_org_6


先の前回の画像は取ってから無加工なのですが、この画像はホワイトバランスをとっているので、少し明るくなっています。よく見ると、上の右のほうにももう一つ黒い丸があります。

次に、ヒストグラムの「σ(1,1)」でかなり粗(あら)が見えるようにして、jpegの画質6で保存したものが次の画像です。

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m10s699ms_sigma_6


驚くことに、今まで見えていなかっただけで他にもホコリでしょうか、黒い丸が多数あります。色も上下左右でかなり違います。

次に、前回の画像処理に使うためにフラットをダーク補正し、16枚をコンポジットしたものを同様の条件で見てみます。

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m_x16_sigma_6


16枚のコンポジットなので、ランダムノイズはsqrt(16)=4で4分の1になっているはずなのですが、見た目にはほとんど変わっていません。フラットのダーク補正が必要なことは、他のページで検証されている方がいらっしゃるので、そこはいいとして、コンポジットの肝であるランダムノイズが改善されているようにはどうしても見えません。jpegファイルは細かい画像だとファイルサイズが大きくなり、のっぺりした画像だとファイルサイズが小さくなる傾向にありますが、コンポジットした方が6.3MB/5.6MB=1.125倍程度逆に大きくなっています。これはノイズが減った方向とは逆のセンスです。


話をもどして、その後11月24日の数河高原での撮影の際にカメラのミラー部分を掃除してから、天体撮影をしました。最後は計算機のバッテリー切れと霜でフラットが撮影できなかったので、昨日11月25日に自宅で夜中にフラットを撮りました。その際の設定が、鏡筒はFS-60Qのまま、ピントはいじっていない状態を保ちつつ、PCの画面を真っ暗になる一段階前(10%)にして、そこに鏡筒を平行に寄せて、ISOは100、露光時間は前回の1秒だとヒストクラムのピークが8割くらいのところまで行っていたので、0.5秒に落として撮影しました。その際の一枚撮りのフラットフレームのRAWファイルをステライメージ7(以下SI7)で「ベイヤー配列」で開き、すぐに「ベイヤー・RGB変換」。その際ホワイトバランスを自動で整え、ヒストグラムの「σ(1,1)」でかなり粗が見えるようにして、jpegの画質6で保存したものが次の画像です。

FLAT_Tv05s_100iso_60D_20161126-01h13m13s465ms_sigma_6


まず、濃い黒丸が2つ少なくともなくなっています。これは掃除のおかげでしょう。エアーで吹き飛ばしただけなので、大きなものは取れますが、くっついているような細かいものは取れないようです。また、鏡筒に対してカメラの取り付け角が変わっているのですが、それでもその他のホコリの位置は変わっていないことから、これらの汚れはカメラ側ということがわかります。

もう一つ気づくのは、少しわかりにくいかもしれませんが、ランダムノイズが多くなっているように見えることです。違いは露光時間が1秒から0.5秒に変わったけで、相対的に少し暗いものを写しています。ヒストグラムのσ(1,1)で見ているので、見た目の明るさは同じになるように調整されています。このことを元に、次に同条件で天体撮影時の感度に合わせたISO3200、ヒストグラムのピークを真ん中らへんに持ってくるように露光時間を1/100秒に合わせ、同じようにσ(1,1)で見てみました。

FLAT_Tv1100s_3200iso_60D_20161126-00h29m20s793ms_sigma_6

圧倒的にノイジーです。黒い丸さえも見えません。ISO x 露光時間は100 x 0.5 = 50と3200 x 1/100 = 32でほとんど同じなのに、ISOが大きいために大量のランダムノイズが乗ってしまったというわけです。これは果たして何を意味するのでしょうか?

ここからは推測です。そもそもフラット補正の目的は画面の明るさの分布の違いや、ホコリなどでできた不連続なシミを取ることです。ランダムノイズの除去は目的ではないはずです。そうするとランダムノイズが乗っているフラットフレームは、そもそも適していないということになります。本来見えていて欲しい黒丸さえも、いろいろ試したのですが、どうやっても影も形も見えなくて、情報が欠落しているような状態になっています。ISOは天体撮影時と同じ方がいいという説がありますが、もし上の考え方が正しいとすると、トータルで同じ明るさならばフラット撮影時のISOは低くしてノイズを出さないようにした方がいいということになります。また、今回コンポジットであまりランダムノイズが減ったようには見えなかったですが、たとえ理論通りに枚数のルートでノイズが減ったとしても、ISO3200で例えば16枚取るよりも、ISO100で一枚撮った方がsqrt(16):sqrt(3200/100) = 4:4sqrt(2)で、ISO100で一枚撮りの方がノイズが1.4分の1に少なくなるということになります。もしランダムノイズがアルゴリズムのせいなどで理論通りに減っていないとすると、さらにこの差は開きます。

もし、今回の推測が正しいとすると、牛岳でISO100でフラットを撮ったのは間違えだったと撮ってからずっと思っていたのですが、奇しくも偶然正しい方向で進めていたことになります。少なくとも画像処理の段階で四隅の補正に関しては問題はありませんでした。ただし、以下に示すように一つだけ困ったことがありました。

もう一つ気づいたことが、このページの上から3枚目の画像と5枚目の画像を比べると、下の部分が5枚目の方が明るいのです。最初これが謎だったのですが、よく考えると、おそらく下側に何らかの明るい部分があって、その明るさの絶対量は変わらないのですが、5枚目の方が全体が相対的に3枚目よりも暗いので、見た目の明るさを合わせると下の部分が5枚目の方が明るく出てしまっているのではないかという結論に至りました。実は牛岳の写真を処理している時に、M45の方だけどうしても下側が明るくなってしまうということがあって、泣く泣く一部トリミングしたという経緯がありました。少なくともここの部分はまだ補正がうまくいっていないのだと思います。


今回の話は、調べた限りあまり聞かないような話ですが、ごくごく素直に考えていて、奇をてらっているわけでも何でもないので、あまり間違ったことは言っていないと思いますがどうでしょうか?実際にこれから処理をする過程で、できた画像の結果を見ながらもう少し検証していきたいと思います。

それにしてもフラットは奥が深いです。