一昨日流れていくのの犯人を、タカハシのポータブル赤道TG-SPのモーター駆動の軸のスリップと突き止め、実際にどれくらい追尾できるのか10月19日夜に試してみました。


もう一つの変更点が、三脚を一番短くし、さらに足を開いて安定感を増してみました。三脚の真ん中の棒がギリギリ地面に当たらないように設計されているようです。かなり揺れにくくなったと思います。三脚にぶら下げる重りも必要になるかもしれません。

IMG_0331

実際には上の写真のようになっています。最初から比べたら大分小さくなって、段々かっこよくなってきた気がします。 あ、オリジナルのファインダーはまだ外していませんが、今回すでに全く使っていないです。


準備としてはこれまでと同様に、

1. 適当に見える星を導入し、ファインダーとして使っているASI224MC+16mm CCDレンズでの(PC上で見た)像の中心と鏡筒の像の中心が合うようにする(そのまま固定してあれば毎回やらなくてもいい)。
2. SharpCapのPolar Align機能で極軸を調整する。今回は3分くらいまで合わせました。

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もう少し精度は出せると思いますが、撮影中に起きるずれのほうが大きくなってくるくらいだと思います。

3. BackyardEOSのFrame & Focus機能でピントを合わせる。

といったところですが、自宅での撮影の場合、鏡筒と赤道儀と三脚は組みあがったまま玄関に置いてあるので、設置開始から撮影準備ができるまでに15分くらいです。ずいぶん時間が短縮できています。

さて結果ですが、ベガ周りで撮ってみました。焦点距離は600mm、jpgで無加工です。

下の写真は30秒露光でですが、ぱっと見では全く流れは見えません。ただ、拡大するとそれでも少し流れているようです。

VEGA_LIGHT_Tv30s_3200iso_+36c_60D_20161019-20h15m49s122ms


次は60秒です。そのままだと目立ちませんがやはり拡大すると流れてしまっています。少し振動が入ってしまっているのもわかります。

VEGA_LIGHT_60s_3200iso_+30c_60D_20161019-20h19m51s282ms



さらに120秒だとパッと見でも流れているのはわかりますし、これも大きな振動が入ってしまっています。

VEGA_LIGHT_120s_3200iso_+29c_60D_20161019-20h21m44s126ms


少なくとも追尾しようとしているので、前回よりははるかにマシにはなったのですが、まだ流れと振動を完全に抑えて点像にすることができません。自宅周りでは空が明るいので短時間露光しか意味がないのですが、週末に牛岳と山奥に行く予定なので、もう少し詰めてみたいと思います。

焦点距離、極軸合わせの精度、赤道儀の精度、撮影時に起こる揺れなど考えて、実用的な秒数を求めたいのですが、まだ理屈の方もあまりわかっていません。ここら辺も少し考えてみたいと思います。

今回は3分角程度で合わせこんだのですが、ここを見ると、焦点距離600mmでCCD上で10μmのずれにするには3分角程度の設置誤差が必要とのことなのですが、これよりは多少甘いはずなので、設置誤差に関しはすでに問題ないレベルかと思います。それよりも赤道儀の速度変化、振動の方が問題になってきそうです。

 次の計測はピリオディックモーションでしょうか。



追記(2016/10/20夜):

別にペリカン星雲付近を1分露光で10枚撮った写真があります。10枚を連続してみると、星が赤緯方向に一様のスピードで移動し、赤経方向には上下しています。大まかに赤緯方向の移動速度を計算すると、10分あたり1分9秒 (=414秒/hour)でした。赤経方向の上下移動の幅は大まかですが、22秒ほどです。1周期いっていませんが、ピリオディックモーションが出ているようです。いずれにせよ、まだ極軸のずれが相当大きいようです。上の3分で十分という見積もりは甘かったということでしょうか。

この結果から、次はドリフト法でも攻めてみようと思います。BackyardEOSにドリフト法補助のモードがあったのですが、まださっぱり使い方がわからないので、こちらもちょっと試してみます。