ほしぞloveログ

天体観測始めました。

今週も土曜の夕方、3週連続で富山市科学博物館での観望会です。

今日は日中基本的にどん曇り。まるで観望会のためだけに天気が良くなったような感じです。GPVで見ると本当に19時頃から雲がなくります。実際には少し雲も残っていましたが、ISSから始まって、オリオン座、すばると必ず空が開けているところがあり、十分楽しむことができました。

今日は寒かったので集まった人はそれほど多くはありません。多分一般の方は20人くらいでしょうか。科学博物館の機材はいつものMEADEのシュミカセ25cmと、タカハシのFS-78、やっと機種がわかりましたNIKONの大型双眼鏡20x120-Ⅲです。他にも県天のOさんのBORGの確か76EDでしょうか、同じAZ-GTiで電視観望を披露しています。私もいつもと同じFS-60CBをAZ-GTiに載せた電視観望と、これもいつものSCOPETECHです。他にもフィールトスコープや小さな望遠鏡も出ていたようです。
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18時半頃、初期導入時。
シリウスが見え始めていますが、まだ雲が少し邪魔をしていました。


さて、今日の観望会の最初は科学博物館の方のお話です。今回のテーマは星占いでした。
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お話が終わると、外に出ての観測ですが、今回はちょうど始まってすぐにISSが見えました。街中でも肉眼でもはっきり見えるくらい明るいので、これはみなさん喜んでいました。満月期を過ぎていて、月が出ていないので、その後はM42のトラベジウムやすばる、二重星などを大型望遠鏡の眼視で楽しみました。
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ISSをみんなで見ています。
iPhoneでとっさに撮ったので星像がぶれてしまっていますが、
みんなで楽しみました。

電視観望ですが、Oさんも私も光害防止フィルターのQBPを入れてあります。街中でのQBPの威力は結構すごくて、相当明るい場所(今回の場所は以前Natsuが自由研究で示したこのページの一番上の写真になります。EOS kiss X7で18mm、F3.5、ISO3200の20秒露光で真っ白に近くなるくらいの場所です。)でも、なんとか星雲をあぶり出してしまいます。毎回同じ対象で申し訳ないのですが、M42オリオンはかなりはっきりと
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馬頭星雲と燃える木が、かろうじてですが写ります。
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今回一つ困ったことが起きました。現場にはWiFiで見る限り3台のAZ-GTiがあったのですが、そのせいでしょうか時々接続がうまくいかなくなるのです。例えば、勝手にアラインメトが狂ったり、動かなくなったり、ひどい時は一度勝手に動いた時がありました。多分誰かのSynScanが繋がってしまったのかと思います。Oさんも途中少しトラブっていたようでした。Wi-Fiのパスワードを設定していなかったことも原因かもしれません。何台か同じWi-Fiを使うような機種があるときは、ネットワークの設定をきちんとしておいたほうがいいです。今回も自宅に帰ってから早速パスワードと、チャンネル番号をデフォルトのものから変更しておきました。

SCOPETECHも、必ず毎回結構ずっと触り続けてくれる子が現れます。普段望遠鏡を見せてもらうことはあっても、触ることはまずないとのことなので、これを機会に興味を持ってもらえると嬉しいです。

星座望遠鏡も今回も5種類出して大活躍です。やはり小海で手に入れたcokinの大口径のものが一番人気ですが、「これは手作りのため販売されていないものです。」というと残念そうな反応です。その代わりWideBino28がアマゾンでも手に入りますよというのですが、やはり大口径を見てしまった後だと反応があまり良くないです。cokinのは子供でも簡単に見ることができるので、貴重なのかもしれません。

話は変わりますが、昨年の豪雨の影響で土砂崩れが発生し、現在も閉鎖が続いている富山市天文台が、場所を変えて市街地の方に移設されるというニュースを最近聞きました。これまで山の中にあり、駐車場から800mほど歩かなければならないなど、多少行きにくかったところもあるので、街中に作られればこれまでよりも多くの人が来ることになるでしょう。2021年着工予定だそうですが、候補地がいくつか検討されていてまだ決まってはいないとか。観望に街の灯りは心配ですが、これを機会に街灯などの街明かりに対する光害への意識も高まってくれればと思います。

今回で街中での観望会は3回目になりますが、月や惑星が出ていればわかりやすくていいのですが、今日みたいな月もない晩だと見るものを選ぶのに苦労します。冬の終わりなので、この時期トラベジウムは面白いです。夏場はアルビレオなどの二重星も面白いと思います。球状星団などもなんとか見えるのかと思いますが、流石に星雲は大口径でM42クラスでも本当にぼんやりとしかわかりません。

電視観望はうまくすると街中の観望会でも明るい星雲ならそこそこ見ることができます。上手く使えば魅力的な観望会になると思います。見せるほうの側の慣れも必要かと思いますので、また私も時間の許す限り協力していきたいと思っています。


今回は仲のいいM家にも声をかけ、M家がくるならとうちのNatsu(中2)とSuke(小6)も参加しました。と言ってもNatsuは寒いと言ってM家が来るまでは車の中で読書。だんだん星への興味も薄れてきているようです。Sukeは今回私が最初の頃に買ったEOS kiss X5を持っていって、星座写真とか、いつものようにふざけた写真を撮っていたみたいです。
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Sukeが撮ったオリオン座。撮って出しjpegです。


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ふざけた写真の一例。
 
途中M家がきてからはみんなで撮影大会をしていたようでした。相変わらず暴れまくっていたみたいですが、みんな楽しそうにしているのでまあいいでしょう。M家のK君、無事に高校も受かって、来週から銀河学校へ参加するそうです。全国から天文に興味がある高校生が木曽シュミットに集まって、何泊かして実際の観測機器を使って天文学を経験します。その後1年くらいかけてまとめて、面白い結果が出たものは天文学会のジュニアセッションで発表するそうです。いいなあ、私も高校生だったら絶対行ってみたいです。
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M家3兄弟。観望と撮影。楽しそうです。
この写真もSukeが撮影しました。

その後、帰り際に三脚に置きっぱなしにしておいたSukeのEOS kiss X5が三脚ごとパターンと倒れてしまいました。カメラは無事だったのですが、レンズの外枠に大きな凹みができて、ピント調整リング、焦点距離調整リング共に硬くなり、レンズの筒自身も完全にスタックしてしまい、何も調整できなくなってしまいました。中古で買ったキットレンズクラスのもので、格安だったのでそれほど惜しくはないのですが、それでももったいなくて自宅に帰ってから凹みを頑張って直していました。最初全然直る気配がなかったのですが、かなり力を込めて曲がったところを戻してやると、なんとか動き出してオートフォーカスまで使えるようになりました。三脚に立てて放っておくのはやはり怖いですね。子供にも気をつけるように言っておきました。

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レンズの枠が曲がってしまいました。ひどいのは上の部分です。
これでも直した後です。
一応オートフォーカスも使えるようになりました。


あ、全然違う話になりますが、お隣の県ですが岐阜県神岡町に「カミオカラボ」というのができます。3月27日オープンだそうです。オープン前ですが、ちらっと立ち寄ってみました。

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まだ準備中です。4日後の3月27日にオープンだそうです。

最近こういった施設もどんどんできてくるようになりました。宇宙に興味のある方が増えてくれると嬉しいです。

帰る際、M家のK君が自宅に寄っていきました。銀河学校へ行くのに天文学関連の本を渡すためです。持って行った本は半田利弘著「基礎からわかる天文学」。天文学の基本的なことが一般の人にもわかるように平易に書いてあるので、天文好きな高校生なら十分に読むことができると思います。他にも星景撮影のムックなどを何冊か持って行きました。受験が終わってやっと天文機材やカメラにも触ることができると喜んでいました。銀河学校がいい経験になってくれればと思います。

外を見るとしばらくの間晴れていましたが、M君が帰ることにはガスってきて今夜は朧月夜です。まあ満月期なのであまり惜しくはないのですが、今日も撮影はお預けです。

さて、富山市科学博物館の観望会は来週3月30日はお休みです。4月からは毎週土曜日開催とのことなので、お近くで興味のある方は是非とも参加してみてください。 

 

もう先々週になってしまいますが、3月8日金曜日の帰宅後、ちょっと疲れていたのですが新月期で天気も良かったので、かねてより試したかったAZ-GTiによる2軸ガイドを試してみました。これができると、かなり軽量コンパクトな撮影システムになるので、海外や登山でも持っていけそうです。

撮影対象はM42、オリオン大星雲です。画像処理に時間がかかってしまったので、記事にするのに時間がかかってしまいました。撮影結果を先に示しておきます。本来ガイドを試して星像を見るテストなのですが、今シーズン最後のオリオンになるだろうことと、撮影時間1時間弱にしてはそこそこ出たので、AZ-GTiで(まだまだ稚拙ですが)ここまでは出るという指標として、きちんと画像処理までしたものをあげておきます。

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富山県富山市下大久保 2019/3/6 21:23-23:04
f=600mm, F10 + AZ-GTi(赤道儀モード)
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW)
300sec x 11frames 総露出時間55分 + HDRのため3sec x 12
PixInsight , Photoshop CCで画像処理




AZ-GTiのこれまでの経緯

これまで、これまでAZ-GTiを赤道儀モードも含めていろいろ試してきました。
  1. AZ-GTiのファーストテスト
  2. AZ-GTiの赤道儀化(その1): ハードウェア編
  3. AZ-GTiの赤道儀化(その2): ソフトウェア編
  4. AZ-GTiの赤道儀化(その3): 極軸調整とオートガイド
  5. AZ-GTiの赤道儀化(その4): Stick PCでのガイドとTips

実際4のところでガイドも試していますが、露光時間が30秒と短すぎたのでまだちゃんとしたテストにはなりませんでした。その後、この赤道儀モードでもう少し時間をかけた撮影を試みました。
  1. 昨年11月2日にAZ-GTiの赤道儀モードでノーガイドでテスト。
  2. 11月3日にAZ-GTiの赤道儀モード2軸ガイドに挑戦するが、接続問題で断念。
  3. その後、ブログの記事にはしていませんが、11月15日に少しくらい山の方に行ってAZ-GTiの赤道儀モード2軸ガイドに挑戦するが、ISO1600、3分で13枚だけとって、そのうち成功はわずか2枚、Maybeが5枚で、失敗6枚とほとんどダメだったので、検証は失敗。原因は風が強くて全く点像にならず。
と、現状はこういったところです。

この頃はまだQBPフィルターを手に入れる前なので、自宅ガイド無しで露光時間90秒が最長、山の中のガイドありでも3分が最長で、その代わり特に自宅だと露光時間の短さを補うためISOが6400と高めです。それからだいぶん日にちが経ってしまいましたが、今年の目標の中にはまだAZ-GTiの赤道儀モード2軸ガイドは入っていました。なかなか天気が良くなかったり、途中レデューサーフラットナーのテストも入ったりしたのですが、それらのテストも一巡して、FS-60CBだった鏡筒もやっとエクステンダーを付け直して、焦点距離600mmのFS-60Qに戻りました。やっと久しぶりのテスト再開です。


目標

さて、この「AZ-ZGiでの2軸ガイド」計画の目標ですが、具体的には
  1. 焦点距離600mmの鏡筒をAZ-GTiの赤道儀モードで稼働し、2軸のガイドを実現すること。
  2. フルサイズのカメラで撮影して、少なくとも3分以上の露光で、赤道儀起因の流れが十分無視できる程度の撮像が得られること。
  3. 撮影枚数のうち、8割以上の成功率を実現すること。
の3つです。これは海外へ行く時など、できる限り軽量で実用的な撮影ができるという条件から設定しています。この目標が達成できれば、十分海外へ持っていっても使い物になると考えることができます。

1については上で書いたように、赤道儀化テストの4番目や、昨年11月15日にシステムとしては稼働しているので、すでにほぼ目標達成です。2については上記の3に書いてあるように、3分で2枚だけ成功しているのですが、風が弱かった時での成功で、もしかしたらピリオディックモーションがたまたま小さかった時のみの成功かもしれません。なので主にここからの検証です。

機材とソフトウェア

  • 鏡筒: タカハシ FS-60Q (口径60mm, 焦点距離600mm)
  • 赤道儀: AZ-GTiを赤道儀モードで使用
  • センサー: Canon EOS 6D(HKIR改造)、ISO3200、露光時間5分x11枚、計55分 + HDR合成のため、3秒x12枚、バイアス画像100枚、ダーク画像5秒x15枚、フラット補正無し(撮影後、フラットを撮る前にセッティングを変えてしまったため)
  • 初期アラインメントおよび追尾ソフトウェア:iPhone上でのSynScan Pro、その後Windows10上のSynScan Pro
  • 自動導入および視野確認: Carte du Ciel + SynScan Pro AppのASCMOドライバー、Astro Trotilla + BackyardEOS
  • ガイド時のソフトウェア: Windows10上のSynScan Pro AppのASCMOドライバーにPHD2 + BackyardEOSでガイド+ディザー撮影
  • ガイド機器: ASI178MC + 50mm Cマウントレンズ
  • フィルターサイトロン Quad BP フィルター(クアッド バンドパス フィルター、 以下QBP)
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 日時: 2019年3月6日、21時23分から
  • 月齢: 29.6(新月)、天気快晴、風が少々
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


セットアップ

まずはAZ-GTiを赤道儀モードで稼働させることが前提です。経緯台モードでも2軸ガイドができるという情報もありますが、私はまだ試したことがありません。

AZ-GTiでの2軸ガイドのポイントの一つは、SynScan App用のASCOM driverをインストールして、PHD2からのガイド信号をSysScan経由でAZ-GTiにフィードバックすることです。すなわち、PC上で信号のやり取りはほぼ済んでしまうために、ケーブルとしてはガイドカメラからのUSBケーブル一本、あとは今回の場合BackYard EOSを使ってディザーガイドをしているため、PCとEOS 6DをつなぐUSBケーブルが一本の、計2本です。AZ-GTiの電源は乾電池で内臓、EOS 6Dの電源も電池のため内臓で、AZ-GTiの駆動はWi-Fi経由なので、本当にケーブル2本、もしディザーをしなくてカメラ単体でとるのならわずかケーブル1本での2軸ガイドが可能です。

さらに今回の場合、Stick PCを使い、PC自身も三脚あたりに取り付けてしまったため、本当にコンパクトな2軸制御システムとなりました。Stick PCの操作はWiFi経由なので、自宅からぬくぬくと撮影、モニターをすることができます。


実際の撮影

極軸合わせはいつも通りSharpCapで行いました。一つだけポイントを挙げておきます。

AZ-GTiは構造的にそこまで頑丈ではないです。SharpCapの極軸合わせで90度視野を回転させる場合、手で回す際はウェイトバーがついているところのネジを緩める必要があるのですが、その時全体が大きくたわんでしまいます。90度回す時はモーターで回転させた方がはるかに精度が出ます。

さて、実際の撮影はフル自動導入の赤道儀とほぼ同様に扱うことができます。これは、Carte du CielなどのプラネタリウムソフトでAZ-ZTiを制御して自動導入することもできますし、Astro Tortillaなどでplate solvingすることもできるので、撮影した写野から位置を特定することもできることを意味します。ようするに、操作性だけ言えば大型で高機能な赤道儀に全然遜色ないということです。

視野が決まれば、あとは撮影です。QBPを使っているので、5分露光くらいまでは十分耐えることができます。ISOは3200としました。撮影中は自宅にいたのですが、今回は星像が気になってしまい、仮眠をとったりすることができませんでした。というのも、最初のうちはガイドは非常に安定していたのですが、30分くらいしてからガイド星の位置が結構頻繁に飛びはじめたのです。しかもピリオディックモーションが出ないはずの赤緯の方です。時に上に行ったり、時に下に行ったり、ガイドがかなり頑張って補正しているようでした。何か調子が悪いのかと思って外に出たらすぐに納得しました。明らかに風が強くなっていたのです。どうやらAZ-GTiは、撮影レベルになるとやはり外乱の影響を受けやすくなってしまうようです。もちろん三脚などでも変わると思うので、もう少し大型の三脚に載せてもいいかもしれませんが、それだと売りのコンパクトさが損なわれてしまいます。使えるのは風が強くない日限定でという制限をつけた方がいいかと思います。

この頃は冬も終わりに近づき、オリオン座も西に傾く時間がはやくなってしまっているので、結局撮影に使えた時間は21時半くらいから23時くらいまでと1時間半で、総露光時間は55分と1時間を切ってしまいました。


撮影結果

結局14枚撮って(ただし、撮影最後の西に沈んで影になった3枚はカウントから覗きました)11枚が成功でした。と言っても衛星が大きく通った一枚も失敗とカウントしたので、星像という意味では実際には14枚中12枚が成功と言っていいと思います。86%の成功率なので、目標達成といっていいでしょう。

隅の星像を(自作プログラムを改良して8隅が出るようにしました。)拡大してみます。大体のガイド性能までわかると思います。ただし、AZ-GTiのそもそものピリオディックモーションが+/-75秒程度とかなり大きいので、ガイドをしてもその影響を取り去ることはできません。また、風の影響も多少あります。

星像がまともと判断したものの中でベストに近いもの。まあまあ、丸になっていますが、やはり完全ではなく、わずかに斜め方向に伸びています。

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星像がまともと判断したものの中でワーストに近いもの。ここら辺までが許容限界としました。スタックすると多少は平均化されるのですが、拡大すると明らかに縦方向に伸びています。主に風の影響です。

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また、下のように風の影響で星像が2つに分かれてしまっているものもあります。一瞬大きな風が吹いたのかと思われます。これはもちろん使えないとしました。

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画像処理

画像処理は今回のテーマでないのですが、1時間弱にしては結構出すことができたので少しだけ書いておきます。

結果は一番上の画像を見ていただくとして、とりあえず処理してみると分子雲が結構出てきたので、少し強調してみました。露光時間が短いのでまだ粗いですが、自宅撮影でQBPがあればここら辺までは出せることはわかりました。また、青を出す方法も少しわかってきました。といっても、トーンカーブで青の真ん中らへんを持ち上げるだけですが。やはりQBPだと青色が出にくいので、少し強調してやる必要がありそうです。

最後に、全てスタックして画像処理をした画像(一番最初に示した画像)の星像です。やはり、ごくわずか縦長になってしまっています。どれくらい歪むかは風の強さによるかと思いますが、あとは歩留まりで調節するのかと思います。私的にはここら辺までなら、まあ許容範囲です。

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まとめ
  • AZ-GTiの赤道儀モードで、PHD2とSynScan用のASCOMドライバーを使った2軸ガイド撮影はそこそこ実用レベルで使用することができる。
  • 具体的には焦点距離600mm程度なら、露光時間5分でもある程度の歩留まりで星像は安定する。
  • ただし軽量システムのため、風に弱い点は否めない。
なんとか目標の歩留まり8割にたどり着きました。軽量コンパクトな撮影システムの構築という目的はある程度達成したと思います。次回海外へ行く時や、登山(多分することはないとわかっているのですが...)で持っていくシステムとしては完成です。このシステムは電視観望システムを含んでいるので、海外とかでのデモンストレーションもできることを考えると、当分コパクトシステムはこれで行くことになりそうです。やはり2軸制御できるところがポイントです。惜しむらくはピリオディックモーションです。もう少し小さいと星像ももっと安定すると思うのですが、この価格でそこまで求めるのは酷かもしれません。SWATなどの方がここら辺は利がありそうです。

AZ-GTiの購入から半年ちょっと、すごく楽しめました。軽量撮影システムとしてはこれで大体完成なのですが、本当に撮影で普段使いをするかというとこれはまた別問題。やはり風に弱いという欠点があるため、車が使える時や、自宅では頑丈な赤道儀を使っての撮影になるかと思います。あ、でも電視観望ではAZ-GTiは完全に主力ですよ。

AZ-GTiは、特に天文を始めたばかりの人でも、アイピースでの観察から電視観望、経緯台モードでの簡易撮影から、赤道儀モードでの本格的な撮影までこれ一台で相当楽しめるはずです。コストパフォーマンスを考えたら間違いなくオススメの一品です。


最近、立て続けに天文仲間からケーズデンキに望遠鏡が置いてあるという話を聞いたので、居ても立っても居られなくて実際にケーズデンキまで行って見てきました。


ケーズデンキ

富山には5件のケーズデンキがあるようです。富山市内は豊田という、富山駅から北に行って8号線にあたる手前くらいのところにあります。あとは魚津、砺波、高岡、氷見にあるみたいです。今回は、自宅から一番近くの富山豊田店に行ってきました。

噂によると、ケーズデンキにはセレストロン製品が置いてあって、星座用のStella Scanが山積みになっているそうです。セレストロンならきちんとした天文機器メーカーです。セレストロンクラスが置いてあるなら結構期待ができるのではと思い、車で40分ほどかかるのですが、それでも行ってみる価値はありそうです。午後イチくらいから出かけてみました。子供達にも声をかけましたが、見るだけでしょ?と言って誰もついてきてはくれませんでした。


富山豊田店

さて、実際に店舗に入って見てみると、なんとセレストンだけでなくVixenの入門機やMEADEの入門機も置いてあります。ぱっと見で6台展示してありました。

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  • VixenはPortaの80mmの屈折A80Mfと反射型のR130Sf、さらに50mmの微動ハンドルなしの入門用スペースパル50Lが置いてあります。入門機の定番がきちんと置いてあるところは好感が持てます。反射型はこれが唯一でしたが、屈折と反射型の違いの説明も大きく書いてあるので、わかりやすかったです。また、VIxen製品はこれだけでなく、ポタ赤のポラリエや、その他アクセサリーもそこそこ置いてあります。
  • MEADも微動ハンドル付きのAZM-90や簡易微動のGOLD STAR(ケーズデンキ専用モデル、AZM-70相当と思われる)の2機種。コストコに以前セレストロン製のものが置いてあったのですが、そちらはINSPIRE 80AZで、一見微動ハンドル付きのようにも見えるのですが、よく見ると微動無しのモデルなので注意です。
  • 目的のセレストロンはというと、こちらも80mmの屈折微動付きのOmni XLT AZ80が置いてありました。
  • さらに、Stella Scanは山積みではないですが、専用コーナーがありました。双眼バージョンも単眼バージョンも置いてあります。残り少ないのは、もしかしたらもう結構売れてしまったのかもしれません。これの価値をどう一般の人に説明するかが難しいと思いますが、買った人たちは多分その見え方にびっくりすると思います。家電量販店で販売するものの中では高額な部類と感じるかもしれませんが、十分にその価値はあるものかと思います。

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  • アクセサリもVIxenのみでなく、一部MEADEやKenko製のものなど、天文専門ショップまでとは流石に行きませんが、一応ある程度置いてあります。望遠鏡を持っている人は、何が置いてあるか把握しておくのは、いざという時に役に立つかもしれません。
  • もっと安い望遠鏡として、Kenkoのスカイウォーカー SW-0もありましたが、これは流石に簡易望遠鏡のレベルです。でもこれ私も持っていて、三脚さえもう少しきちんとしたのもに変えれば一応そこそこ見ることはできます。

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スカイウォーカー SW-0の奥にポラリエも見えます。
アクセサリ類も多少置いてあるのがわかると思います。

  • 他にも双眼鏡も多少置いてあります。この中で見比べるだけでも双眼鏡の性能比較は結構できて、私はkowaのポロ型のそこそこ安価な6倍30mmのYF30-6 YF6x30が見やすくて良かったです。

もしかしたら富山の天文仲間が増えるかも

じっくり見ていたので、小一時間くらい居たでしょうか。途中、多分大学生くらいの男の子が望遠鏡のカタログを熱心に見ているのに気づきました。望遠鏡コーナーとカメラコーナーを私と同じように何度も行ったり来たり。声をかけようと思いましたが、流石に変な人と思われそうでやめました。というのも、多分ミラーレス一眼が一番のターゲットに見えたからです。望遠鏡が一番のターゲットだったら声をかけていたかもしれません(笑)。

どんな形にしろ、富山県内で天体望遠鏡を扱う店が5件(全店舗扱っているかはわかりませんが)もあるということは素晴らしいことです。これまでは通販か、大都市の天文ショップ、家電量販店に行くくらいしかなかったからです。と、ここまで書いてふと「ビクセン 取り扱い」で検索してみたら、意外なことにケーズデンキの他にもコジマ各店、眼鏡市場各店、メガネパリミキ・メガネの三城 各店、カメラのキタムラ 各店、スーパースポーツゼビオ 各店、スポーツオーソリティ 各店、富山大和 メガネサロンなども取り扱っているようです。でもキタムラとかゼビオに行ってもあまり望遠鏡見た記憶がないです。どこかに置いてあるのでしょうか?よくWebを見ると「光学製品の取り扱い」と書いてあるので、もしかしたら望遠鏡ではない、他の製品なのかもしれません。 


リサイクルショップにも天体望遠鏡が

少し脱線しますが、実はケーズデンキに行く前に、途中のリサイクルショップ何軒かに寄って何か掘り出し物がないか見てきました。そもそも天体望遠鏡の取り扱いの少ない富山では、リサイクルショップは近場で天体望遠鏡を手に入れる有効な手段の一つです。

たまたま、とあるリサイクルショップにビクセンのミニポルタが置いてあったのですが、アイピースは一つだけ、アイピースを置くテーブルも無いといくつか欠品にも関わらず、結構な値段がついていました。不足分はまあそれでもいいとしても、一つ決定的に問題点がありました。微動ハンドルの水平方向はいいのですが、垂直方向を回すと対物レンズが目で見てわかるくらい円を描くように動くのです。多分角度にして1度くらい。あまりに大きなブレです。すぐに問題点はわかって、おそらく可動部に本来かけてはいけない方向に大きな力がかかったか何かで、中のギヤの受け皿か何かが曲がってしまって、微動反動を回すたびに変な動きになるのです。これだと、垂直の微動ハンドルを回すと星がぐるぐる円を描きながら上下に流れていくことになります。

多分販売している人は実際に星を覗いたことがないのでわからないのでしょうが、これを買ってしまう人はかわいそうです。うまく見えないと思い、星はつまらないと思ってしまうかもしれません。多分買ってから苦情を言っても、このリサイクル店では対応できないでしょう。格安だったら自分で買って直すことも少し考えたのですが、このままだったら絶対買わないような値段だったので今回は諦めました。

こういった専門機器は、多くの場合詳しくわからない人が売ることになるので、不具合があると誰かが不幸になります。リサイクルショップにはある程度のサポートなど責任を持って販売してもらうか(おそらく現実的には無理だと思います)、あるいはわからないならばはっきりとジャンクとして、相応の値段(買って失敗しても損でないと思うようなという意味)で取り扱って欲しいと思います。


珍しく朝目が覚めて天の川撮影。でも起きるのが10分遅かったです。薄明が始まってしまっていました。


朝目が覚めると

昨日の観望会
の記事を書き終え寝てしまったのですが、明け方目が覚めてふと外を見るとすごい星。窓越しなので普段あまり星は見えないのですが、この日は「あれ、星ってこんなに明るかった?」というくらい綺麗でした。そういえば昨日の夕方立山がものすごく綺麗だったことを思い出し、パッと撮影に行くことにしました。ただ時間が薄明までギリギリ、一瞬で着替えと用意をして車を出します。場所は少し走った田んぼの中の山が見渡せる所。午前4時51分に目が覚めて、ファイルの時刻を見たら14分後の午前5時5分には撮影を開始していました。でも多分10分遅かったです。わずかですが薄明が始まってしまっていました。撮影している最中もどんどん明るくなってきます。

本当は東向きの立山方面を狙いたかったのですが、結局少し南向きのまだ暗い部分がちょうど天の川中心となり、なんとか炙り出せるくらいの暗さを保っていました。その結果がこれです。

「薄明時の天の川」
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撮影地: 富山県富山市上大久保, 2019年3月17日5時7分
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, JPG), 露出15秒、固定撮影
SAMYANG 14mm, F4/2.8  IF ED UMC
Lightroom、PhotoShop CCで画像処理 

最近星景写真の処理はLightroomが多いです。刻一刻と明るさが変わるので、1枚どりです。薄明と天の川を両立するのは結構大変でした。本当にあともう少し早く起きればよかった。

ついでに薄明を少しだけ撮りました。上の写真からわずか15分後ですが、すっかり明るくなっています。

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エピローグ


かなり寒くて、大した防寒もしていなかったので我慢できなくなってきてそのままとんぼ返り、眠れなくてしばらく画像処理をしてたのですが、やっぱり途中から眠たくなって朝8時頃からまた寝てしまいました。次に起きたら11時。

寝てる間にAさんから電話がかかっていたみたいで、起きてご飯を食べている間にまた電話がかかってきました。アパートが決まって富山にお引越しだそうです。でも聞いたら昨日から伊豆でオフ会。そのまま荷物を持って富山まで移動。相変わらず足の軽い方ですが、引越し当日まで遠征なんて、天文マニアはやっぱり変な人が多いですね。

 

先週土曜に引き続き、今日も富山市科学博物館の観望会に参加してきました。いやあ、とても楽しかったです。やはり観望会はいろんな人との交流のきっかけになるので、星趣味の中では撮影とか機材ネタに並んで、結構な楽しみの一つです。


今日は朝から雨。先週撮ったM42の画像処理をしながらGPVを見ていると、ちょうど夕方から雨雲が全部関東方面に行ってしまうみたいです。上弦の月は超えているので、撮影するにはやはり明るすぎる月です。結局、今週も観望会に参加することに決めました。

機材の準備をして、夕方17時くらいからくら寿司で家族と待ち合わせ。今回は私一人の観望会参加なので、適当にお腹が膨ふくれたら、18時前にはそのまま一人だけ科学博物館に向かいました。

現場に着くと先週と同じように、MEADEの25cmとタカハシのFS-78、大型双眼鏡がすでに出ています。県天のメンバーも何人か機材を出していました。私の機材も先週とほぼ同じで、FS-60CB+ASI294MC ProをAZ-GTiに載せて電視観望。さらにSCOPETECHを子供達に自由に触ってもらいました。今日の観望会のテーマは月ということです。見やすいように双眼鏡も一つ三脚に載せて出しましたが、月が天頂付近にあり、体勢的にかなり見にく、結局双眼鏡では赤い火星やスバルなどを導入して見てもらいました。

電視観望ですが、最初のうちはテーマの月を導入。SCOPETECHも子供達に自分で月を導入してもらいます。そのうちオリオン座を星座望遠鏡で見比べながら、電視観望でM42を見たりもしました。今回は新/旧WideBino28、星座望遠鏡の2眼/単眼に加え、昨年の「星もと」で購入したcokinの手作りの星座望遠鏡をもう一つ追加して、5台体制で星を見てもらいました。相変わらず星座望遠鏡の類は大人気です。特にcokinのは径が大きいので見やすく、ピントを合わせる機構がないのが逆にシンプルで一番人気でした。

天リフさんとあっかさんに言われたように、「これどこで手に入りますか?」と聞かれた時には、今回はAmazonで売っていますときちんと答えました。多分先週も北方だと思うのですが、「東京のKYOEIというところで売っていますか?」と聞いてくる方もいたので、「多分在庫あると思います。」と答えたものもありましたが、「Amazonの方が楽ですよ」と付け加えておきました。でも私がWideBino28を買ったのも東京のKYOEIなんですよね。こういったやりとりで、先週から続けてきている方が何人かいることもわかりました。この観望会は昨年11月から続けているらしいのですが、常連の方がすでにできているようです。

今週面白かったことの一つは、SCOPETECHで頑張って月の写真を撮っていた小学4年生の男の子でしょう。子供も何人かいいたので随時SCOPETECHで自分で導入してもらっていたのですが、一人コンデジを持っている子がいて「よかったら写真撮ってみる?」とか聞くと、自分で月を導入してカメラをアイピースに近づけて頑張って撮ろうとしていました。でもオート露光とオートフォーカスが邪魔をしてなかなか上手く撮ることができません。科学博物館の学芸員の方が親切にマニュアル露光のことを説明しながら、もうずーっと、多分30分以上ですが、ひたすら月を撮影していました。最後の最後にクレーターも含めて綺麗に撮れていたので、とても喜んでいたみたいです。

もう一人面白い女の子がいました。途中からどこかかから「英語、英語!」と声が聞こえてきたので、どうやら外国から来たみたいです。私も近づいていき話してみました。トラベジウムが導入されているMEADEの説明がなかなか通じなかったみたいで、それをきっかけに色々話してみました。中国から来たという若い女の子で、一人旅だそうです。今回日本に初めて来て、昨日は金沢を周り、電車でたまたま綺麗に見えた富山に降りて、そのままホテルをとって、今回の観望会に参加したそうです。

今日は透明度がすごく良くて、年に何日かのレベルの立山がものすごく綺麗に見えました。その子もちょうど夕日に染まった立山を見たようで「ピンク色に染まった立山がすごく綺麗だった」とか言っていました。「今日は本当に珍しいくらい山が綺麗だったよ」とか話すとすごく喜んでいて、英語でキャーキャー言っていました。

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星座望遠鏡で見ている右側の女の子が中国からたまたま来てくれた子。
中央の白いSCOPETECH鏡筒の所に座り込んでいる男の子が、ずっと月を撮影していた子です。
机の左の青い鏡筒で電視観望、机の上のPCで見ています。
机の上には星座望遠鏡がたくさん転がっています。 

その子は、月をカメラで撮影している男の子にも興味があるみたいで、何をしているか説明してあげると感心していたみたいです。

その女の子が星雲も見たいというので、電視観望でまたM42を見たり、最後の方ではバラ星雲や馬頭星雲と燃える木をみました。他のお客さんも含めて、星雲を初めて見たという方も何人かいて、結構盛り上がりました。スバルも入れたのですが、流石にこの街中でメローペまで見ることはできませんでした。獅子座のトリプレットも見ようとしたのですが、まだ高度が低いせいかあまり銀河と認識できませんでした。

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その女の子には最後の片付けまで手伝ってもらいました。明日が日本で最後の日で富山を観光するということなので、楽しい思い出を作ってもらえたらと思います。でもあいにく観光のメッカの立山方面はまだ雪のために行くことができません。黒部のことも聞かれましたが、トロッコ電車もまだだと思います。富山の冬の観光は車がないと難しいですね。

最後は科学博物館の機材の片付けも手伝って、少し職員さんたちと話してから帰宅しました。昨日の天気もダメ、今日は夕方から晴れましたが、多分明日もダメです。たまたま観望会の時間だけ晴れたようなもので、とても充実していました。また時間がある時に参加したいと思います。


しつこいようですが、いまだにコンバージョンファクターの測定です。だんだん何が目的かわからなくなってくる完全に自己満足の世界です。カラーでどうしても疑問が解決しないので、モノクロCMOSカメラのASI290MMを使って、基本に立ち返って検証してみました。


疑問点


疑問は2つ。
  1. ノイズの評価に標準偏差を使うとSharpCapに比べて大きく出すぎる。平均偏差だと同じくらいのノイズになるが、正しい方向なのか?
  2. debayerをするとノイズが平均化され小さく出るが、果たして公平な解析と言えるのか?
です。カラーカメラは余分な処理も多いので、もっとシンプルなモノクロCMOSカメラを使えば何か知見が得られるかもしれません。


モノクロカメラのSharpCapでの自動測定の結果


まずはSharpCapのセンサー測定機能で測定してみます。光源はこれまで通りiPadのColor Screenです。測定結果だけ示しますが、ほぼメーカー値と同じ値が出ます。ゲイン0でのコンバージョンファクター(Gain, e/ADU)は3.6程度です。

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モノクロカメラのマニュアル測定と自作コードでの解析の結果

次は自分で撮影して、その画像を解析します。画像の撮影自身にはSharpCapを使いました。今回はより厳密に、SharpCapで自動測定している様子をビデオに撮って、その時に使われたパラメータ、特に露光時間を全く同じにして測定しました。解析はpythonでの自作コードです。結果を示しますが、ここでは2つの結果を比較したいと思います。まず一つは、ノイズの評価に標準偏差を使ったもの。これはカラーCMOSカメラの場合は、ノイズが大きすぎると結論を出したものです。結果です。

Conversion_Factor_ASI290MM_std
モノクロの場合は標準偏差を使うことで、少しだけずれますがほぼメーカー値およびSharpCapの自動測定と同じ結果を出すことができるようです。Unity gainのズレとして15程度、1.5dBなので、1.18倍くらいの違いなので、まあ許容範囲でしょう。

一方、カラーで正しそうな値を出した平均偏差を使った場合の結果はというと

Conversion_Factor_ASI290MM_madmean
というように、ノイズが小さく評価されすぎていてメーカー値より大きなコンバージョンファクターとなってしまっています。

カラーカメラを再びマニュアルで解析

前回の測定は何かまだ問題があったかもしれません。再確認のために、モノクロカメラで測定した時と限りなく同様に、自動測定の時の様子をビデオに撮影し、その時のパラメーターを再現することで、より厳密にマニュアルで撮影、解析してみました。

まずは一番素直でモノクロの結果に一番近いはずの、標準偏差でのノイズ評価と、CFA分離です。結果はやはりノイズが大きく出すぎていて、コンバージョンファクターはメーカー値4程度に対して、わずか半分程度と出てしまいます。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_CFA_std1
次に、CFA分離ですが平均偏差での評価です。3.3程度とだいぶんましになりますが、やはりまだ4とは優位にズレがあります。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_CFA_madmean


次に、あぷらなーとさんが解析してくれたようにdebayerした場合です。ノイズが平均化されてばらつきが少なく出ます。まずは標準偏差を使ってノイズ評価した場合。それでも結果は2.5程度と、まだノイズが大きく出すぎています。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_RGB_std

最後に、前回正しいと判断したdebayerして平均偏差をノイズ評価に使った場合です。結果は4.06と、メーカー値の4程度にかなり近い値が「たまたま」出ています。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_RGB_madmean

今回はモノクロで正しい値が出たものと、相当近い方法でより厳密に測定していますが、結果は前回と変わりませんでした。前回もすでに、測り方としては特におかしい方法だったわけではない、ということがわかります。でもやはりこの平均偏差を使うことと、debayerでノイズを小さく見積もることが、恣意的な操作がなされているようで、どうしても正しいと思うことができません。


考察

モノクロの結果だけ見ると、ノイズの評価には標準偏差を使うことで、メーカー値やSharpCapと同様の結果を出すことができるので、標準偏差を使った方が正しそうということがわかり、統計の観点から言ってもその後の解析もしやすそうですし、素直な気がします。debayerで滑らかになったものを評価するような恣意的なことも入り込む余地もないので、このモノクロの結果には特に疑問となるようなことはありません。

それではなぜカラーCMOSカメラの場合は標準偏差を使うとノイズが大きく出すぎたり、debayerしたものの方よりも、RGGBのアレイごとに分割したCFA分離の方のノイズがメーカー値よりも大きな値が出たりしてしまうのでしょうか?SharpCapのSensor Analysisの説明
if you have a colour camera it must be in a RAW mode to perform sensor analysis as the debayer process used to convert RAW images into RGB or MONO images causes sensor analysis to give incorrect results.
という記述があることから、やはり解析の際にはdebayerはしていないようにしているようにとれます。


補足

ここで少し気づくことがありました。下の写真はカラーのASI294MC ProでADU値が10000程度の時を測定している様子です。

IMG_6436

SharpCapでは16bit形式で値を出しているので、実際に記録された14bitに換算する場合は4で割ってやります。横軸は10000程度になることがわかります。

ノイズは4で割って、さらにdebayerした時に15くらい下がることを考えると、RGBともに200後半台なので、結果として50程度になることが予測できます。ノイズは2条分布で評価するので、この50を2乗して2500程度。先ほどの10000をこの2500で割ってやるとコンバージョンファクターになって、10000/2500=4程度となるわけです。でもよく見るとRGBの線の他にもう一本白い線があり、こちらの方がかなり小さいノイズになっています。たぶんこれLなんですが、でもなんで?RGBよりもばらつき具合が小さくなる理由が全くわからないです。

Lの標準偏差で評価した時のノイズが、RGBでdebayerして平均偏差を使った時のノイズと、数学的に等価になるとか証明できたら安心して校舎を使うことができますが、パッと考えてもなかなかイメージできません。あと、Lのノイズが小さすぎることも気になります。

(追記: 一晩寝て考えたら多分謎が解けました。もっと単純な話で、今晩帰ったら検証してみます。)
(さらに追記: ヤッリダメでした。詳しくはコメント欄を。何か根本的におかしなところがあるのか?)

まとめ


いずれにせよ、SharpCapの自動測定は何かRGBとは違う評価方法を使っているのかと推測できます。

まだまだ先は長いですが、コンバージョンファクターもそろそろ飽きてきました。この状態だとまだASI294MCのダークノイズの評価の準備がまだ整っていない気もしますが、徐々にちらの方に移っていこうと思います。


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