ほしぞloveログ

天体観測始めました。

今週末の7月29日金曜日18時30分から、

において
をすることになりました。
  • 天空フェスはリフトで標高1,960mの山頂へ行き、『熊テラス』から眼下に広がる夜景と綺麗な夜空を堪能できる星イベントです。夏休みの行事として、ご家族連れで参加されても楽しいかと思います。
  • セミナーの内容は初心者向けにわかりやすく、一般の方にも興味を引くようなものにしようと思っています。


会場はタイトルにあるように長野県の志賀高原の熊の湯キャンプ場(〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏7148)になります。

実は今回の話、有料イベントと知らずに引き受けてしまったのですが、セミナー参加料2000円の他に、イベント入場料(一部アトラクション代、保険代、リフト乗車代が含まれます。):
  • 大人:税込2,500円
  • 小学生:税込2,000円
  • 小学生未満:無料
が必要とのことです。

さらに私の講演は平日の金曜にあるので、なかなか参加しにくいかもしれません。定員20名ですが、まだ枠はあるとのことです。もし電視観望に興味があり平日時間が取れる方は、よろしければぜひご参加ください。

お申し込みはこちらから


お願いいたします。



当日はサイトロンの天文機器の販売ブースも出ますので、講演を聞いて興味が出たらその場で機材を買うこともできるようです。せっかくの機会なので、

その場で購入した機材を使って、
私Samといっしょに
電視観望のセットアップを組むことができたら

と考えています。さらに、もし天気が良ければ

実際にその機材で電視観望で星雲などが見えたら

と思います。
NEWTONY

なお、7月30日の土曜日は17時30分から
も開催されます。

こちらも合わせて、皆様のご参加を是非お待ちしています。


 

恒例の飛騨コスモスの観望会ですが、前回6月はJAPOS出席のために休んでしまったので、2ヶ月ぶりになります。


久しぶりの観望会

2022年7月23日、この日の天気予報は微妙でした。そもそも早くに梅雨明けしたはずなのに、全然晴れてくれないです。予報も晴れか曇りか、時間によってころころ変わり、SCWで見てもそこそこ雲の率が高そうです。でも北の富山よりも南の岐阜の方が少しマシなようで、当日の午後に判断するに、まあ何か見えるのではないかと思い、 準備して出発することにしました。でも撮影までは無理そうなので、観望会用に電視観望セットと、子供への解放用にSCOPETECHの屈折、あとは星座ビノくらいです。

夕方、早めの簡単な食事を自宅でとり、17時40分頃に出発。途中コンビニにより、ここ2ヶ月近く評価していたSV405CCをあぷらなーとさんに送付しました。 ついでに夜食とおやつなど買い込み、富山を後にします。岐阜に入ると途中に青空も見え始めてきて、天気もなんとかなりそうです。

IMG_6308


到着

飛騨コスモス天文台に到着すると、すでにかんたろうさんと、富山県天文学会のHさんが来ていて、機材を展開していました。写真を撮るのを忘れてしまいましたが、かんたろうさんはYさんから譲ってもらった新兵器の45cmのドブソニアンを出しています。一方Hさんも、長いことかんたろうさんから借りていたGP赤道儀をとうとう返却し、なんとSCOPIOで手に入れたという未開封中古のEM200のTEMMA2モデルを設置してます。HさんはさらにFMA180にCeres-Cで電視観望セットも出しています。

程なくして飛騨コスモスの会のスタッフのSDKさんとSTさんが到着です。SDKさんと話すと、ドームで長年使っていた自作の口径250mm、焦点距離3000mmの鏡筒は、返却したとのことです。段ボール箱を組み合わせて箱を作って送ったそうなのですが、重さが70kgほどもあったそうです。

だんだん一番星が出る時間になってきます。STさんがものすごく目がいいことがわかりました。私は全然見えなかったアのですが、STさんはークトゥルス、ベガ、アルタイル、スピカなど次々に見つけていきます。私は途中から星座ビノを使い、やっとSTさんに追いつくことができました。STさんは老眼で遠視だからと言っていましたが、ちょっと羨ましいかもです。


Uranus-C

その後、私も機材を展開し始めます。暗くなり始めでなかなか初期アラインメントのプレートソルブがうまくいきません。そうそう、今日の電視観望では新兵器のIMX-585を搭載したUranos-Cを導入です。

IMG_6319

観望会ついでにいろいろテストしてみようと思っています。

目的は
  • ピクセルサイズが2.9umと小さいが、電視観望で使えるのか?
  • DPS(Dead Pixes Suppressioin)機能がどれくらい効くのか?
  • 1/1.2インチサイズはPlayer Oneのカメラの中でも最大。これでASI294MCにどこまで太刀打ちできるのか?
  • 電視観望で見た画像を保存して画像処理すると、天体写真として成り立たせることはできるか?
などです。この日使うPCにPlayer Oneの最新ドライバーをインストールし、SharpCapで認識して画像が出るところまで自宅で確認しておきました。

鏡筒はいつものFMA135、これにCBPをつけます。ASI294MCがフォーサーズで19.2mm x 13.1mm、Uranus-Cが1/1.2インチで11.2 x 6.3 mmなので、横で1.7倍、縦で2.1倍、面積で約3.5倍とそこそこの差はあります。これとFMA135で大きな北アメリカ星雲やアンドロメダ銀河がどこまで入るのか?分解能は良くなるので、例えばM57がどこまで見えるのかが興味の対象です。


楽しいお客さんとのやりとり

さて、電視観望の結果は後述するとして、うまくいかなかったASTAPでのプレートソルブですが、なぜかAZ-GTiにフィードバックすると星が認識できなくて、フィーバックしないプレートソルブのみだとうまく位置を特定できるような状況でした。もちろん、SharpCap上でのAZ-GTIへの接続はうまくできていて、矢印ボタンで動かすことはできる状況です。その後、SharpCapを立ち上げ直すと、AZ-GTiにフィードバックしてもきちんと星認識をして、ズレを直して、希望方向に向いてくれるようになりました。結局原因は不明ですが、そろそろお客さんも来始めているので、早速M27を導入し見てもらいます。

最初に来てくれたのは家族4人連れ。お父さん、お母さん、保育園の双子?の女の子です。星雲をみて最初「おおー」と言ってくれてたのですが、まだ完全に暗くなっていなかったので、星座ビノで星が増える様子を観察してもらいました。子供用にcokinとNikon、大人用に旧型のWideBinoと笠井の2倍です。子供も含めて、星がたくさん見えることを実感してもらって、さらにSIGHTRONの3倍も投入して、「交換すると見え味が違って面白いですよ」というと、家族間でいろいろ見比べが始まりました。「星座がちょうど入るくらいの星座用の双眼鏡です」と説明して「星座アプリとかで形を見て、それを実際の空でトレースするのも楽しいですよ。ここの空は肉眼でも十分星座が見えますけど、この双眼鏡を使うとさらに細かい星があることもわかります。」などというと、この星座ビノの良さが少しわかっていただけたようでした。

次の家族はお母さんと小さな多分4歳か5歳くらいの女の子と、小学5年生のお姉ちゃん。下の子が「アルデバラン」とか「シリウス」とかいうので、「すごい!よく知ってるね!」とか言ってたのですが、残念ながらこの時期には見えません。どうも昨年この観望会に参加れていて、秋や冬の星座を見て覚えてくれていたようです。「アンタレス!」というので、「あ、それならあそこに見えるさそり座の赤い星だよ」といって、今度はSCOPETECHで見てみようということになりました。お姉ちゃんは5年生ということなので「じゃあ、望遠鏡自分で使ってみようか」と、早速二つ穴での導入の仕方を説明します。勘のいい子で、すぐに2つの穴に導入することができ「じゃあここ覗いてみて」と接眼部を覗いてもらうと「入ってる!」と。ピントを合わせてもらって、妹に「お姉ちゃんが頑張って入れたやつだよ」と言って見てもらいました。

勘の良かった子なので、前回と同じクイズをしてみました。太陽が東から昇り、西へ沈むことはすぐに答えられました。でもやはり月はどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができません。一緒にいたお母さんもわからなかったようです。でも5年生なので、地球が回っていることも知っているはずで、そのことを思い出してもらうと、すぐに月がどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができ、「じゃああのアンタレスは?」と聞くと、すぐにきちんと「東から登って、西に沈む」と答えることができました。少しきっかけがあると頭の中ですぐに考えることができるようで、勘のいい子です。

お母さんもかなり興味があるようで、前回来たときに地球は銀河の中にあるという話をきいたとのことです。じゃあまたここで問題です。「あちらに見えている天の川の濃いところは、銀河で言うとどの向きでしょうか?」と聞くと、最初はなかなか答えられませんでしたが、冬にも銀河があること、銀河の円盤の中にいること、その円盤の中から見ると天の川が濃い薄いも含めて、全天を一周することなどを説明すると、最後は南の濃く見えている天の川は銀河の中心方向だということを答えることができました。

残念だったことは、私がそのお母さんと話していると、下の子が多分ヤキモチを焼いたと思うのですが「もう帰ろー」とか言い出すのです。「ごめんねー、難しかったねー」と言って謝っておいたのですが、なんかとても可愛かったです。


雲と共に雨が

実は天の川クイズを出していた頃には雲が出てきてしまい、天の川は見えなくなってしまっていたのですが、それどころか、霧雨のようですが明らかに雨が降ってきています。PCなどもあるのと、予報では天気は悪くなる方向だったので、私はそこで機材を撤収しました。

結局電視観望で見せたのはM27だけ、対応した家族も2組だけでした。でもこの時点でもまだ星は見えていて、Hさんもかんたろうさんも多少の雨には負けずに頑張っていました。雨がだんだん強くなってくるとじきに二人もカバーをかぶせたり、撤収したりでここで中止。お客さんも徐々に帰って行きました。

かなり雲で覆われていますが、全く星が見えなくなることなく、それでも霧雨はずっと振り続けています。この辺りはほとんど風はないのですが、おそらく山頂で降っている雨が、強い風にあおられてばらまかれているのではなどとみんなで話していました。

その後、みなさん諦めて機材を車の中に詰め込んで、少し雨も小降りになってきたので、椅子を出してまったりモードで、スタッフのSDKさんと、コーヒーを差し入れてくれたSTさんも交えて話していました。

まあここからなのですが、天文あるあるで徐々に空は快晴に!まずはHさんが我慢しきれずに機材を出し始め撮影を開始。ついでかんたろうさんが最初は120mmの屈折で眼視。私は双眼鏡でかんたろうさんのコーチを受けながら、天の川方向の星雲星団を双眼鏡で追いかけることに。


双眼鏡で見るDSO

途中方向によっては多少曇っていたりで、かんたろうさんのコーチには全然ついて行けずに、結局星座アプリで天体の位置を確かめなが落ち着いて見ることに。

まず、教えてもらったM6、M7両方を視野に入れることができ、次にM8とM20が見え、さらにバンビの横顔も確認、その上のM16、M17まではっきりと見えました。他にも星座アプリで確かめながらNGC系をいくつか見ました。双眼鏡でも明るいDSOなら十分見えるんですよね。これもまた空が暗い飛騨コスモスならではの観望会なのかと思います。

途中、白鳥座の方に移り、双眼鏡で網状星雲の「い」の字の一画目が見えたのは感動でした。残念ながら2画目は淡すぎて私での目では見ることができませんでした。

でも今日はもっと感動したことがあったのです。双眼鏡観察をしばら続けていると、かんたろうさんが「45cm出せば良かった」と悔やんだ声を出しはじめました。あまりの空の良さに、結局再度ドブも組み立てることに。ついでに私も、再度電視観望機材を出して目的のUranus-Cの評価です。


電視観望

この時点で23時半頃、月が出るまで1時間の勝負です。

IMG_6317

まずは最初にお客さんには見せたM27。本当は羽根が出るまでスタック時間を稼ぎたいのですが、数もかせぎたいので1対象あたり5分に限ります。

01_M27

1ショットあたりの露光時間は6.4秒ですが、ゲインを失敗して350に抑えてしまいました。ゲインは最大800まで上げることができるのでもう少し攻めてもよかったかもしれません。ASI294MCの最大ゲインが570なので、上げられるゲイン幅が23dB分の14倍くらい大きいことになります。ここら辺も回路関連の技術が上がっているせいでしょうか。また、オフセットも数値だけ見ても500まで上げることができます。実際にオフセットが上がる量も画面を見ているとわかりますが、(実用上はどうあれ)かなり大きなところまで上がるようです。

あと気づいたのが、ノイズが小さいことです!ヒストグラムを見ても、山の幅がかなり小さいです。DPSが効いているのでしょう、ホットピクセルの数もかなり少ないです。でも全くの0ではなくて、いくつか目に止まるくらいは存在しています。


次は北アメリカ星雲。今回は90度回転が合ってなくて、縦横が逆になってしまっていますが、ASI294MCの時にはペリカン星雲も込みで全景を入れてもまだ余裕がありますが、Uranus-Cではちょうど全景がぴったり入るくらいでしょうか。

02_NorthAmerica


同じようにどこまで入るか見ようとして、近くの網状星雲を入れてみましたが、なぜか全く出てきませんでした。位置が間違っていた可能性もありますが、もしかしたら大きすぎて入らなかった?とにかく時間がないのでスキップです。

同じく近くの三日月星雲です。

03_crecend

この時間、ほぼ天頂に近く経緯台の最も苦手な領域になります。少しの時間での移動に追いつくために、大きな回転が必要になるため、6.4秒毎の露出で星が流れてしまっています。

次は南の天の川を見ようとしたら、いつの間にか雲に覆われています。しかたないので秋のアンドロメダ銀河へ。こちらも大きさの比較がしやすいです。うん、FMA135とUranus-Cだとアンドロメダ銀河は画角的にぴったりですね。

04_M31

あとはどこまで分解能があるのか見るためにM57を導入します。ピクセルサイズがASI294MCより1.5分の1くらい小さくなるので、分解能は少しマシになります。それでもジャギーは見えています。
05_M57


45cmドブで衝撃的なことが

と、ここらへんで全面が曇ってきました。先のM57は雲の影響もだいぶ受けています。電視観望はこの時点で終了なのですが、実は電視観望の間、ずっとかんたろうさんの叫び声が響いていて、「(何々が)入ったよー」との招集でHさんと私は45cmドブを覗きにいきます。

今回も色々見せてくれました。M13の中心のベンツマーク型の暗黒帯とか、銀河がすぐ隣の恒星のゴーストに見えるのとか、他にも色々見せてくれたはずなのですが、M57のインパクトがありすぎて記憶が飛んでしまっています。

なんと今回M57に明らかに色がついて見えたのです!もちろんすごく淡いのですが、中心付近は青色、外に行くに従って緑色、大外枠の細いラインで少し赤っぽい色も見えていたかもしれません。青と緑については、見間違いとか、錯覚とか、偶然とかいうレベルとは一線を画します。70倍の時には色がよく見え、逆に360倍で大きく見たときには色は認識できませんでした。これは明るさの違いかと考えています。そもそも淡いので、70倍の方がより単位面積当たりの光子として情報が目に入ってくるのでしょう。さらに、後で画像で色を確認すると、中の方が青に近く、外に行くに従って緑、外側が赤なので、見た色と実際に合っています!

ところが、かんたろうさんは色はそこまでではなかったみたいです。多分一つ理由があって、私はずっと電視観望でPCの明るい画面を見ながら、呼ばれるたびにドブのところまで行っていたので、暗順応が全くできてなかったのです。PCの画面を離れてから30秒後くらいにドブを覗いていたとかいう状況でした。そのことを話すと、かんたろうさんもスマホの画面をみて暗順応を崩していましたが、あまり改善はされなかったようです。

とにかく今回、初めて目で見て星雲に色がつきました。これは2016年に星を初めて、6年越しの達成です。もともと、この星雲の色を見たいがために電視観望に走っていたようなものなので、これは私にとってはそうとう大きな出来事です。

輝度の明るい星雲、例えばオリオン大星雲とかも、この暗順応させない方法で一度試してみたいです。


とうとう撤収

午前1時頃には高層の雲が全面にかかってしまい、全体が霞んだ星空になってしまいました。東の方が少し月で明るくなってきた気もします。流石に皆さんそろそろ撤収です。私も電視観望だけだったので、すぐに片付けることができます。かんたろうさんもドブを片付け終わってます。大きさの割に出し入れがかなり早いという印象です。HさんがEM200で新しい機材のせいか、少し時間がかかってきます。私も眠気が出てきて、このままいると寝てしまいそうなので、先に帰宅することにしました。


画像処理

次の日(日曜の今日)、電視観望で5分ライブスタックで保存したM27だけ少し画像処理してみました。といっても処理に掛けた時間は15分ほどで、ライブスタックで保存したFits画像を、PCCで色を補正して、ASでストレッチ、StarNetで恒星と背景を分離して、Photoshopで簡単に仕上げただけです。

M27

たかだか5分でこれくらいにはなるので、もっと時間をかければさらに見栄えは良くなると思います。

Uranus-Cですが、心配していたピクセルサイズの小ささは電視観望でも大した問題ではないようで、十分に天体を見ることも、ある程度の観賞用の画像にすることもできそうです。というか、ノイズも小さいし、感度も悪くないし、センサー面積もそこそこ、DPSでホットピクセルも少なく、かなり使い勝手の良いカメラだと思います。Player Oneの中でもセンサー面積だけ見たら電視観望に最も向いていると言えますし、ASI294MCと比べてもホットピクセルが少ないのは明らかに利点になります。値段的には税込みで6.5万円程度。ASI294MCが税込みで10万ちょいなので、値段的にも少し差があります。

前回のSV405CCもそうでしたが、2017年に発売されたASI294MCが長いこと築いていた電視観望ベストカメラの牙城も、少しづつというか、やっと崩れ始めてきた気がします。


まとめ

天気が微妙な観望会でしたが、それでも最初の1−2時間はお客さんも星を楽しめましたし、小雨の後の快晴では双眼鏡でのDSOや、45cmのM57で色がつくなど、かなりインパクトが大きかったです。目的のUranus-Cの電視観望も時間はあまり掛けられなかったですが、ほとんどの目的は達成できました。ずっと思い出に残るような、ある意味とても感慨深い観望会になりました。

これまでに5回、番外編2回も合わせると、7回に渡ってSV405CCの評価をしてきました。

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  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露
青ハロが大きな問題でしたが、なんとか解決につながる道は示せたのかなと思います。SVBONYによると、NINAでの解決はまだのようですが、いずれ解決されるでしょう。

解決されたNINAでの撮影、もしくはディザー無しでのSharpCapで撮影までしたかったのですが、ずっと天気が悪くできてません。そんな折、SVBONYさんのほうからそろそろあぷらなーとさんに送って欲しいとの連絡が来たので、今回のまとめを以ってSV405CCの評価は終了としたいと思います。


いきなり総評

まず結論から言うと、色々まだ未成熟なこともありますが、長い目で見ると明らかにこのSV405CCは「買い」ではないかと。

まずはいい理由を箇条書きに書いておきます。
  • 冷却で、フォーサーズセンサーで税込みで10万円切りと相当な安価。今回比較した同じ冷却で同センサーASI294MC Proと比べると5万円ほどの価格差があります。これは大きな利点です。
  • ホットピクセルがASI294MC Proと比べて明らかに少ない。
  • NINAの撮影では現状は青ハロが問題になるが、ソフトの問題と判明したのでいずれ解決されるはずでこれはもう大きな不利にはならない。

逆にASI294MC Proと比べて不利な点は
  • カメラ本体にUSBハブが付いていない。
  • 冷却で曇ることがあったが、時間をおけば曇りはとれる。
  • 必要冷却パワーが少し大きい。
  • なぜか撮影の最初の1枚目が暗く写ってしまう。
くらいでしょうか。 

次に、用途別に考えます。

電視観望での使用について

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電視観望ではホットピクセルがASI294MC Proよりも明らかに少ないので、いちいちリアルタイムダーク補正をしなくてよくて、圧倒的に有利です。特に露光時間やゲインを頻繁に変えるような電視観望をしている場合は、ダーク補正をしなくていいとうことはテンポよく見るのに大きな差が出ます。この特性ですが、Player OneのDPSのようにあらわに機能として謳っていないのですが、何か内部でしているのかと思われます。もっと宣伝してもいいと思います。また、SharpCapでは青ハロ問題もないので、現時点で不利になるようなこともありません。

名称未設定 1
左がSV405CC、右がASI294MC。
右にある赤、青、緑の輝点が左にはないのがわかる。

私は電視観望で冷却を使うことがなく、軽さも含めて普段はProでないASI294MCを使うことが多いです。なので冷却が付いているSV405CCはその分重くもなり不利と考えてしまうのですが、冷却を使って電視観望する方にとっては重さのことは不利にならないでしょう。この場合、電視観望に限って言えばASI294MC Proよりホットピクセルの分だけ有利ということが言えます。

電視観望での見え味に関しては、ASI294MCもSV405CCもホットピクセルの有無以外はほとんど違いはありませんでした。なので私としてはトータルではSV405CCに軍配が上がるという判断です。


天体写真の撮影用途について

冷却CMOSカメラなので、本来は天体撮影の方が主目的です。

今のところ対応しているのはSharpCapとNINAのみです。実際の撮影を考えると、SharpCapでは依然ditherガイドがやりにくので、NINA一択になります。APTドライバーも開発中とのことですが、もう少し時間がかかるようです。

現状ではNINAでは青ハロや恒星の中心抜けを避けることができないのですが、これは時間が解決してくれるでしょう。いますぐ撮影をしたいという方は、これら欠点を画像処理で補正するのが許容できるかどうかにかかってくると思います。今すぐ青ハロなどの処理なしでフォーサーズカメラが欲しいという場合はASI294MC Proをお勧めします。とりあえず問題を許容して、後の解決を待てるという場合は、値段のことも考えるとSV405CCがかなり強力な候補になってきます。

あと一つ残念だったのが、アンプグローです。120秒以上の露光ではアンプグローが緩和されるという触れ込みだったはずですが、今のところ私は確認できていませんし、他で確認できたと言う話も聞いていません。とはいえ、アンプグローはASI294MC Proも同じ状況で、特にSV405CCが不利になると言うわけでもなく、またこれまでのASI294MC Proからの経験でも、今回のSV405CCでの撮影でも、適したダーク補正をすることでこのアンプグローは鑑賞に影響ないレベルで解決できることがわかっています。

現段階の青ハロと中心抜けを除いては、撮像結果に関しては特に不満はなく、私程度の腕の画像処理で仕上げたものでもこれくらいの写りにはなります。

「M8: 干潟星雲とM20: 三裂星雲」
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「北アメリカ星雲とペリカン星雲」
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明るい天体で写しやすいとはいえ、自宅の庭撮りでここら辺まで出るなら個人的には十分満足で、カメラの性能としてはもう不満はありません。逆にこの値段と、青ハロも中心抜けもじきに解決されるであろうことを考えると、このSV405CCは十分な買いだと思います。これが最初に書いた「買い」の根拠です。


そーなのかーさん

今回の評価の過程で、そーなのかーさんが随時面白い結果を出してくれていました。特に、同じように青ハロや星の中心が抜けることも示してくれたのはとても心強かったです。

とにかく変な結果が出ると、自分が全くおかしなことをやっていないかとか、変に間違ったことを公表して悪評が立ってしまいメーカーに迷惑をかけないかとか、色々心配になります。そのために結果の判断には相当に慎重にならざるを得ないのですが、そーなのかーさんのように他の方が同様の結果を示してくれると、すくなくとも他の環境でも再現性はあるということがわかるので、かなり気が楽になります。

このブログ上でのお礼で恐縮なのですが、改めまして、そーなのかーさん、どうもありがとうございました。

また、そーのなのかーさんは暗電流も直接測定しているなど、私なんかよりも遥かに先に進んでいろいろ解析されていて、素晴らしい結果を出しています。今後とも結果に注目したいです。




SVBONYについて

今回SVBONYさんの方からSV405CCをレビューして欲しいというオファーがあり、一連のレビューを進めてきました。担当の方がおそらく中国の方かと思いますが、私とは日本語でやりとりをしてくれていたので楽で助かりました。多分機械翻訳を使っていると思われ、たまに???な場合もありましたが、意思疎通は普通にでき、深刻なことは何もありませんでした。海外の方とももう機械翻訳で普通にやりとりできるレベルになっていると実感できます。

SVBONYのいいところは、ユーザーからのフィードバックにものすごく早く対応しているところでしょうか。その一方、不満としてはユーザーを使ってある種βテストをしているような状態とも言えなくはないので、少なくとも最初のHCGモードさえオンになっていなかったドライバーの出来を見るに、リリース前にもう少しテストして欲しかった感もあります。

まあ、リリースも当初聞いていた時期から1ヶ月近く遅くなっていたので、いろいろ苦労があったであろうことは容易に推測できますし、まだ冷却カメラとしては初めての機種なので、トラブルがあるのも仕方ないのかと思います。経験をどんどん積んでもらって、今後も求めやすい価格でいいものを提供してもらえれば、ユーザーとしては選択肢が増えて嬉しいのかなと思います。


さようならSV405CC

さて、SV405CCは本日をもってあぷらなーとさんのところに旅立ちます。あぷらなーとさんは骨折の入院から復帰されたばかりとのことなのですが、もう送っても大丈夫とのことだそうです。あぷらなーとさんの評価がどんなふうになるのか、今から興味深々です。


SV405CCとの比較で、ASI294MCでの北アメリカ星雲の画像処理中に、点状の多数のノイズが出現しました。普段こんなのみたことがありません。

masterLight_180_00s_FILTER_NoFilter_RGB_integration1_Preview01

原因を探ったら、どうやらフラットに同様のノイズが載っていて、そのフラットを使って補正処理したためと分かりました。

_2022_06_18_15_48_32_Preview01
あるフラットフレーム1枚の中心部500x300ドットくらいをストレッチしたもの。

フラットフレームは0度に冷却して撮影しました。拡大してみないと分からないような細かい一様のノイズなので、撮影時はOKと判断してしまいました。個々のフラットフレーム全部に点々が散りばめられていて、そのため同様のマスターフラットができてしまたようです。

どうもこれセンサー面が結露してしまったことで起きる現象のようです。昼間の部屋で0℃に冷却してフラットをとった場合、再現性はあるようなので、今後フラットは多少部屋が暑くても常温で撮影するようにします。

ちなみに、SV405CCも同様に冷却してフラット撮影したのですが、このような現象は見られませんでした。実は今回あまりに部屋が暑かったので、最初にSV405CCで冷却してフラット撮影していて、それに条件を合わせようとして(普段は常温でフラット撮影しているのに)ASI294MC Proでも冷却してフラット撮影してみてはまったというわけです。

常温でフラットを取り直していたため、当時余分に時間がかかってしまいましたが、その結果下のように見事にノイズは消えました。

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その後、これらのフラットフレームを使い、改めて画像処理をし直したら、下の写真のようにノイズは消えたので、ライトフレーム撮影時には結露のようなことは起こっていなかったと判断できてほっとしています。
 
masterLight_180_00s_FILTER_NoFilter_RGB_integration_Preview01

 

  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露
 

長く続いてきたSV405CCの評価も佳境になってきました。今回の記事は作例とともに、青ズレの謎に迫ります。さてさて、どこまで解明できるのか?


北アメリカ星雲再び

まずは作例です。今回の一連の記事のその2で出した北アメリカ星雲の再撮影です。

目的は2つ、
  • 前回の撮影は透明度がかなり悪く、階調がほとんど出なかったので、そのリベンジ。
  • 四隅の流れを改善しておきたい。
といったところです。本当はあと一つ、あわよくば青ズレを直す方法が見つかったらと思いましたが、この時点ではそれは叶いませんでした。

まず透明度ですが、今回の撮影では白鳥座の羽の先が見えるくらいよかったです。その影響はかなり大きく、見た目だけなら今回の3分露光の1枚で前回の全スタック分くらいの諧調が出ています。(アップロードの関係でサイズを各辺半分にしています。)

2022-07-02_00-00-47_NGC 7000_180.00s_g120_0.10c_0050_low

依然青ズレは出ていますが、これならインテグレーションしたら階調に関してはかなり期待できそうです。

もう一点、マルチフラットナーを使っているにもかかわらず、前回までバックフォーカス長を適当にとっていたため、SV405CCでもASI294MC PRoでも、いずれの撮影にも関わらず四隅の星像が流れまくりでした。

2022_07_01_01_39_49_M_20_180_00s_g120_0_10c_0034_mosaic
前回までの間違ったバックフォーカスでの四隅の一例。

タカハシの鏡筒はCanonやNikonといった、一眼レフカメラのバックフォーカス長に合わせてアダプターなどの製品を提供しています。今回は手持ちのタカハシ純正のCanon用の一眼レフカメラ用のアダプターを使ってマルチフラットナーのバックフォーカス長に合わせるようにしました。このアダプターに合わせてCMOSカメラを使う場合は、例えばZWOから出ているCMOSカメラとCanon EFマウントに変換するアダプターを使うこと、ほぼ何も考えることなくバックフォーカス長があった状態にしてくれるので楽です。

今回は、かなり前に買ったZWOのCanon EFマウントアダプターを使ってみました。現行モデルはフランジ長が固定ですが、初代のZWOのCanonマウントアダプターはフランジ長を1cm位調整できます。CBPを取り付けたくて、SV405CCに付属の1.1.25インチフィルター用のリングをセンサー部に取り付けたので、ZWOのCanonマウントアダプターは少し手前で固定されるはずです。そのため、マウントアダプターの長さは最短に調整しました。この状態で四隅を見てみると、

2022_07_02_00_00_47_NGC_7000_180_00s_g120_0_10c_0050_mosaic
のように四隅の流れはほぼ無くなりました。

その後、撮影前に少しだけ青ズレを直せないか試したのですが、この日は結局太刀打ちできず、透明度も良くて時間ももったいなかったので、そのまま撮影続行としました。結局天文薄明開始までの午前3時前まで3分露光で72枚撮影しました。前半は雲が通ることも多かったですが、後半はずっと快晴でした。使えたのは雲のない44枚の2時間12分ぶんでした。


画像処理

インテグレーション直後の画像をオートストレッチしたものです。

integration1

一部拡大するとわかりますが、依然青ズレがあります。

integration1_Preview01

もう一つ、今一度上の画像をクリックして拡大して見てもらいたいのですが、微恒星の中心が暗く抜けてしまっています。最初はピントが合っていなかったと思っていたのですが、実際にはかなりピントは気を付けて合わせているにもかかわらず、ほぼ毎回こうなります。また、そーなのかーさんがSV405CCで撮影した画像も同様に中心抜けになっているようなので、どうもこれはピンボケというよりは何か系統的に問題があるような気がしています。

恒星に関しては仕方ないとして、そのまま画像処理を進めます。

途中やはり恒星部分で苦労しました。一番大変だったのは、StarNetのバックグラウンドと恒星部の分離の時に、色ズレのせいかハロの部分がバックグラウンドと認識されてしまい、ここを誤魔化すのが大変で、最後まで不満が残ってしまいました。

Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT_bg

パッと見はわかりませんが、B画像を抽出してみると同様のハロが他にもたくさん残っていて、あぶり出しとともにたくさんのハロが目立ってきます。

結果


Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT3_cut_tw
  • 撮影日: 2022年7月2日0時38分-2時53分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: SIGHTRON CBP(Comet BandPass filter)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: SVBONY SV405CC (0℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分x44枚で総露光時間2時間12分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 0.3秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

淡いところの階調もかなり出ています。前回の透明度の悪い時より相当良くなっています。庭撮りでここまで出るならまあ満足でしょう。あとはやはり恒星です。

普通ならここでおしまいなのですが、もう少し続きます。ここから大きな進展です


青ズレ検証その後

上の北アメリカ星雲の撮影のあと、もう少し青ズレに関して何かわからないかと思い、後日いろいろ試してみました。ただし雲が多く出ていたので、その隙間でのテストであまり時間をかけることができませんでした。

とりあえず、SharpCapで3分露光を何ショットか撮影しました。最初のショットがやはりこれまでのように暗くなるのが再現され、やはりドライバーレベルで何かやっているのかと思います。この時、雲の動きが速く、雲間が貴重なためにすぐにNINAに移りました(ここで焦っていたのが後で効いてきます)。

NINAでは少し雲が薄くなってきて余裕も出てきたので、じっくり青ズレを見ながら、ASI294MC Proとも交換しながら、何が問題かじっくりみることができました。

一つ疑っていたことがあって、オフセットが40と小さすぎることが原因ではないかということです。SV405CCの場合、オフセットは最大255まで設定でき、今回はわずか40と、最大の6分の1くらいとしています。ちなみにASI294MC Proの場合は最大80で半分の40としています。前回のPedestalの記事であったように、オフセットが低くて輝度の低いところが問題を起こしているのかと思ったわけです。でもオフセットが40の場合でも、120にした場合でも、青ズレに関してはなんら違いが見られませんでした。なので、オフセットは無関係かと思います。

結局、このとき画面を見ながら出した結論は、ASI294MC Proでは何をどうやっても(ゲインやオフセット、露光時間など)青ズレのようなものは出ない、その一方SV405CCでは何をどうやっても(こちらおゲインやオフセット、露光時間など)青ズレを消すことはできない。ということでした。

その後、改めてSV405CCのRAW画像を、RGBで分離して見たり、4つのセグメントごとに見たりしました。
  • SV405CCのBayer パターンがなぜかGRBGであること。ASI294MC ProはRGGB。
  • でもなぜか星雲の濃さから判断するとCF0:G1, CF1:B, CF2:R, CF3:G1のように見えること。
  • CF2の恒星中心部近くに極端に暗くなっている欠損部が多いこと。輝度は周りの1%程度であるが0でないこと。
  • CF1に星の中心部近くに輝度が完全に0のところがあること。CF2ほど欠損の数は多くないこと。
などがわかりました。そーなのかーさんも同様のレポートをしていたので、再現性もあるようです。

結局、この時点ではどうすることもできなくて諦めて、次はNINAで触れないパラメータをいじってみるのかなと思っていました。というのも、CMOSカメラはどこかに設定が保存されていて、例えばSharpCapで触った設定が、FireCaptureを立ち上げるとそのまま引き継がれるというようなことがあるからです。


なんと、原因判明!

そんなことを考えながら昨晩、上の北アメリカ星雲の画像処理を終えて、次回テストの準備をしようと思い、「そういえばSharpCapでSV405CCで撮影した画像があったなあ」と何の気無しに開いてみたら、どこをどう見ても青ズレが見えません。

Capture_00001_20_47_33_RGB_VNG
SV405CCでSharpCapで撮影。青ズレは皆無です。

2022_07_04_21_28_47_NGC_7000_30_00s_g120_10_00c_0084
上の画像の直後にSV405CCでNINAで撮影。明らかに青ズレが出ています。

わかりやすいように拡大して比較して見ます。
ShapCap_NINA_SV405CC
左がSharpCap+SV405CC、右がNINA+SV405CCです。

明らかに違いがわかると思います。ただし、SharpCapでの露光は180秒、NINAでの露光は30秒です。露光時間が逆だったらまだ疑いの余地もありますが、NINAでわずか30秒で青ズレが出てしまっているので、結論は覆らないでしょう。これは明らかにどうやっても青ズレが消えなかったNINAとは、状況が全く違います。

カメラのドライバーはSharpCapでもNINAでも同じ「SVBCameraSDK.dll」を使っています。一応念のために改めて確認しましたが、SVBONYで配布されている1.7.3のカメラドライバーを普通にインストールしたあと、SharpCapは最新版を改めてインストールすると、SVBCameraSDK.dllに置き換わっていました。その一方NINAでは現在の最新版でも、カメラドライバーは最新のものに自動的に置き換わらず
、その前に使っていた1.7.2のままだったので、マニュアルでSharpCapにインストールされていたSVBCameraSDK.dllをNINAの方にコピペして、改めてNINAを立ち上げて1.7.3になったことを確認しています。

ここまでの検証が正しければ、最新版のNINAでの読み出し方の問題ということになります。


よく考えると、SharpCapで撮影した時は雲が流れてたので、時間がなくあせっていて青ズレをきちんと画面で確認していませんでした。そういえばSharpCapで電視観望した時もSV40CCで青ズレが出なくて、彩度もSV405CCとASI294MCで変わりがなかったことを改めて思い出しました。この時は露光時間が短かったからかと思っていましたが、どうもNINAとSharpCapの違いの方が濃厚そうです。

今のところCMOSカメラを使ってのDSOの撮影はShaprCapではディザーガイドがやりにくいなど、NINAやAPTなどに頼らざるを得ません。SV405CCはAPTは対応していないので、実際はほぼNINA一択になるかと思います。NINAでこの青ズレがある状態は致命的です。

というわけで、SVBONYさんの方に今回の結果を報告し、開発陣に連絡してもらうように頼みました。これでキチンとNINAでも対応してくれるように手配してもらえれば、青ズレ問題はとりあえず解決することになりそうです。

今の段階であとやれることは、次に晴れた時に改めてSV405CCを使ってSharpCapで撮影、画像処理までしてみて、(ディザーはやりにくいのでパスするかもしれませんが)青ズレが出ない仕上げ画像まで作ってみることでしょうか。


まとめ

ここまでの結果が正しいのなら、問題はハードではなくてソフトで解決できるということになります。ここが切り分けられるだけでも、かなりSV405CCの未来は明るくなります。その際、彩度がこれまで通り出なくなるのかちょっと気になりますが、まあ優先度としては次の話でしょう。

SV405CCの初期の評価、長かったですがやっと解決につながる道を見つけることができました。やっとあぷらなーとさんにお渡しすることができそうですが、どうもあぷらなーとさん骨折で入院しいるとかで心配です。焦らせてしまっても申し訳ないので、活動できるようになってから渡るようにしたいと思います。


昨日のM8干潟星雲とM20三裂星雲の画像処理の最中に、おかしなことが起きました。結構一般的な話なので、ここでまとめておきます。

下は、SV405CCで撮影した3分露光、34枚をPixInsightのWBPPでインテグレーションした直後の画像をオートストレッチしたものですが、見て分りますように階調が全く無くなってしまうということがありました。

masterLight_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

何が問題だったかと言うと、Pedestalの設定をするのを忘れてしまっていたからです。WBPPのCalibrationタブでLightsを選択した時に、右隣のパネルの2段目に出てくる「Output Pedestal Settings」のところで設定できます。
pedestal
私は普段毎回ここを「Automatic」にしています。ただこの設定、WBPPのパネルを開けるたびに度々リセットされてAutomaticでなくなることがあります。今回は「Literal Value」に勝手になってしまっていました。改めて「Automatic」に設定して、WBPPの処理をし直すと下のようにきちんと淡い部分の階調が戻ってきました。

masterLight_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

多分これはSV405CCに限ることではなく、オフセットが小さくてダーク補正などで0以下のピクセルが多数出たときに一般的起きる現象です。特に今回はSV405CCのオフセット量が最大255のうち、40という低い値で撮影したことも原因の一つなのかと思います。

このような場合に、画像処理時に上記のようにPedestal設定で回避できるので、もし同様の階調がなぜか出ない現象で困っている方がいたら、是非試してみてください。


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露

北アメリカ星雲撮影後、6月13日付で新型ドライバー1.7.3が出ました。今回の記事はこのドライバーを適用して書いています。


新ドライバーでのセンサー解析

早速ですが、前ドライバーでも試したように、SharpCapを使いセンサー解析を実行します。

20220630_SV405CC_1.7.3

この結果を見る限り、100と150の間、おそらく120あたりでHCGもオンになり、前回測定した時のような変なゲイン設定と実測のゲインがずれるというようなおかしな振る舞いももう見られません。

ここで改めてASI294MC Proの測定結果を再掲して比較してみます。

ASI294MCPro

  • まず、コンバージョンファクターがSV405CCの方が2割ほど大きく出ています。
  • 読み出しノイズも2割ほど大きく出ているように見えますが、これは単位が [e] になっています。これを2割大きく測定されたコンバージョンファクターで割ってやり [ADU] で見てやると、ASI294MC Proの結果とほとんど同じになります。なので、ノイズに関しては同様の結果で、コンバージョンファクターに差があるということです。
  • フルウェルに関しても同様です。SV405CCの方が2割ほど増して電荷を貯めることができるように思われるかもしれませんが、これは14bit = 16384 [ADU] にコンバージョンファクターをかけているだけなので、コンバージョンファクターが大きいと勝手に大きなフルウェルとなってしまうだけです。
結局突き詰めると、コンバージョンファクターのみがASI294MC ProとSV405CCで2割ほど違うということになります。ではなぜSV405CCのコンバージョンファクターが大きく出たのでしょうか?少し考えてみます。

そもそもコンバージョンファクターは撮影された輝度(信号)と、その輝度のばらつき具合(ノイズ)の比から計算されます。さまざまな輝度を横軸に、ばらつき具合縦軸にプロットし、その傾きの逆数がコンバージョンファクターとなります(簡易証明はここを参照)。ということは、コンバージョンファクターが大きいということは、同じ量の輝度に対し(傾きの逆数なので)その輝度のばらつき具合が小さいということになります。簡単にいうと、ノイズが小さいということです。今回の測定結果だけ考えると、SV405CCの方がASI294MC Proよりもノイズが小さいということです。また、言い換えるとADCの1カウントを稼ぐためにより多くの電子(突き詰めれば光子)が必要になるため、効率が悪いとも言えます。効率が悪いために、ADCの飽和までにより多くの殿下が必要になり、フルウェルが大きく出るというわけです。

ただ、センサーが同じで測定結果が違うということなので、そのまま信じるのも少し疑問が残り、他に何か別の要因が効いている可能性は残されていると思います。今のところは測定結果がわかっているのみで、それ以上のことはわかっていないので、これはこれで事実として置いておくとして、先に進みます。


画像比較

今回はM8干潟星雲とM20三裂星雲で画像を比較してみました。機材は前回同様FS-60CBとCBPで、ASI294MC ProとSV405CCで自宅撮影した画像での比較です。撮影日の透明度はかなり良く、白鳥座の羽は端まで見えていていて、こと座も三角形と平行四辺形が良く見えました。天の川も薄っすらですが見えていて、3分露光一枚でもかなりはっきり写るくらいでした。

NINAの画面と、ASIFitsViewerでのヒストグラムを示します。


SV405CC

01_capture

3分露光のオートストレッチになりますが、すでにこの時点でかなり色濃く出ています。

撮影画面の右下隣のグラフを見るとわかりますが、黄土色の線が検出された星の数を表していて、相変わらず最初の1枚はなぜか暗く撮影されるため、星の数が少ない状態で写っています。

少し気になるのは、冷却時のパワーが大きいことです。1.7.2の時から冷却時も加熱時も時間がかかるようになりました。それはそれで結露しにくくなるはずなのでいいのですが、同じ温度にするときにSV405CCが65%で、ASI294MC Proが48%なので、1.4倍ほどパワーを食うようです。冷却効率はまだASI294MC Proに分があるようです。

02_histgram

ヒストグラムも全ドライバーのように右にシフトすることもないですし、赤だけ山の広がりが極端に大きいということもありません。


ASI294MC Pro

比較のASI294MC Proです。
03_capture_ASI294MCPro

上と比べると明らかに色は淡いです。ただ、右下グラフの緑線を見ると、恒星の径が294に移った時点で3.15を切るくらいから2.9付近に1割近く改善しています。これも毎回のことでそこそ再現性があり、不思議なところの一つです。

02_histgram_ASI294MCPro

このヒストグラムと比べると、まだSV405CCは最適化の余地があるように思えます。まず山の左側の裾の具合が違います。ASI294MC Proのほうが左側がスパッと切れていて、理想に近いです。

あと、やはりSV405CCの赤はまだ少し広がりが大きいようにも見えます。ただ、後の画像処理では前回起きたPCCの背景がニュートラルにならないというようなことはありませんでした。

それぞれ30分程度撮影して、PixInsightのWBPPでインテグレーションまでして、オートストレッチしたものを比較します。天頂を挟んで先にSV405CCで30分撮影、その後ASI294MC Proで30分撮影しました。ASI294MC Proの方が心持ち天頂に近く、10分ぶんくらいの差で少しだけ有利ですが、まあ誤差の範囲でしょう。

上がSV405CCで、下がASI294MC Proになります。
masterLight_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

masterLight_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

ここで見ても、明らかにSV405CCの方が色が濃いことがわかります。その代わりに、SV405CCの方は恒星の青ズレが依然出ていることも変わりません。

また、SV405CCのマスターダークファイルは以下のようになり、やはりアンプグロー抑制のような効果は確認することができませんでした。
masterDark_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s


ただ、これはASI294MC Proでも以下のように同様に出ているので、SV405CCが不利ということではありません。
masterDark_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s

その証拠に上のWBPP後の画像を見ても、SV405CCの場合も、ASI294MC Proの場合もアンプグローのような後は確認できません。


SV405で撮影したM8干潟星雲とM20三裂星雲

その後、さらにSV405CCで追加撮影して、M8干潟星雲とM20三裂星雲を仕上げてみました。テスト撮影の時と同様にFS-60CBにCBP入れて自宅庭撮りで、露光時間は3分x34枚でトータル1時間42分です。

WBPPでインテグレーションした直後の画像です。さすがに上の30分の画像よりは滑らかになっています。

masterLight_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

あとはいつも通りPIでストレッチして、Photoshopで仕上げたものが以下になります。
masterLight_180_00s_FILTER_NoFilter_ABE2_mod_cut
  • 撮影日: 2022年6月30日23時56分-7月1日1時39分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: SIGHTRON CBP(Comet BandPass filter)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: SVBONY SV405CC (0℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分x34枚で総露光時間1時間42分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 0.3秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

このカメラ、画像処理するとよく分かりますが、色がかなり出やすいです。三裂星雲の周りの青も簡単に出ました。そもそも1枚画像でも色が出てますし、インテグレーション直後でもかなりきちんと色が出ているので、色出しについては全然楽です。実際、明らかにASI294MC Proで画像処理を試したときよりもはるかに楽でした。

画像処理の中でも、色出しは最初のうちは苦労すると思うので、撮影用の入門カメラとしては大きな特徴であると言えるのかもしれません。ただし、青ズレが気になる場合は画像処理でどうにかする必要があり、上の画像くらいには目立たなくすることは可能かと思われます。

正直言うと、庭撮りでここまで色が出やすいなら利点の方が大きく、青ズレのことは画像処理である程度気にならないくらいになるので、結構満足です。

ちなみに、以前FC-76で自宅で撮影したものが以下になります。

integration_DBE_PCC_stretched3

当時はそこそこ満足していましたが、今回の方がM20周りの青の出方、指先の青、階調、分子雲、どれをとっても圧倒的に進歩していると思います。


まとめ

SV405CCですが、最新のドライバー1.7.3でセンサーの振る舞いとしてはかなりまともになりました。

撮影では依然青ズレは存在しますが、画像処理まで考えると色が出やすく一気に評価が高くなります。とくに、画像処理初心者にとっては色が出るというのはかなりの魅力なのではないでしょうか?青ズレ問題は画像処理である程度目立たなくすることもできるのかと思います。

そうは言ってもこの青ズレ問題、できることならやはり解決したいと思っているので、もう少し検証してみます。その一方心配しているのが、青ズレがなくなると同時に、この色が出やすいと言う特徴ももしかしたら無くなってしまうのではという可能性です。まだ解決法も見つかっていない状態なので、結果がどうなるかは分かりませんが、もう少しお付き合いください。


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露


今回の記事は、SV405CCの評価の中休み的なものです。晴れ間に気軽に電視観望を試してみました。

電視観望のチャンス

2022年7月2日、天気予報が悪くてほとんど何も準備していなかったのですが、途中から予報が変わり朝まで快晴。せっかくなので、後日試そうと思っていたSV405CCでの電視観望を自宅で試してみました。ドライバーは6月13日付の最新のものにしてあります。最初のほうでASI294MCと比較していますが、SV405CCでもASI294MCでも露出時間は6.4秒、ゲインは450としています。ライブスタックでのトータル露光時間は2分の場合と10分の場合がありますが、詳細は画面で情報を見てください。

鏡筒はいつものお気軽なFMA135にAZ-GTiの経緯台モードです。フィルターはCBPです。

最近は赤道儀もそうですが、経緯台モードのAZ-GTiでもワンスターアラインメント時の初期導入で天体が入ったかどうか確認もせず、プレートソルブをかけて強制導入してサボってしまうので、とても楽です。SV405CCでもきちんとプレートソルブができ、経緯台モードのAZ-GTiにズレをフィードバックしてきちんと天体を導入できることがわかりました。

あと、今回のテストで「背景減算」のところで「グラジエント除去」を選択しています。これは結構いいです。自宅なので周りの明かりでかなりカブリが出てしまうのですが、基本ほとんど1次の補正で除去できるようです。ただし、周辺減光があると1次での補正だと補正しきれないのでうまくいかないかもしれません。周辺減光がなければ、オートストレッチで以前よりもかなり攻めることができ、実際の画像でも目に見えて改善を確認できます。


SV405CCとASI94MCで比較

初期アラインメント完了後、まずM27: 亜鈴状星雲を導入しました。この状態でSV405CCとASI294MC(プロでないほう)で比較してみます。 両方ともCBPを使っています。公平を記すために、SV405CCも冷却なしの常温とします。上がSV405CC、下がASI294MCです。
01_M27_SV405CC

02_M27_ASI294MC

SV405の方が少しピントが甘く、恒星が大きくなってしまっていますが、それ以上の違いがホットピクセルの数です。SV405CCの方がASI294MCに比べて圧倒的にホットピクセルが少ないです。拡大してみます。左がSV405CC、右がASI294MCです。
名称未設定 1
ホットピクセルの数の違いが分かります。クリックしてさらに拡大してみてください。

これくらいホットピクセルが少ないと、リアルタイムダーク補正がいらないので、かなりいいですね。この意味でもSV405CCは電視観望に向いていると言ってもいいと思います。

ところで、実際このSV405CCにはPlayer One社のDPSのような機能があるのでしょうか?SVBONYのページを見る限り、そのような記述はないようです。ここら辺は同じIMX294センサーのASI294MCから進歩しているところなのかもしれません。SV405CCのこのホットピクセルの少なさは特筆すべきで、もっと宣伝しても良いのかと思います。


続いて北アメリカ星雲での比較です。上がSV405CC、下がASI294MCです。
04_NAmerica_SV405CC

03_NAmerica_ASI294MC

後から気付いたのですが、ASI294MCの方の恒星にハロが出てしまっています。理由が不明ですが、特に雲が出ていたとか、曇っていたとかはなかったと思います。これまでこんなのは気になったことがないです。たまたまなのか、今後少し気にするようにします。

SV405CCのヒストグラムのライブスタックのピークの位置が結構右に来ているのは、輝度を挙げているからです。どうも「黒レベル」というのがASIでの「輝度」に相当するようです。最大値が255なので、真ん中近くの120としましたが、少し大きすぎたようです。

拡大するとわかりますが、やはりホットピクセルはASI294MCの方が多く、SV405CCではほとんど目立ちません。


彩度の差

実はこれまでの撮影のから、SV405CCは色が出やすいことがわかってきています。少し先取りして載せますが、前々日にM8とM20を較撮影した時のNINAの画面です。3分露光での撮影時のNINAのオートストレッチでの画像です。上がSV405CC、下がASI294MCです。

01_capture
SV405CCでの撮影時。


03_capture_ASI294MCPro
ASI294MCでの撮影時。

明らかに彩度に差があり、SV405CCの方が色が出ているのがわかります。この時点でドライバーは6月13日付の最新のものにしてあるので、ゲイン違いの不具合などは直っています。また、NINAのオートストレッチのせいかというとそうでもなく、ASIFitsViewerでオートストレッチしても同じような傾向です。

この結果から、電視観望でも彩度はSV405CCが濃くなるかと思っていたのですが、北アメリカ星雲の電視観望画像を見る限り、ではほとんど差が出ませんでした。露光時間が短いと彩度に差が出ず、露光時間が長いと彩度に差が出るということなのでしょうか?

もう一つここで述べておくべきことは、撮影時にSV405CCで出ていた青ズレの類が、電視観望の画像では有意に見えていません。

まだまだ謎は深まりますが、SV405CCは電視観望用途としては申し分ないでしょう。


SV405CCで連続電視観望

ここからは比較でなく、SV405CCオンリーで薄明開始まで見えるだけみてみます。まずは網状星雲です。自宅からですが、十分見えています、
05_Veil_SV405CC


次は小さいM57を600%の拡大で見てみます。ピクセルのジャギーが見えていますが、いつものASI294MCでの画像と遜色ないです。
06_M57_SV405CC

M31です。画角に収まるように拡大しています。
08_M31_SV405CC._10minJPG

クールピクセルの縞ノイズと思われるものが画面を這っているので、ここでリアルタイムダーク補正をしてみます。
09_M31_SV405CC._10min_dark

かなり改善されているのがわかると思います。ホットピクセルだけならダーク補正は必要ないと思いますが、クールピクセルなどの黒い筋ができる場合は、リアルタイムダーク補正をした方がいいようです。

ちなみに、その時のM31を含む全画角が以下のようになります。ここからM31の部分を拡大してみていると言うことになります。広い画面です。IMX294のフォーサーズの画角を利用できるのはやはり良いですね。
Stack_92frames_589s_WithDisplayStretch

最後はNGC7293:らせん星雲です。これだけ25分ほどのスタックになるので、その分色もかなり濃く出ています。
13_NGC7293_SV405CC._10min_dark

最近のSharpCapでアノテーションができるのはご存知でしょうか?名前が出るので、観望会でも役に立つと思います。
12_NGC7293_SV405CC._dark_annotation


まとめ

SV405CCですが、電視観望にかなり向いているカメラだと思います。フォーサーズサイズで大きな面積、かつホットピクセルが少なく、冷却付きで10万を切る価格。これだけでも十分な価値があります。

彩度に関しては撮影ではASI294MCとSV405CCで差が出ましたが、電視観望ではほとんど差が出ませんでした。まだまだ色々謎です。でも、この彩度の違いが青ズレと関係していると推測しています。この青ズレ問題、次回以降でも扱っていきます。


前回の撮影時の記事から少し間が空いてしまいましたが、前回FS-60CBでSV405CCとASI294MC Proで撮影した画像を処理してみました。

 

この撮影後、6月13日付の新しいドライバーが発表されましたが、今回の記事はその前の6月11日にメールで送られてきたものを使っています。そのため(おそらくゲイン120以上で)HGCモードに入りますが、さらにゲインが200プラスされた状態で撮影されています。今回はゲイン120としましたが、実質は320と同等と推測され、ダイナミックレンジが犠牲になっていますので、その点ご注意ください。


共通条件

撮影日の透明度がかなり悪かったため、ここでは比較することを主目的とし、仕上げはさらっと軽めに処理するだけにしました。撮影については、後日透明度のいい日にリベンジしたので、最終画像は後で示します。

ASI294MC ProとSV405CCで共通の事情は、
  • 鏡筒はタカハシのFS-60CB。赤道儀はCelestronのCGEM II。
  • マルチフラットナーをつけていますが、1.1.25インチのノーズアダプターをつけているので、バックフォーカスが合ってなくて、四隅が流れてしまっています。
  • 冷却温度は0℃。
  • 光害防止フィルターとしてCBPの1.25インチをノーズアダプターの先に付けています。
  • 120mmのサイトロンのガイド鏡にASI120MMをつけて、PHD2でガイド。
  • 1枚あたりの露光時間は3分で、10枚に制限し、トータル30分の露光時間。
  • ゲインは120ですが、SV405CCはドライバーがまだ改良途中で実質ゲインが320になっていると思われます。
  • 公平を記すために同日の撮影にして、SV405CCで15分、ASO294MC Proで30分、さらにSV405CCで15分撮影した画像を使用しています。
  • 画像処理はPixInsightでWBPPを使いインテグレートまでしたのを、オートストレッチしています。
となります。


ASI294MC Proの画像(参照)

まずはASI294MC Proです。最初の画像処理でフラット画像に問題があることがわかり、フラットを後日再撮影しました。そのためライトフレーム撮影時についていたゴミが、フラット撮影時に取れてしまったようで、ペリカンの目の下あたりと、下辺中央あたりに丸い大きなスポットが残ってしまいました。カメラの評価にはあまり関係ないのでそのままにしておきます。

下の画像がPixInsightでスタックしてSTFとHTでオートストレッチストレッチだけした画像です。あまり主観的な操作が入っていない段階のこれで比較します。

ASI294MCPro_autostretch_180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

この時のヒストグラムは、再掲載になりますが

histgram_ASI294MCPro

となります。至極真っ当そうに見えます。


SV405CCの画像

一方今回の評価対象のSV405CCの画像です。同じく、PixInsightでスタックしてSTFとHTでオートストレッチストレッチだけした画像です。

SV405CC _-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

ヒストグラムは

histgram_SV405CC

となります。まだドライバーでおかしなところがあるため、ゲインを120と設定しても実質のゲインが320
となっていると思われ、同じゲイン設定のASI294MC Proのヒストグラムに比べて全体に右にシフトしていています。120と320で10倍違うはずなのですが、平均は4186から7385と2倍にもなっていないので一見おかしいと思うかもしれません。でもオフセットの値込みの平均値なので10倍になっていないのは問題ないです。

おかしなところは2点、
  • 赤のノイズの広がり方が大きすぎること
  • 60000(最大値の65536でないところが不思議)くらいの値のところに大きなピークがあること
です。その後、ドライバーをアップデートすることで、前者の赤のノイズのおかしいところは解決されることがわかっています。ですが、60000のところのピークは最新ドライバー1.7.3でも解決しないことまでは確かめました。

後もう一つ気になるところは、120秒以上の露光でアンプグローがなくなるというSVBONYの説明です。ですが、マスターダークフレームを見る限り、アンプグローは残っているようです。

masterDark_EXPOSURE-180.00s

それでも撮影時に気になることがあって、ほぼ毎回ですが、長時間露光の場合、一連の露光を開始する最初の1枚だけ、画面全体が暗いです。SharpCapでの撮影もNINAでの撮影も同じです。もしかしたら何かしようとはしているのかもしれませんが、ダークフレームでみて上の様になっているので、少なくともまだうまくいっていないようです。次の最新のドライバーでも注目したいと思います。


比較

両画像を比較してみましょう。オートストレッチ後なので一見どちらもよく似ていて、両者それほど変わらないように見えます。両方とも左が明るく、右が暗いような、1次のカブリがあります。これは左が北側に近く、富山の街の明かりが効いているものと思われます。

あえて言うなら、SV405CCの方が少し赤や緑が濃いでしょうか。でも誤差の範囲の気もします。

大きく違う点は、恒星です。中央下の二つの並んだ星を見るとわかりやすいでしょうか。

starspsd
左がASI294MC Pro、右がSV405CC

一見SV405CCの方が彩度が出てると思うかもしれませんが、よくみると明らかな右上方向への青ズレのようなものが出ています。

実はこれ最初は見逃していて、ここまで拡大することなく、遠目で単に色が出てる恒星だなと思っていたくらいでした。SV405CCで北アメリカ星雲をさらに1時間30分撮影したのですが、その画像処理の時に青ズレが出ているのが気になって、最後までどうしても残るので元を辿っていくと、一枚一枚のライトフレームに載っていることがわかりました。

最初、CBPでのゴーストかとも思ったのですが、ASI294MC Proでこれまでも今回もそんなことに困ったことはないのでおそらく関係ないです。FS-60CBの収差かとも思いましたが、それならやはりASI294MC Proでも出てもいいはずです。この青ずれの方向が常に一定なのも気になります。

とりあえず比較はここまでにして、これ以降は透明度の悪い日の高々30分露光の画像で処理を進めても、あまり意味はなさそうなので、次はこれ以降にSV405CCで撮影した1時間半の画像での処理を進めます。


画像処理

次に気になったのが、SV405CCの画像にPCCをかけた時、同パラメータをいじっても背景が青や緑に寄ってしまうことです。。BackgroundNeutralizationでパラメータをかなりいじって試しても同様だったので、画像の方に何か問題がありそうです。いろいろ探っていって、どうやらRのノイズ幅がおかしいことが原因という結論にたどり着きました。上で見せたSV405のRGBのヒストグラムで赤の幅が大きく、山の高さが低いことです。このグラフの縦軸はlogスケールなので、あまり差がないように見えるかもしれませんが、実際にはGBと比べて1/3から1/4ほどです。

histgram_SV405CC

PCCやBackgroundNeutralizationは幅の方は補正してくれますが、高さの補正はしてくれないようです。そのため、今回はLineaFitで高さを合わせました。しかも1回ではまだ合わせきれなかったので2回LineaFitをかけ、その後PCCをかけると、やっと背景もまともな色になりました。この変な赤の振る舞いは、6月13日付のドライバーをインストールした後は出ていません。もし古いドライバーを使って撮影している方は、最新ドライバーにアップデートしたほうがいいでしょう。

PCC後はストレッチなどした後に、Photoshopに受け渡しました。上で述べた青ズレは仕方ないものとして画像処理を進めました。なので、恒星がいまいちなのは気にしないでください。また、透明度が悪かったためにノイズ処理などもしているので、カメラの性能をそのまま見ると言うよりは、SV405CCで少なくともこのくらいまでは出せるという目安くらいに考えてください。

Image94_clone2

透明度がかなり悪い日の撮影にしては、そこそこ色も出ているのではないでしょうか。この後、透明度のいいに日再度同じ画角で撮影しているので、随時画像処理していきます。


まとめ

今回の記事を書くのにものすごく時間がかかりました。理由は青ズレの解明でかなりの時間を使ったからです。

SVBONYさんとも連絡を取りながら、欠点もブログで正直に書いていくということ、そして開発側にフィードバックしてさらに改善していくことを互いに確認しました。ここらへんはメーカーとしての基本方針のようで、かなり好感の持てるところです。SVBONY初の冷却カメラです。ユーザーとしても新たなカメラメーカーが選択肢として出てくるのは大歓迎です。今後の成長も含め、できるだけ協力し、期待したいと思います。

まだ青ズレの原因は完全にはわかっていませんが、今回の一連の記事の中でできるだけ理由に迫ってみたいと思います。

次回の記事から新型ドライバーを適用します。さて、どこまで改善されているのでしょうか?


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露


太陽粒状斑撮影にフィルターワークで新兵器投入です。今回はサイトロンから新発売のPlayer One社のPhotosphere filter。540nm付近を10nmの幅で透過するようなフィルターです。



IMG_6148

元々Barrderで「Solar Continuum Filter」という名前で同様のフィルターが古くから販売されていたようなのですが、国際光器のページを除いても在庫なし、本国のページを覗いても今も2インチしか残っていないようです。

最近Player Oneから同等のフィルターが発売されたことを本国のページから知ったのですが、PayPalでは自宅住所の県の情報が入らないという、おそらくシステムのエラーのようで、うまく購入することができませんでした。その足で少し前にシュミットさんに問い合わせてみたら、いずれ日本でも発売するとのこと。期待して待っていると、早速6月24日に発売開始のアナウンスがあり、早々と使ってみたというわけです。

さて、このフィルターで何が見えるかというと、太陽の光球面のベナール対流起因の粒状斑と呼ばれるものです。下層から上がってくる斑の中心の明るい部分と、下層に下がっていく周りの暗い部分の境界の温度が6000K程度になっていて、波長で言うとちょうど540nm程度でその明るさの差が見やすくなるため、粒状班模様としてよく見えるようです。

明暗がはっきりと

前回の撮影ではこのフィルターの代わりにBaaderのYellowフィルターを使っていましたが、模様の明暗部分のあぶり出しにかなり苦労していました。

今回はその明暗のあぶり出しは相当楽になりました。結果はというと、

final

くらいで、分解能に関しては今回は前回の結果には達しませんでした。今回導入したフィルターと画像処理方法がある程度確立してきたため、この程度のものはコンスタントに出るようにはなってきました。ただし前回も今回も強画像処理の影響が大きく、もう少し画像処理をしなくても自然に粒状斑が出るよう、まだ撮影に改善の余地がありそうです。


何が効いているのか?

うまく見えるかかどうかは
  • シーイング
  • シンチレーション
  • ピント
  • 波長
  • 焦点距離 
  • カメラの分解能
  • 口径
に依存します。上に行くほど運で、下に行くほど装備といったところでしょうか。何が足りていて、何が足りないのか、少しだけ検討します。
  • 口径はC8で20cmでそこそこ十分なはずです。まだ惑星撮影の典型的な分解能に達していないので、口径制限とはなっていないはずです。
  • ピントは合ったと思った前後を何ショットか撮っておけばいいでしょう。
  • シーイングは今日はそこまで良くなかったようですが、冬よりは遥かにマシになっているようです。これは日に依るので、地道に繰り返していい日を待つしかありませんが、基本的に休日しか撮影できないので、つらいところです。朝早く起きるか?多分無理です。
  • シンチレーション等意味では、外気温40度近い状態での撮影なので、多分鏡筒などの温度が物凄いことになっています。筒内気流がどうなっているか?まだ全然考えていないので、ここら辺がキーになるのかもしれません。
  • 波長に関しては、今回のPhotosphereフィルターを使うことができるようになったので、これ以降は解決のはずです。
  • 今回はPowerMATEの2倍を入れてC8の焦点距離2000mmを4000mm換算で撮影しました。ピクセルサイズから考えるとまだ全然アンダーサンプルです。なので焦点距離を伸ばす方向が正しい気がしています。手持ちのScience Exploereの5倍のバローを次回導入してみようと思います。もしかしたら以前使ったことのあるPowerMATEの4倍を購入するかもです。

今後

とにかく、もう少し焦点距離を伸ばして、十分なオーバーサンプル状態のカメラで、シーイングのいい日を狙って撮影ということになりそうです。筒内気流はどうするか?もう少し考えます。

Baaderの減光フィルム、Televueの2倍のPowerMATE、Player OneのPhotosohereフィルターときて、状況は徐々にですが、着実に改善されてきています。もう少しでしょうか。

最近すごく忙しくて、太陽なんかやっている暇ないはずなのに、せっかくの休日の晴れだとどうしても試したくなってしまいます。さらに一昨日からSV405CCの評価を再開しています。まもなく記事にできるかと思いますが、試してみたいこともまだまだあるのでいつ終わることやら。ゴールデンウィークの頃に撮影した溜まっている画像の処理が全然進んでいません。うーん、大丈夫か?


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