ほしぞloveログ

天体観測始めました。

赤道儀のセッティングの続きを少しだけ。初期アランメントで一発目に度くらいの精度で入ってくるかという話です。比較するのは、前回の記事で評価した

  • 水平インデックス法
  • 鏡筒水平法

の2通りの方法で実際どれくらいの誤差になりそうかというのを評価してみます。今回も極軸は十分な精度であっているとの仮定が入っています。あ、便宜上名前は勝手につけてしまいました。全然正式な名前ではありませんのでご了承ください。


水平インデックス法

1. 三脚の脚の長さででる水平度の誤差:
水準器を見ながら、最下部の脚の開きがざっくり1mくらいの幅で、手で3mmくらいの精度の脚の長さを合わせるのはできそうなので、
0.003[m] / 1[m] x 180[deg] / pi[rad] ~ 0.2 [deg] 

2. AVXの赤経体の直径が10cm(半径5cm)くらい、インデックスマークの幅が2mmくらいで半分の半分くらい幅の幅では少なくとも合わせられるとして、
(0.002[m] / 4) / 0.05[m] x 180[deg] / pi[rad] ~ 0.57[deg] 

3. 同じくAVXの赤緯体の直径が10cm(半径5cm)くらい、インデックスマークの幅が2mmくらいで半分の半分くらい幅の幅では少なくとも合わせられるとして、
(0.002[m] / 4) / 0.05[m] x 180[deg] / pi[rad] ~ 0.57[deg] 

4. 時刻の精度ですが、実際に時刻を打ち込んでからいつが赤道儀が動き出す最初かあまり確定していないのですが、30秒くらいの精度では合うとして、
0.5[min] / 60[min] / 24[h] x 360[deg] ~ 0.125[deg]


誤差は1から4までの2乗和のルートくらいになり、

sqrt(0.2^2 + 0.57^2 + 0.57^2 + 0.125^2) ~ 0.84[deg]

となります。この精度がどれくらいの意味を持つかというと、基本的にそのまま赤道儀の初期アラインメントの一発目がどれくらい中心からずれるかを示します。
  • 典型的な光学ファインダーの視野が、例えばVixenで7倍、50mmで実視界7度とのことなので、十分ファインダーには入るはずです。
  • 電子ファインダーで例えば、焦点距離50mm、1.8インチのASI178MCだと8度x6度と十分すぎる画角です。
  • 例えばFS-60Qで焦点距離600mmの鏡筒でフォーサーズサイズのASI294MCだと1.6x1.2度なので、まあなんとか入ってくるくらいです。
  • 例えばFS-60CBで焦点距離355mmの鏡筒で1/3インチのASI224MCだと0.8x0.6度くらいなので、ちょっと厳しいですね。


鏡筒水平法

一方鏡筒水平法では、誤差は結構変わってくるはずです。基本的に、三脚の脚の長さ調整の誤差と赤経のインデックスマークの誤差が、鏡筒においた水準器の精度に置き換わります。水準器の誤差はホームセンターで普通に売っている簡易なものでも簡単に0.1度くらいは出るようです。赤緯のインデックスマークの誤差は同じとします。全部の誤差を考えると

sqrt(0.1^2 + 0.57^2 + 0.125^2) ~ 0.59[deg]

くらいで、 
  • 光学ファインダーで電子ファインダーでも当然一発目で入ってきて、
  • 焦点距離600mmの鏡筒でフォーサーズサイズセンサーだとかなり真ん中に来て、
  • 焦点距離355mmの鏡筒で1/3インチセンサーでもなんとかギリギリ入ってくるくらいです。

確かにこのあいだの実際のテストでも、何度かやってみても鏡筒水平法の方が真ん中近くに来ていたので、あながち間違った見積もりでもないでしょう。

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水平インデックス法: 視野のギリギリで入るくらいです。入らない時もあります。

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鏡筒水平法: だいぶ真ん中に寄ります。視野に入らないことはまずありあません。

あと、鏡筒の光軸自身が赤道儀に取り付けたアリガタの向きからずれれている誤差は今回入れていません。これがずれていると、上の誤差以上のずれが出るかもしれませんが、見た目でそこそこ合わせているならそれほど大きくずれることはないでしょう。私は極軸を合わせた時に、カメラの視野の真ん中が極軸になるようにある程度光軸を合わせてあるので、実際に上の誤差よりも十分小さい範囲で合わせこまれていることになります。これはSharpCapで極軸調整した際に一回合わせてしまえば、それ以降アリミゾと鏡筒を外したりしなければあまりずれないので、一度はきちんと合わせておいてもいいかと思います。


いずれにせよ、水平インデックス法に変えて、鏡筒水平法にせよ、ファインダーレベルで一発目に入らないのはさすがに論外な誤差と言えるので、何か根本的におかしいと思っていいはずです。例えばりっくんさんは、AVXの設定を工場出荷時に戻したら、少なくとも一発目でファインダーに入るようになったというので、あまりに状況がおかしかったら他の原因を考えるのも解決につながるかもしれません。

先々週の赤道儀のセッティングの記事で、水平出しのことが議論になりました。コメントがいくつかあったのですが、かんたろうさんとその後もメールのやり取りをして、白熱した議論となりました。以後の議論では赤道儀の極軸は十分な精度であっていて、また、鏡筒も極軸と平行に設置されるものと仮定しています。

突き詰めていくと、今回の論点は、

  • Celestronの赤道儀Advanced VXで、ワンスターアラインメントでの初期アラインメントの時に、水平出しをしていることで、きちんと視野に入るかな入らないかに影響があるか?

というものになります。私は水平出しをしていなければ入らないという主張で、かんたろうさんは必ずしも水平出しをしていなくても、赤緯体が天頂方向を向いていれば、きちんと視野に入るというものです。

もう少し噛み砕いていうと、私はいつも赤道儀の水平出しをしてからインデックスマークを合わせるので、赤緯体は基本的に誤差の範囲内で天頂方向を向きます。かんたろうさんのは赤道儀の水平を出していなくても、赤緯体を天頂方向に向ければそれでよくて、その場合は赤経のインデックスマークが(水8兵からずれた分だけ)ずれた状態となるということです。赤緯体を天頂方向に向ける方法は、赤緯方向を90度傾けて鏡筒を東西に向ける。鏡筒の上に水準器を乗せて、赤経を調整して水平を出せば、赤緯体は天頂方向を向くというものです。

議論は平行線で、やはり実際に確かめなければ納得できなかったので、久しぶりに晴れた今日、試してみみました。

まずは、自分の方法できちんとワンスターアラインメントで入ることで、機器に異常がないかどうか確かめます。三脚についた水準器で赤道儀の水平を出し、

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SharpCapで極軸を1分角以下の精度であわせて、

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ワンスターアラインメントで手近なカペラを導入します。まあいつもやっているのでわかっているのですが、結果はきちんと視野の中に入ってきて、

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左がASI178に50mmのレンズをつけた電子ファインダー、右がASI294MCを600mmのFS-60Qに取り付けた鏡筒の視野です。両方とも明るいのがカペラです。電子ファインダー、鏡筒の視野ともに、赤いクロスの交点は一致しています。すなわち、右の鏡筒でクロス点にきているなら、左の電子ファインダーでもクロス点にきます。実際の導入はファインダーでざっくり0.8度くらい中心からずれた位置で導入されています。水平出しやインデックスマークの誤差もこれくらいのオーダーなので、特におかしくない精度です。機器に特に異常もないと思われます。


次に、三脚の脚の一本を数cm伸ばします。

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三脚につけた水準器はこの時点で全く水平を示していません。

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この状態で極軸をSharpCapを使って再び1分角以内の精度で合わせ直します。

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ここから、赤緯を90度程度傾けて、鏡筒に水準器を乗せて、赤経を調整してその水準器が水平になるようにします。

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この時点で赤緯体は天頂方向を向き、赤経のインデックスマークは当然ずれます。

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90度傾けた赤緯を戻して、赤緯のインデックスマークを合わせて準備完了です。この状態でワンスターアラインメントを実行します。

私の説が正しければ天体は導入できない、かんたろうさんが正しければ天体は導入できることとなります。果たして結果は...



なんと、見事カペラが導入されました。

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確かめるべく、ベテルギウス、リゲルなどもそのまま導入してみましたが、きちんと導入されます。これは完全に私の負けです。

さてここでやっと、なんできちんと導入されたのか考えました。答えはすぐにわかりました。私はワンスターアランメント(2スターアラインメントの最初でも同じです)のアルゴリズムは「赤道儀の水平」を仮定していると思い込んでいたのですが、実際にはアルゴリズムは「赤緯体が天頂を向いている」ということを仮定していたわけです。落ち着いてよく考えてみると確かに、水平を仮定するよりも赤緯体が天頂を向いていると仮定する方が、より条件が緩く、かつこれで十分だということがわかります。

すぐにかんたろうさんに電話して、私が間違っていたことを素直に伝えました。最後まで意見を変えなかった頑固な私に、ずっと付き合って頂いたかんたろうさん、どうもありがとうございました。改めてお礼を述べさせていただきます。


というわけで、赤道儀の初期アラインメントで一発目に天体を視野に入れるためには、必ずしも水平は必要ないと訂正しておきます。ただし赤緯体を天頂に向ける必要があることは変わりありません。かんたろうさんの方法を使ってインデックスはずれた状態で赤緯体を天頂に向けるもよし、赤道儀のの水平を出してインデックスを合わせて赤緯体を天頂に向けるもよしです。

ちなみに、言うまでもないかもしれませんが、「初期アラインメントで一発目」にさえこだわらなければ、水平も出す必要はないですし、赤緯体を天頂に向ける必要はありません。2スターアラインメント以上でマニュアルで一つづつ丁寧に導入していけば、自動導入可能な状態までもっていけます。


とにかくやっと納得しました。やはり自分で実際に試すのが一番わかりやすいです。かんたろうさんはじめ、コメントをくれたせろおさん、りっくんさん、いろいろお騒がせして申し訳ありませんでした。

前回の記事で、シュミカセの補正板の導出がわからないというところまで書きました。

結局のところ、日本語で詳しく解説してあるところはほとんど見当たらなかったので、海外のページを検索し始めました。するとすぐに相当数の解説を見つけることができました。中でもtelescope-optics.netというところの解説が詳しくてわかりやすかったです。

リンク先のページは、まずはシュミットカメラについての解説です。ここの最後の方に載っているExampleで計算結果が正しいかどうか確かめながら、まずは200mm, f/2のシュミットカメラの各係数 "A1, A2" などをExcelなどを計算していきます。Exampleに示されている値と同じ値が出れば計算過程は正しいでしょう。その後、500mm, f/2.5の値を自分で計算します。すると4次のオーダーの係数が-4.79E-10程度、6次のオーダーの係数が-7.26E-16程度になるはずです。

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このパラメータは、LensCalにサンプルとして入っているシュミットカメラ(シュミットカセグレンでは無いことに注意)

Sm20f2.ldt

というファイルのパラメータと同じです。ファイルの解説には(アイコンの「Memo」を押すと出てきます)シュミットカメラ 20cm F2.5と書かれているのですが、ファイル名だけだと間違えてしまいます。ファイルを開いて焦点距離を見てみると501.895mmと出るので、焦点距離500mm, 口径200mm, F2.5で間違い無いでしょう。このNo.2(2行目)のAirの側の係数を見ると、-4.769E-10と7.12E-16程度なので、自分で計算した値とほぼ一致します。

迷ったのは長さの単位でしょうか。基本的にミリメートル [mm] をどこも使っているようです。メートルとミリメートルで3桁違うので、2次とか4次とかだと、6桁とか12桁変わってくる可能性があるので検証がちょっと面倒でしたが、解説記事もLensCalもミリメートルで大丈夫と言うことがわかりました。

あと一つ疑問があります。LensCalで出ている補正板の出射側のAirの曲率の求め方です。単純に途中の計算で求めた曲率半径かなと思ったのですが、自分の計算では約-103m、LensCalでは約-68mと、1.5倍くらい違います。

まだ疑問が残るところはありますが、ある程度シュミットカメラまでの補正板の係数を求める過程を追うことができました。次の収差の解説ページにある球面収差の図もほぼLensCalで再現できているのも素晴らしいです。

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さらにtelescope-optics.netにはシュミカセの解説記事がまだまだ続いています。もう少し計算を続けてみます。
 

突然レンズ設計に目覚めてしまいました。ここ最近のマイブームで、四六時中ずっとレンズ設計のことを考えています。そもそもの動機が、シュミカセでコマ収差が盛大に出ていたのを、コマコレクターである程度軽減できることがわかったのですが、じゃあそもそもコマコレクター ってなんですか?というところから来ています。

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上の写真は手持ちのコマコレクター、バーダープラネタリウムのMPCC MarkIIIです。結構歪んで見えるので非球面レンズなのでしょうか?でも値段からいったら単純なレンズの組み合わせな気がします。説明書にはF4からF6まで対応すると書いてあるのですが、実際にコマ補正したい鏡筒はMEADEのLX-200の口径25cm、焦点距離1600mm、F6.3のものなので、少しだけ範囲から外れてしまいます。以前一度試しにつけてみたのですが、そこそこ効果があることはわかっています。

でもこのコマコレクターでこと足りるのか?最適な位置やバックフォーカスはどこなのか?もっといいコマコレクター はできないのか?と疑問は尽きず、気づいたらじゃあそもそもシュミカセってどんなものなの?という疑問に行き着きました。これを確かめるにはある程度シュミカセの設計自体を理解しなくてはダメです。


と言うわけで、前置きが長くなりましたがレンズ設計の挑戦の始まりです。どこまで続くことやら。

レンズ設計に関しては先人の理論、設計、ソフトウェアや検証など、多くの蓄積があります。まずはシュミカセに行く前に、レンズ設計ソフトを触ってみることにしました。あぷらなーとさんHIROPONさんがブログの中で試していらっしゃるので、それを捕捉する形で書いて行きたいと思います。ソフトはその中でオススメの「LensCal」です。製作者は京都の「星を求めて」でお会いすることができたラッキーイメージを得意とするYamashitaさんとのことです。Yamashitaさん、こんな素晴らしいソフトをフリーで提供していただいて、ありがとうございます。

とすぐにでもソフトに手を出したいのですが、ここではあぷらなーとさんが試したように、基準となる拠り所が欲しくて、まずはハルチング(今はハーティングと言うべきなのでしょうか)の公式に手を出してみました。


ハルチングの解とは、フランフォーフェル型と言う凸レンズと凹レンズの組み合わせにおいて、C線(656.27nmのHα)の焦点とF線(486.13nmのHβ)の焦点を一致させ、d線(587.56nmの黄)に対して球面収差とコマが最小になるような設計とのことです。2枚の設計したいレンズの上の3つの波長での屈折率を与えてやって、16個の連立方程式を解くと目的のレンズの曲率半径が求められるものです。

ネットを漁るとこのページにたどり着いて、ここから辿っていくとエクセルの表を手に入れることができます。ただ、これだけだと何をやっているかわからないので、式が書いてある掲示板を参照してみてください。私は吉田正太郎著「天文アマチュアのための望遠鏡光学〈屈折編〉」という本で式と概念をフォローしましたが、他の書籍でも同様の記述は見つかると思います。本の方では多少詳しい説明がありますが、連立方程式の導出から書いてあるわけではないので、結局は天下り的にこの連立方程式を解くだけです。リンク先で手に入るエクセルの表のパラメータも解も、上記書籍のパラメータ及び解と全く同じだったので、少なくとも表に特に変な間違がないことがわかるので安心できます。


この時のパラメータが最初のレンズをBK7、2枚目をF2で作るとして

BK7:
nC = 1.51385
nd = 1.516330
nF = 1.521900

F2:
nC = 1.615020
nd = 1.620041
nF = 1.632120

となっていて、最初のレンズの厚さが0.65mm、レンズ間距離が0.02mm、2枚目のレンズの厚さが0.45mmとするとします。

その時のハルチング公式からのそれぞれの曲率半径の解が

r1 = +60.572mm
r2 = -35.620mm
r3 = -36.041mm
r4 = -147.961mm

となるのは、上記書籍も、表計算の値も同じです。


さて、ハルチング解がある程度理解できたところで、やっとLensCalに移ります。ダウンロードインストールなどはマニュアルの通りです。Example of glass dataは必須ですし、Data.zipも落としておいた方がいいでしょう。ヘルプファイルは絶対あったほうがいいです。

一つ注意点は、ものすごく重要なヘルプファイルがWindow10だと中身を見ることができません。ヘルプファイル自身はダウンロードしてファイルをダブルクリックするだけでいいのですが、LensCalの掲示板にあるように

1.LensCal.chmを右クリックしてプロパティを開き、
2.いちばん下の「ブロックの解除」のボタン又はチェックボックスに印を入れてOKを押す
と読めるようになるようです。

とあるので、これに従うと無事にWindow10でもヘルプファイルの中身がきちんと見えるようになります。

基本的にはこのヘルプファイルの「簡単な使い方」のその1からその3までを丁寧に試していけばあるていどのことは学べてしまいます。ここで注意することは、ヘルプファイルの説明が少し添付データと違っていることです。2枚目のレンズのF2が「Sumita」から選ぶように書いてあるのですが、実際には「Schott」の方に入っています。しかもSchottのデーターも、Example of glass dataでダウンロードしたGlassData.zipを解凍して、出てきたファイルをLensCal.exeと同じフォルダに入れておかなければ、ガラスデータとして選択することができません(マニュアルにこのことは書かれています)。私が迷ったのは上記2点くらいで、他は全て問題なく、非常にわかりやすく扱いやすいソフトでした。

ヘルプに沿っていけば、「ベンディング」というらしいのですが、ある2つのパラメータを自由にして、収差を最小にするようなチューニングのようなこともできてしまいます。最適解を数値計算的に求めることもできるようです。ただ、最適解の場合は条件出しに少し癖があるようで、例えば波長の効き具合とかに、あまり効かせたくないと思って0を入れたりするとエラーが表示されて、立ち上げ直すまで2度と計算できなくなってしまったりします。そんなときは0.01とか小さな数を入れてやることで回避しています。

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上記写真は最適解とベンディングを駆使して求めた曲率ですが(距離は固定)、ガラスの屈折率にごくわずか違いがあることや、最適化の条件の調整が難しいこと、ベンディングの調整の誤差もあることなどから、ハルチングの解析解と少し違った値になっています。それでもまあ、かなりいいところまで最適化できていると言っていいでしょう。ここで気付いたのは、ハルチング公式の条件の一つの「C線(656.27nmのHα)の焦点とF線(486.13nmのHβ)の焦点を一致させ」というのは、シミュレーションでは球面収差を見ながら「有効径の外の方で合わせる」というのが解に近いみたいです。最初中心で焦点を合わせていたら、どうしても解析解とずれてしまいました。でも外側で合わせるというので本当に正しいのでしょうか?ここは謎が残ったままです。


さて、LensCalには20cm F10のシュミカセのサンプルファイルも添付されています。でもこのサンプルファイルにあるシュミット補正板の係数の値が本当に正しいかどうか、いまいち確信が持てません。シュミット補正板については同じ吉田正太郎著「天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編」にある程度書いてあるのですが、これも式の導出までは記述がないので、出ている式を天下り的に使うしかないのですが、どうもサンプルファイルの補正板の曲線の係数と全然一致しません。

もう一本Opt-Design 2000というソフトでも試していて、こちらもLensCalとある程度似たようなことができ、さらにこちらにも20cm F10のシュミカセのサンプルファイルが添付されています。でもこの補正板の係数の値もまた全然違います。

球面収差図を見ていると、原理から言って補正板の中性帯(曲率の正負が逆転する中間地点で、ここを入射する光は補正板の影響を受けない)を通るところで収差がなくなるはずで、LensCalの方はそれを再現しているようにも見えるので、LensCalの値が正しいように思えます。でもじゃあどうやってこの補正板の値を出したのかなど、まだ謎だらけです。

とりあえず、今やっとここら辺です。
 





 

関東に来る機会があり、恒例の天文ショップ巡りをしてきました。

まず最初は秋葉原から新宿の方に移動したシュミットさんです。富山からだと大宮で新幹線を降りて、埼京線で行く方が値段も時間も得するみたいです。新宿駅で都営大江戸線に乗り換えです。最寄駅は都営大江戸線の落合南長崎駅です。もともとサイトロンの商品の展示場があったところで、一度行きたい思っていたのですが、結局これまで行けずじまいだったので、今回のシュミットの店舗の移転がいい機会となりました。駅からは徒歩でほんの数分くらいです。近づくと「シュミット」と書かれたのぼりが見えるのですぐにわかるでしょう。道から階段を降りて半地下のようなところのフロア一帯の、手前側にシュミットの移転してきた店舗があり、奥にものすごく広いサイトロンの展示場があります。

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新しいシュミットは、店舗スペース自身も広くなっているのですが、意外や意外、タカハシやVixenなどのサイトロン以外のメーカの製品がたくさん置いてありました。店長さん曰く、CelestronやSky-Watcherの製品は奥の展示場で思う存分見ることができるから、それと比較してもらう意味でサイトロン以外の製品を置いているとのことです。もちろん倉庫の方に在庫があるのでCelestronやSky-Watcherを購入することもできるとのことです。というよりも、以前展示場だけだった時にはそこで製品を見ても購入することができなかったので、これからはサイトロン展示場で見て気に入ったものがあればシュミットの店舗の方で購入ができるようになり、お客さんにとっても、より便利になるのではとのことです。

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一方サイトロン展示場の方は圧巻で、ほぼ全ての現行のCelestron製品といくつかの現行モデルから外れてしまった過去のものも展示してあります。また、米国のCelestronのページにはあって日本では未発売のものもいくつか置いてあります。特に入門機についてはカタログ未掲載のものもたくさんあるとのことで、これは主にホームセンターなどの販売店の方に実際にものを見てもらうためにおいてあるとのことでした。

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展示場はとても広くてパノラマで撮ってやっと入りきるくらいです。

Sky-Wacherの方も現行モデルの大多数のものがおいてあります。私のところでも最近フル活躍のAZ-GTiは、鏡筒の違いによって3台もおいてありました。ここでは経緯台にもなるAZ-EQシリーズと、赤道儀オンリーのEQシリーズを直接比較することができます。AZ-EQは数少ないデュアルエンコーダー搭載でしかも経緯台としても使える多機能タイプです。どちらか迷っている人はここにきて、実際に触ったり、揺らしたりしてみるといいかと思います。ネットの情報だけではわからない、意外ないろいろなことがわかると思います。

展示場の方は担当のKさんが小一時間くらいずっと付き合ってくれて、いろいろ話すことができました。展示場のみでは商品を購入することができなくて話すだけなので、逆に無理に何かを買う必要もなく、じっくりとものを見たい、いろいろ相談したいという方はうってつけなのかと思います。他にもアイピースやコントローラーなどもショーケースの中に展示してあって、頼めば覗かせてくれるそうです。まだまだ展示したいものはたくさんあって、ショーケースの中には収まりきらないと言っていました。

展示場を楽しんだ後は、再びショップ側のシュミットの方に行き、店長さんとまた少しお話をしました。先週くらいに富山のY君が店舗に寄ってくれたという話も出てきました。Y君ですが、こちらも店舗を相模原に移動した三基光学のほうも行ったみたいです。実は三基光学の新しい場所は、妻の実家のすぐ近くなので、早いうちに行ってみたいのですが、残念ながら今回はチャンスがありませんでした。

この日、シュミットでは2つのものを購入しました。一つはAZ-GTiのハーフピラー部分です。AZ-GTiで電視観望や撮影していると、たまに知らないうちに鏡筒やカメラが三脚に当たってしまい、ずれてしまうことがあります。そんな時にハーフピラーは持っておいてもいいかなと思いました。しかも三千円程度と安価ですが、ものすごく丈夫そうです。

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もう一つは一部ですごい話題になっているHα、Hβ、OⅢ、SⅡの4輝線付近のみを一度に通すQuad BP(クアッド バンドパス) フィルターです。東京の江戸川区で撮影した馬頭星雲とか、満月で撮影したバラ星雲とかのデモ写真を見ていると相当の優れものだということがわかります。富山でどれくらい必要になるのかはわかりませんが、平日に時間がなくて遠出ができない時に、庭先で気軽に撮影ができればいいなと思っての購入です。ただ、デモ写真を見てもわかるのですが、青が出にくいようなので、それをどう扱うかが決め手になるかもしれません。

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ちなみにこのQuad BPフィルターですが、先週の金曜に発売して、わずか5日で初期ロット完売だそうです。私が言った時に残り二つで、一つ買ったので、最後の一つもその日に売れてしまったことになります。店長さんによると100枚以上用意したとのことなので、本当にものすごい勢いで売れたみたいです。あ、ハーフピラーも私が買ったのが最後の一本でした。今回は目的のものがギリギリ残っていたので運が良かったです。

その後、まだ時間があったのでKYOEIさんの方に移動しました。いつもMさんと話すのですが、今回もずっと話し込んでしまいました。購入したのは天文雑誌2誌だけで、申し訳ないくらいです。Mさんは野鳥の方でも活躍されているとのことで、天文と野鳥の違いをいろいろ聞くことができ、なかなか興味深かったです。「天文に興味がある人は野鳥にあまり興味がなくて、野鳥に興味がある人はもれなく星にも興味がある」とか、「野鳥の方では天文ほど機材が重要ではなく、撮影にそれほどこだわるわけでもない」とかです。なんか聞いていると、都会でも田舎でも場所をあまり選ばず、昼間に見ることができて、色も豊かで、曇りでも雪でも楽しめてと、星に比べてなんかものすごく健全な気がしました。星は機材は大変だし、基本的に夜だけだし、月にも左右されるしで、なんでこんなに苦労するのかと思いますが、まあこの苦労もまた楽しいんですよね。

あと、子供が観察会や観望会で参加するのはどちらも同じですが、野鳥の方でも天文と同じように年配の方が多くて、若い人があまり参加していないことに危機感を感じているようです。すでに若手だけの野鳥の会みたいなのにも力を入れているとか、対策にも乗り出しているとのことです。天文も若い人がなかなか入ってこないので、Mさんも危惧していました。趣味として縮小してしまうのは残念です。なんとしても裾野を広げたいというので、Mさんと一緒に盛り上がっていました。電視観望がその助けになればと思っています。

あ、そういえばここでもY君の話が出ました。Y君の行動力すごいです。Y君みたいな若い人がどんどん出てくれば安泰だとおもうのですが。

あと、帰る時間ギリギリで頑張ってスターベースにもよったのですが、定休日があることをすっかり忘れていて、店の前で呆然としてしまいました。仕方ないので、店に寄る分のあまった時間で、近くにある「麺屋武蔵」でつけ麺を食べてきました。美味しかったです。

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休みで残念。




 

ブログのコメントで赤道儀のセッティングについて議論があったので、少しまとめておきます。


目的

赤道儀の設定で何が重要かを考えてみる。
具体的には極軸を取るだけでいいのか、赤道儀の水平を取るのは必要なのかを考えます。


検討すべき状況

自分が地表のある経度、ある緯度、ある高度にいるとします。その位置において赤道儀を設置することを考えます。


考えるべき自由度の確認

極軸の向きで2自由度、赤経の初期位置の不定性で1自由度、同じく、赤緯の初期位置の不定性で1自由度の、計4自由度が考えられます。 


さて、検討を始めます。

極軸をきちんと合わせた状態ではどうなるか?

赤道儀の極軸調整だけして、水平とかは全然とれていない場合は何ができて何ができないのでしょうか?実はマニュアルで天体を導入して、あとは自動追尾するだけなら、これで十分です。赤道儀の水平が出ていようが出ていまいが、関係ありません。赤経、赤緯のクランプを緩めるなり、微動であわせるなりしして、マニュアルでターゲットの天体さえ導入さえすれば、あとは自動で追尾していきます。

自動追尾で時間とともに天体がずれていくのは別の問題で
  • 極軸あわせの精度が悪い
  • モーターの回転精度が日周変化とあっていないなど
  • ピリオディックモーションもこの範疇
などが原因です。いずれにせよ、極軸さえ合わせれば、自動追尾はできます。


自動導入は?

極軸をとるだけでは自動導入まで考えると不十分でしょう。では水平を取ればいいのか?他に気をつけることはないのか?
  1. まず初期アラインメントのことを考えてみます。簡単のために、赤道儀の極軸調整は理想的に取れていて、赤経軸は正しく極軸に一致していると仮定します。
  2. 各メーカーの初期アライメントの詳しいアルゴリズムはよくわかりませんが、普通にプログラミングのことを考えると、何かを仮定しなければいけません。ぱっと考えて、最初はまず鏡筒がきちんと極軸を向いているということを仮定するでしょう。
  3. これをもう少し分解すると、初期アラインメントアルゴリズムは(極軸は理想的にあっているとするので) A. 赤緯の初期位置(クランプを緩めて赤緯の回転体の矢印を二つを合わせて、きちんと北向き(極軸方向)にとるということ)はあっていると仮定する(かんたろうさんとの議論で今回の記事をここから何箇所か訂正しました)でしょうしかもしれませんし、さらにB. 赤経の初期位置(クランプを緩めて赤経の回転体の矢印を二つを合わせて、きちんと地面に対し垂直に向けるということ)もあっていると仮定するでしょうかもしれません。さらに、C. 赤道儀は水平に設置されていることも仮定するでしょうかもしれません。
  4. でもBとCは自由度としては同じことを言っていて、例え水平がずれていても、(極軸は理想的と仮定しているので)赤経の矢印合わせのところで少しずらして補正してやれば同じことです。なので、本質的には自由度はAとBCを合わせた2つになります。セレストロンの実際のアルゴリズムは赤緯体が天頂方向を向いていることだけを仮定しています。なので、赤緯体が天頂を向いていれさえすれば、必ずしも水平が取れている必要はありません。ただし、その場合赤経の矢印もずれることになります。
  5. でもこのことは、実際の初期アラインメント時には正しくないです。たとえ赤緯体がきちんと真上を向くように赤経を合わせてあっても、初期アラインメントプログラムは「水平が取れている状態できちんと赤経の0度が真上を向いているのか、水平がずれていて赤経の0度も真上から少しずれているのに赤緯体が真上を向いているか」を知る手段がないからです。なので普通にプログラムを組むことを考えた場合、赤経が0度が上を向いていて、かつ水平も取れている状態を仮定するでしょう。
  6. なので、一発目の導入をきちんと視野に入れたい場合には、赤緯体を天頂に向けるか、水平を取って赤経、赤緯はきちんと矢印を合わせたほうがいいというわけです。



実際の導入手順

上記のことより、実際の赤道儀のセッティングのしかたは例えば以下のような手順が考えられるでしょう。ここではコメントにあったAdvanced VXを例にとって考えます。

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  1. 初期アラインメントで一発目からある程度天体を導入したい場合は、赤緯体を天頂方向に向ける必要があります。インデックスマークを使う場合は水平を出す必要があります(赤緯体を天頂に向ける方法が他にあるなら、水平にこだわる必要はありません)。手持ちのAdvanced VXには水準器がついていないので、ホームセンターで小さな全方向の水準器を買ってきて、上の写真のようにエポキシ接着剤で三脚に取り付けました。
  2. 最初に水準器を取り付ける時の水平は、三脚と赤道儀の間に板を挟み、そこに水準器を乗せて足の長さを調整して水平を出し、その足の長さを保ったまま、水準器を三脚の上に移動し、水準器が水平を示すように接着剤でつけました。ここまでが事前準備です。
  3. ここからが、毎回の設置時の話です。初期アラインメントの前に、極軸合わせですが、さらにその前に、毎回必ず三脚の水準器で水平を出します。
  4. 水平を出しておけば、赤道儀を設置する場所の緯度が大きく変わらない限り、北極星の高さはほとんど狂わないので、赤道儀の下の横の2本のネジでYawだけを調整して北極星を視野中心に入れます。私の場合、鏡筒(600mmとか)につけたASI294MCをSharpCapで見た画面のだいたい真ん中くらいに北極星が入るようにします。
  5. この状態でSharpCapの極軸調整で1分角程度まで合わせこみます。
  6. その後、赤道儀の電源を入れ、赤経と赤緯の矢印マークをできるだけきちんとモーターで合わせてから初期アラインメントを始めます。
  7. 基本的に水平出しと、極軸合わせこみでほとんど一発目で、鏡筒につけたカメラのSharpCapの画面の中に入ってきます。
  8. ASI224MCの時はセンサー面積が小さく流石に600mmだと一発で入らない時もあったので、50mmのレンズにASI224をつけて電子ファイダーで一発目の導入を補助していましたが、それでも二発目は十分に600mm+ASI224で入ってきます。

実は最初に書いてませんでしたが、鏡筒を赤緯体に取り付ける時にきちんと鏡筒が赤緯軸に対して垂直な面内に存在するという仮定もしています。この仮定が破られている状況とは、例えば極軸がきちんとあっていて、赤緯が0度を向いているのに、鏡筒の頭が下がっていて全然極軸方向を向いていないなどです。アリガタやアリミゾの精度が悪かったり、アリガタに対して斜めに鏡筒を取り付けてしまったときに起こります。上記設定手順を試して、それでも初期アラインメントの一発目に目標天体が入らない時は、鏡筒の取付時のずれを見直してみるといいかもしれません。

というわけで、本当は最初に説明した極軸2自由度、赤経、赤緯の不定性2自由度、さらに赤緯体に対する鏡筒の向きの2自由度の計6自由度があって(厳密にいうと、赤緯の不定性と鏡筒の向きのYaw方向は同じ自由度なので計5つ)、極軸を合わせることで2自由度減り、残り4(厳密には3)自由度を求める必要があります。初期アラインメントの一度の導入で2自由度決まるので、2スターアラインメントで一応4自由度が求まるはずです。3スター以上だと、極軸のズレまでわかると思うのですが、そのアルゴリズムはどうやっているのかあまり想像できません。結構大変そうです。

また、1スターアラインメントだと、原理的に自由度が足りないので、どこかが合っていると仮定せざるを得ません。なので、簡易アラインメントと考えるべきでしょう。でも上記方法で赤道儀を設置すると、1スターアラインメントでも十分実用的になります。

最近のアルゴリズムは相当優秀なので、一発目に導入したいという要求を外してしまえば、2スターアラインメント以上を使えば、多少赤緯体が天頂からずれていても大丈夫ですし、水平もこだわる必要はないですし、矢印も多少ずれていても構いません。下手をすると多少極軸がずれてしまっていても補正しながら追尾することも可能かもしれません。

もっと言うと、赤道儀下部の極軸合わせのPitchとYawの押しネジのところにモーターをつけて、最近はやりのPlate Solvingなんかまで駆使したら、本当にポンと置いて全自動で極軸を取って、アランメント完了まで全自動でできそうな気がします。経緯台など、簡易的なものではすでに実現されつつありますが、元気のある中国メーカーとかが、撮影に耐えられるくらいの安定したレベルのものを赤道儀で作ってくれませんかね?


毎度長々と書いてしまってすみません。とりあえずパッと考えたことを書いただけなので間違ったことを言っているかもしれません。何かおかしなところがあったらコメントなどで指摘していただけると嬉しいです。 ->かんたろうさんのコメントとその後の議論で、初出の記事からいくつか訂正しました。



 

以前撮影して画像処理に色々悩んでいた夏の星景写真です。今でも迷っていて、ずっと放置してしまっていたのですが、このままお蔵入りするのも惜しかったのと、少し時間があるので記事にすることにしました。

木曽シュミットを中心に天の川を撮影したものです。天体ドームと天の川はこの上なく相性ぴったりで、一度はきちんと撮影してみたいと思っていました。この日は一般公開の日で、透明度の高い夜で、クッリキと2本に見える綺麗な天の川に巡り会えました。個人的にはある意味フルサイズのカメラと、安いなりにも広角のレンズでちゃんと取り組んだ初の星景写真とも言えます。

流れ星が写り込んでいるのが2枚です。ペルセウス座流星群ちょっと前なので、流星もそこそこ見えるような時期でした。

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縦長の構図と、同日の北側の天の川で星野に近い構図になります。

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実は画像処理自体はずっと前に終わっていて、2ヶ月くらい経って改めて見ているのですが、黄色から黄緑、青を経ていくものはもう少しおとなしくしても良かったと今になって思います。処理している最中は正攻法はわざとらしくなるので嫌でしたが、撮って出し画像の印象が薄れている今となってはわざとらしさが気にならなくなり、正攻法もありかなとも思えます。でもまあ以前の処理のままで何もいじらずに載せておきます。もう少し経験と時間が必要でしょう。

あと、来年の天の川はソフトフィルターを使ってみたくなりました。

最後に、タイムラプス映像です。ドームがピョコピョコ動く様子が面白いです。



仕事が忙しいのと、せっかく時間ができても全然天気が良くならないので、いままで書きかけていた大量のボツ記事を少し書き加えて公開しようと思います。

今回は電視観望をするときに適したカメラ選びという観点で、これまでの経験から比較検討してみようと思います。これから電視観望を始めてみたいという方の参考になればと思います。

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なお、今回載せたものはあくまで自分でよく触ったもの、近くで見ていたもの、もしくは評判をよく聞いていたものばかりです。これ以外にも電視観望に適したカメラは私が知らないだけで、たくさん存在するでしょうし、電視観望という用途以外ではもっといろんな選択肢があるということはいうまでもありません。この点ご注意ください。


まずは通常のスペックです。それでもカメラメーカーのところには普通はSNR1sのことはほとんど触れられていません。SONY独自の値ですが、電視観望にはこのSNR1sは、いかに暗い天体を制限された時間内に映し出すという意味で、非常に重要になります。

あと、基本事項としてですが、撮影では重要なファクターになる「冷却」は電視観望にはほとんど必要ありません。手軽さも性能の一つと考えると、電力、ケーブル取り回し、重量などから、冷却にかけるコストほどメリットが得られないと考えています。なので冷却モデルは今回は考慮に入れていません。


電視観望のためのカメラ比較

CameraセンサーTypeサイズ [mm] 画素数1素子サイズ [um] SNR1sbit価格
ASI224MCIMX2241/3"4.9x3.71304x9763.750.13lx123.0万
ASI385MCIMX3851/1.9"7.3x4.11936x10963.750.13lx124.4万
ASI294MCIMX2944/3"19.1x13.04144x28224.60.14lx149.5万
ASI290MCIMX2901/3"5.6x3.21936x10962.90.23lx123.6万
ASI290MMIMX2901/3"5.6x3.21936x10962.90.23lx124.8万
ASI178MCIMX1781/1.8"7.4x5.03096x20802.40.46lx144.4万
ASI183MCIMX1831"13.2x8.85496x36722.4?126.5万
Revolution ImagerICX8111/3"4.8x3.6976x5825.0??4.0万
SV105OV27101/2.7"5.9x3.31920x10803.0?100.7万

* 価格は2018年11月20日現在の天体ショップでの典型的な税抜き価格、ただしSV105はAmazonなど。

SNR1sの値が小さいほど電視観望に向いていると言ってしまってもいいくらいかと思います。一番SNR1sのいいASI224MCでさえ、まだ暗いと思っているので、まだまだ電視観望は発展途上の技術と言えます。表を見ると、SNR1sはセンサーの1素子のサイズにだいたい反比例することがわかると思います。なのでRevolution ImagerはSNR1sの値が公表されてないとはいえ、暗い天体に有利なはずで、電視観望用のカメラとしてはうまく選んでいるのかと思います。


用途など

Camera焦点距離用途使ったことがある自分で持っている参照記事
ASI224MC150-600mm星雲、星団参照記事
ASI385MC200-1200mm星雲、星団××
ASI294MC400-2000mm星雲、星団、天の川参照記事
ASI290MC200-800mm星雲、星団××
ASI290MM200-800mm太陽参照記事
ASI178MC300-600mm参照記事
ASI183MC400-1200mm星雲、星団×参照記事
Revolution Imager200-800mm星雲、星団参照記事
SV105200-800mm月、惑星×参照記事


用途と適した焦点距離は、私の経験から独断と偏見で書いてあります。基準はM31アンドロメダ銀河の全景が見えるのが最小、自動導入で困らないくらいの範囲でM57が程よく見えるのが最大の焦点距離です。手持ちの鏡筒がこの範囲に入っていればとりあえず使うことができると思います。

もし手持ちの鏡筒の焦点距離がこんなに短くないという場合には、Revolution Imagerに付属するような0.5倍のレデューサをつけると、倍の焦点距離で同じ視野角になるので、焦点距離の短い鏡筒の代わりになります。例えば、Revolution Imagerなら400-1600mm程度の焦点距離でも使えるようになります。ただし、星像は乱れるので注意が必要です。


メリット、デメリットなど
Cameraメリットデメリット
ASI224MC感度良、安価、電視観望入門向き、惑星撮影にも使えるセンサー面積小、導入が大変
ASI385MC感度良、面積中、コストパフォーマンスいい
ASI294MC感度良、面積大、高解像度、性能だけで見るとこれがベスト、広角レンズで天の川なども値段が高い
ASI290MC感度良、電視観望入門向き、モノクロ版とセットで持つと惑星撮影で良センサー面積小、導入が大変、値段が224MCより少し高く、SNR1sは少し劣る
ASI290MM太陽電視観望にはこれ、太陽撮影や惑星撮影にはベストかモノクロ
ASI178MC高解像度、月の電視観望にはこれ感度低い、星雲には向かない
ASI183MC面積大、高解像度、ビニングが使える感度低い
Revolution ImagerPC無しで手軽に電視観望ができる、モニターなど一式込みでトータルでは相当安価、カメラでスタックできるので星雲などもOKアナログ信号
SV105ひたすら安価露光時間が500msに制限されるため星雲は向かない、月や惑星なら可


ASI294の焦点距離は、カメラレンズアダプターとカメラレンズを使うと、広角なセンサーを利用して天の川などの星景、星野を見るのにも適しています。もちろんASI224MCなどの小さいセンサーでも、より焦点距離の短いCSマウントレンズなどを使って天の川を見ることもできますが、淡い星を見るという観点から行くと、広角センサーで「焦点距離の長いレンズを使う」方が迫力があります。コントラストは眼視の場合は倍率、カメラを使った場合には焦点距離だけで決まってしまうからです。


以下、それぞれについてコメントです。
  • ASI224MC、ASI385MC、ASI294MCに関しては感度の観点からはベストに近くて、これ以上を求めるのは現時点では難しいと思います。唯一可能性のあるのが同じSONYの一眼レフカメラのα7S系です。あれはお化けセンサーで、カメラ単体で電視観望をするならベストかと思いますが、今のところ単体でのセンサーの仕様は公表されていませんし、PCに取り入れてSharpCapでスタックとかになると、一部可能になりそうな動きはありますが、まだちょっと大変です。
  • ASI385MCは実際には触ったことはないですが、周りの評判を聞いている限りは感度も良く、入門機としても相当こなれている印象です。
  • ASI224MCは入門機としては安価でいいですが、センサー面積の小ささから天体の導入に苦労するかもしれません。そういった観点からはASI294MCは16倍の面積を見ることができるので、導入は相当楽になりますし、画素数もPCの解像度よりはるかにいいので、多少PC上で拡大しても画面が破綻することなく、広角から狭角まで幅広く対応できて使いやすいです。値段さえ気にしなければこれがベストでしょう。
  • ASI290MCは実際に使ったことがないのでわからないのですが、聞いている限り評判は悪くないですし、ASI290MMはモノクロということもあり、太陽の電視観望、撮影では遺憾無く性能を発揮したこともあり、惑星撮影まで視野に入れるなら、カラーモノクロ合わせて持っておくのもいいのかもしれません。
  • 私自身は短時間しか使っていないのですが、ASI83MCはその高解像度から特にビニングを利用するとよく見えますし、使い方によっては電視観望にも向いているカメラと言えると思います。
  • Revoluition Imagerは計算機を使わない電視観望としては数少ない有力な選択肢だと思います。PCを使わないので手軽で、観望会などでも使いやすいと思います。アナログ出力なので多少ノイズが多いですが、カメラ単体でスタック機能を持っていて、ノイズ軽減ができるのは特筆すべきでしょう。今回、改めて素子の大きさを認識することができました。根本的に感度のいいカメラなのかと思います。
  • SVBONYのSV105はブログのコメントに質問があり、星まつりで少し触らせていただいたので載せておきました。ただやはり500ミリ秒までの露光時間しか取れないところが決定的な欠点だと思います。値段が7千円程度と他と比べても格段に敷居が低いので、これでうまく使えたらと思ったのですが、星雲星団はよほどうまく使わないと厳しいかと思います。現時点では月、惑星などの明るい天体がオススメです。

こうやってみて、コストパフォーマンス、手軽さ、性能と比べると、(自分では使ったことはないですが)ASI385MCがベストバイでしょうか。次点がASI294MCとASI224MCですが、これらは高価高性能、お手軽入門用とベクトルが逆方向です。

以上参考になりましたでしょうか。自分自身のまとめも兼ねているのですが、個人で見ている機種に限りもあるのでここらへんが限界です。他にもQHYCCD社のカメラも同じセンサーを使っているものは同程度の性能があるかと思われます。面白い情報などありましたら、またコメントなどでおしらせください。



昨晩、富山県天文学会のお祝い会と忘年会を兼ねた食事会がありました。なんのお祝いだったかというと、なんと富山県天文学会が環境大臣賞という立派な賞をいただいたのです。「大気環境保全意識の高揚に関し積極的な活動をされ」ということで、第三十回「星空の街・あおぞらの街」全国大会で、K会長とSさんが香川県の高松まで行って表彰されたそうです。K会長はじめ、歴代会長、会員の方々の50年以上にわたる、たゆまぬ努力の賜物かと思います。心よりお祝い申し上げます。

富山県天の長い歴史の中で見ると、私はまだ入会したばかりの新参の者で、大した貢献はできていないので心苦しいのですが、こういったお祝い事は嬉しい限りです。お祝いムードの中、出席者は30人近くにもなり、K会長お気に入りのカフェフェローの中は人でいっぱいで、それぞれ天文談義に花が咲きました。私も最近やっと、メンバーの顔と名前が一致してきましたが、今回はお祝いということで、普段あまり顔をあわせられない方も何人か来られていました。

M元会長には昔の話をお伺いし、最近加入されたKさんとも少し話すことができました。Kさんは撮影までしたくて、VixenのSXP2とSD103Sのセットを一気に購入し、さらにASI290MCも手にいれ、かなり気合が入っているようです。会社を子供に譲り、できた時間で新しく天文を趣味にしようとしているとのことです。でもやはり撮影までしようとすると大変で、特にコンピューターが大変だと言っていました。最近導入まではできるようになったとのことなので、Revolution Imagerとかの計算機いらずの電視観望なんかもいいと思うのですがどうでしょうか?

他にも何人かの方達とお話しすることができました。そんな中、以前立山のスターウォッチングでご一緒したAさんから頼まれていた(実は完全に忘れてしまっていたのですが、言われてやっと思い出した次第です。)、Meadeの架台の修理の依頼を受けました。会が終わって一旦駐車場を出て、「あっ、受け取るの忘れた」と思い出し、また駐車場まで引き返してAさんから無事に引き取ることができました。私はEXT-60ATをもっているのですが、それを想像していたので結構複雑かと思っていたら、架台だけでコントローラーとかもそもそもついていないとのことです。故障状況を聞くと、電源も全く入らないとのことです。

自宅に帰って調べてみると、機種はETX-90RAで通称Meade ETXと呼ばれる、どうやら1996年に出た一番最初のモデルで、電源オンで赤道儀の赤経の回転が始まるだけのかなりシンプルな仕組みのようです。今ではめずらしいMADE IN USAとなっていました。

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まず電源関連を確認するために蓋を開けてみます。ところが、蓋もネジを3本ドライバーで開けなければいけないタイプで、なんでこんなにめんどくさいのかと思いましたが、どうやら一回電池を入れると交換なしで相当長い期間持つことが理由のようです。ネジをはずし、下を向けると、金属でできた重い裏蓋が下に下がって外れます。蓋を外すと下の写真のようになっていて、基本的には電池でモーターを回すだけのものすごくシンプルな構造です。なのでこの架台は斜めに取り付けて、赤道儀として働き、赤経のみがモーターで回転するということがやっとこの時点でわかりました。MEADEお得意の、経緯台での自動導入ができるようになる前のものです。

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さて、修理の前に色々調べてみます。上部には銀色のつまみがいくつかついています。上から、赤緯回転軸を締めて固定するためのつまみが一つ。そのずっと下に赤緯の微動ができるつまみが前後に2つ(一つは写真には写っていません)。このつまみがあまりに軽かったので、何か外れたりしているのではと疑って、横の蓋を開けて中を見てみました。

IMG_5784

ネジを回すと、赤緯回転体が少しずつ動くようになっています。真ん中の金具が端に行ってしまうと、それ以上回らなくなるので、戻すしかありません。このことは無理につまみを回したりしないようにするためにも覚えておいてもいいでしょう。約50回転で真ん中から端まで行くようです。ここはただつまみが軽いだけで、特に問題はなかったので、そのまま蓋を閉めました。

他に底の水平面に2つの部がついていますが、これは赤系の回転の微動と、固定です。

さて、問題の基板です。まず電池を入れる端子が、多分以前の液漏れで接触が悪くなっていたので綺麗にしました。電池を入れると普通に電圧は伝わっているようなのですが、スイッチを入れてもまだモーターは回りません。他にも故障箇所がありそうです。本体から外して基板の裏側をよく見ていくと、2つあるスイッチの一つがグラグラしていて、そのスイッチの根元の半田付けしてあるところがパターンごと剥がれていて、断線してしまっていることがわかりました。

IMG_5787

上の写真でも、6つ並んでいる端子のいくつかの線のパターンが根元のところで切れてしまっているのがわかるかと思います。実際6つのうち5つは完全に切れてしまっていました。おそらくスイッチにかなりの力がかかってしまい、パターンを剥がしてしまったものかと思われます。

まずはスイッチの枠の根元の金具を曲げて、基板にある程度固定するようにして動きにくくしました。上の写真の空いているパターンのところに黒い四角の金属部分が見えていますが、最初はこれ伸びていて、ただ挿さっていただけでぐらぐらでした。写真はすでに曲げた状態になっています。

通常、剥がれたパターンを復活させるのは難しいので、別のリード線を使い端子が露出しているところを結びました。

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リード線を半田付け後、テスターで導通確認とショートがないことを確認して、電池を入れてスイッチを入れるとモーターの動作音がきちんとするようになりました。おそらこれで大丈夫なはずです。

ここで疑問なのは、どうやって恒星時に合わせているのか?モーターの回転速はスビードは電圧で変わるはずなので、電池の残量によってはズレていく気もするのですが、どうなのでしょうか?しかも付属の鏡筒が焦点距離1250mmとそこそこ長焦点なので、極軸合わせも、天体の導入も結構大変なはずで、追尾も誤差が効いてくるはずです。回転を安定化させるようなそれらしい回路は見当たりません。

いずれにせよ修理は完了したので、とりあえずこれで一旦お返しして使ってもらおうと思います。
 

久しぶりに月を撮影しました。富山県天のKさんにたきつけられて「ほしぞloveログ」ならぬ、最近話題の「月面love」を狙ったのですが、残念ながらLがどうしても見えず、「月面 ove」になってしまいました。でも月面Xも普通に写っているので、それはそれでいいのですが。

cut

富山県富山市 2018/11/15 21:18
FS-60CB + ZWO ASI178MC + AZ-GTi経緯台
Shutter 20ms, 17fps, gain 0, 800/1000 frames
AS3でスタック, ImPPGで画像処理 


E
Eの下くらいにLがみえるはずなのですが...。
Oはたくさんあります。ついでにミッ◯ーも。 

V
Vは見えます。

X
Xは少し形が崩れてしまっています。

いつもはAutostakkert3でスタックした後に、Registaxでwavelet処理をするのですが、なぜかクレータの縁に緑色の輝点がたくさん出る現象に見舞われました。 これまでこんなことなかったのですが、なぜなんでしょうか。原因不明です。色々やったけど解決しそうにないので、太陽でよく使っていたImPPGで細部を出しました。これ月でも結構いけます。キレッキレです。一つだけ欠点を挙げるとすると、ImPPGはモノクロしか扱えないところでしょうか。


ところで以前、今年の5月に「月面Y」というのを記事にしたのですが、今回のEは実は同じ場所でした。光の当たり具合でYにもEにも見えるようです。

2018-05-22-1126_6_lapl6_ap1127_Resample20_RS_cut
以前撮ったやつです。EよりもYに見えると思うのですがどうでしょうか?
あ、こちらには綺麗にLが写っていますね。

しかもLも写っているので、半年かけてLOVEが完成したとしておきましょう。





 

前回撮影した、AZ-GTiの赤道儀モードで、焦点距離600mm、ノータッチガイドで撮影した、カリフォルニア星雲の全画像を比較明合成および動画にしてみました。その結果、大きな揺れはほぼピリオディックモーションであるとわかりました。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、細かい揺れを何度か繰り返し、右上に上がっていってしまいます。細かい左右の揺れの部分がピリオディックモーションです。右上に上がっていっている動きが極軸のずれからくるものか、もしくは構造的に弱くゆっくりとたわんでいるものかもしれません。

合計83分で細かい揺れが8回半くらい揺れているので、10分位の周期でしょうか。

NGC1499_output_comp
比較明合成です。



比較明合成のついでに作った動画です。
1分露光の画像を83枚使っています。
ぴょんぴょん飛ぶようなイメージで、
3箇所に止まっているのがわかります。
早く移動しているところの画像は星像が伸びてしまっています。 

方角とかもあまり感がない、画像からのざっくりした計測ですが、ピリオディックモーションは+/-75秒角くらい。Advanced VXが+/-15秒くらいだったので、その5倍くらいの大きさです。ちょっと大きいですね。これくらいだと焦点距離によってはガイドは必須になってくると思います。

しかも動画をよく見ると、ピリオディックモーションもきちんとしたサイン波はではないようです。ピョンピョン飛ぶような動きで、両端ではある程度動きは止まりますが、それに加えて片道ですが真ん中近くでも一度止まります。一周期の間に2箇所でなく3箇所泊まるところがあります。そのためにピリオディックモーションであるにも関わらず、前回の救い上げ率が40%と少し大きかったのかと思います。通常ならその3分の2くらいの25%くらいにとどまっていたはずです。

ちなみに、右上方向に上がっていくのは1時間半で180秒角くらいなので、1分あたりざっくり2秒角くらい。極軸は1分角くらいの精度では合わせてあるので、仮に1分角を仮定したら、想定の8倍くらい大きいことになります。なので極軸の精度からくるずれというよりは、たわみの可能性が高そうです。

逆にこの結果から、ほぼ揺れはピリオディックモーションで制限されているので、ガイドさえうまくいけは、(重量で制限される鏡筒で実現できるようなくらいまでの)そこそこの長焦点でも、もっと長時間の露光で十分なんとかなりそうです。たわみの方も、ガイドすれば多少軽減できますが、ガイドカメラと鏡筒の相対的なたわみの場合はどうしようもないです。

 

2018年11月10日の土曜日、今年最後の飛騨コスモス天文台の観望会へNatsuとSukeをつれて3人で参加しました。9月、10月の観望会は雨やらなんやらで行けなかったので、ペルセウス座流星群の8月11日以来になり、約3ヶ月ぶりです。

数河高原はスキー場が近くにあるくらいなので、11月終わりには例年雪が降り、12月なかばには雪が積もってしまうために、今月で最後になります。実際11月半ばの昨晩でもすでに寒くて寒くて、この日はお客さんもあまりいなかったのと、きてもらっても結構早くに帰ってしまうくらいでした。

ちょっと時間を戻して、夕方5時前、 いつまでたっても遊びに行ったSukeが戻ってきません。「遅くても5時には出るよ」と散々言っておいたのになんの連絡もありません。座席を作るのか、機材を運ぶのかで荷物の詰め込み方がだいぶん違います。やきもきしながら、夕方5時の時点で戻ってこないので諦めて、座席を潰して機材を入れ出発しました。

途中夕ご飯がわりにちょうどいい機会なので、100円でパティが倍になるという夜マックへ初めて立ち寄ろうと駐車場へ入ったところで、電話がかかってきました。なんでもSukeが絶対行きたいと泣き叫んでいるらしいのです。どうやら遊びに夢中ですっかり忘れていたとのこと。忘れていたのは自分の責任なので諦めればいいものを、やはりそこは諦めきれないらしく、まだまだ子供です。まあ仕方ないので自宅に一旦戻り、大型機材を諦めて外に出し座席を作って、半分べそをかいているSukeを乗せて再出発です。

夕食を食べる時間がなくなってしまったので、楽しみだった夜マックを諦めてコンビニでお弁当やおにぎりを買い、飛騨コスモス天文台へと向かいます。もうこの時点で18時前くらい。Natsuが「もー、暗いよー」と文句を言うので、私も「もう真っ暗だよ、だから早く出たかったのに」と言ったら、どうも雰囲気が暗いのが嫌だと言う意味だったらしく、みんなで大笑いです。

結局現地へ到着したのは19時くらいでしょうか。すでにいつものメンバーは揃っていて、その後続けざまに何人かのお客さんも到着しました。名古屋からこのために来てくれた方もいました。とりあえず双眼鏡で簡単にスバルとアンドロメダ銀河をみて、その間に電視観望の準備をしました。最近の電視観望はすっかりSki-WatcherのAZ-GTiの経緯台モードが定番です。これにタカハシのFS-60CBを載せてZWOのASI294MCをつけるのが、大きなアンドロメダ銀河から小さなM57まで機材を変えずに見ることができるので、楽でいいです。操作はiPhoneでAZ-GTiのアクセスポイントモードに接続です。導入はほとんどが1スターアラインメント、水平があまりあっていないときは2スターアラインメントにする時もあります。

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最初に導入したのは双眼鏡で見ていたM31アンドロメダ銀河です。双眼鏡ではほんのボワーット見えているだけなのですが、電視観望では腕の構造まではっきり分かるので、その比較が楽しいです。

Stack_16bits_91frames_182s
電視観望でのM31アンドロメダ銀河。
電視観望の時に自動保存で残っていたファイルから再生。
STFでオートストレッチ後、STFで少しだけ調整。
観望会中の実際の画面で見えているくらいです。 

その後、M45スバルも双眼鏡と比較しました。すばるは双眼鏡でも十分迫力はあるのですが、電視観望だと、これくらい空のいい環境だと青い星間ガスも十分見えてしまいます。今見ているものが、機器を変えると色々な表情で見えてくると言うのも、天体観測の魅力かと思います。


Stack_16bits_57frames_182s
電視観望でのM45すばる(プレアデス星団)。
星間ガスも見えています。
空が暗いと、電視観望でも実際の画面でこれくらいは余裕で見えます。

他にもいつものM57惑星状星雲やM27亜鈴状星雲をみてみました。(画像が残っていませんでした。)後は、北アメリカ星雲ですが、暗い空でもこれくらいなので、電視観望の限界くらいと言えるでしょうか。もっと一回の露光時間を伸ばせばいいのかもしれませんが、流石にそれだとリアルタイムとはだんだんいい難くなってきます。

Stack_16bits_57frames_182s 2

北アメリカ星雲。残っていたファイルを多少加工しています。
電視観望でその場で見ると多分ここまでは見えません。もう少し粗いです。
短時間露光ではこれくらいが限界でしょうか。


今まで電視ではあまりみたことのないM33も見てみました。ただしこの時に失敗したのが、天頂付近を見ようとしてカメラのケーブルが三脚に引っかかってスリップしてしまい、アラインメントがずれてしまったことでした。でもこれ、暗いとずれたのに気付きませんね。導入に失敗し、マニュアルで合わせようとして周囲を探っても全く導入できなくて、そこで初めてライトで鏡筒周りをよくみてやっと気付きました。初期アラインメントを再度取り直しようやく導入することができました。

IMG_5698
電視観望中の画面をiPhoneで撮影したもの。
M33を見ています。
結構形がはっきり分かるのでその場で見ても迫力があります。


この日のお客さんですが、まずは名古屋からの方が一人。この方は近くに宿をとったのですが、宿の確認をしに行ってからは、もう退散ということでした。まだまだ夜は長いので、ちょっと残念だったのですが、普段名古屋からは絶対見えない空です。秋の天の川に、目でもはっきり見えるすばる、アンドロメダ銀河など、十分満足されたようです。他にも、近くの古川からのグループが1組、親子連れの3人が1組と、何組かきていましたが、やはり寒さでみなさん早々と退散です。結局残ったのはいつものメンバーだけでした。その後、遅くから今日の観望会のことをすっかり忘れていたという、近所のS君とYちゃんがきました。

途中、ドームの中で高1のS君と中2のNatsuと小6のSukeとS君の妹の小3のYちゃんの4人で望遠鏡を操作しようとしていたみたいなのですが、たまたまそこに覗きに行ったら現場は大騒ぎ。どうやら飲もうとしていたココアをこぼしてしまったらしいです。最初に一杯床にこぼして、さらに片付けている間にテーブルのところにもう一杯。テーブルにはPCもあって、結構浸ってしまったらしいです。そもそも電気系とかあるところに置いておくのがダメなのですが、子供どうして誰が置いただの誰がこぼしただの、醜い責任のなすりつけ合いをしていました。ああ情けない。トイレットペーバー一個でも拭き足りなかった、丸々コップ2杯分のココアの掃除は大変でした。靴下を濡らしてしまったYちゃんはこの時点でお母さんに連れられて帰宅。S君は最後後片付けまで残っていました。

そんなことをしている間に、その後、時間がたってきてから上ってきたオリオン座。オリオン座は何度見ても迫力があります。明るいので電視観望でもとても受けがいい星雲の一つです。オリオン座が見えるのは冬だけなのですが、冬に観望会があまりないのがとても残念です。M42を電視観望で見てその日は終了となりました。

IMG_5700



片付けの間、会話をしながらYさんはカメラと三脚ででオリオン座付近を撮影していたみたいです。私もその後撮影しようかどうか迷ったのですが、あまりに寒いのと、PCのバッテリーが心もとなかったので、少し後ろ髪を引かれましたが、23時半頃退散しました。

自宅に着いてからも冬の星座がすごく綺麗でしたが、ちょっと疲れていたので気力が持たずに、この日は寝ることにしてしまいました。

週末撮影の最後の記事になります。2台体制だったもう一方の方で、AZ-GTiにFS-60Qを載せて、カリフォルニア星雲に挑戦してみました。実はカリフォルニア星雲も初撮影になります。

今回曹禺したのは、AZ-GTiのWi-Fi接続がうまくいかないことがあったということです。機器はAZ-GTiとMacBool Proに入れたWindows10 64bit ProをBoot Campで立ち上げて、それにELECOMのミニルーターWRH-583GN2-Sでステーションモードとの接続を確立しようとしています。


現場でうまくいかなかったので、後日検証しました。まずはアクセスポイントモードに関して:
  • WindowsからAZ-GTiのSSIDがなかなか見えないことがある。それでもiPhoneからはAZ-GTiのSSIDは見えている。Windowsからは分単位で待たなければSSIDが見えないこともあるので、気長に待つこと。
  • WindowからAZ-GTiのアクセスポイントSSIDは見えているが、接続しようとすると「接続できませんでした」と表示され、なぜか接続できないときがある。接続できないときはいつもできないが、接続できる時はいつもできる。これは原因不明。再現性も不明。ちなみに、この状態でもiPhoneからはAZ-GTiのアクセスポイントSSIDは見えているし、全く問題なく接続できる。
  • Windowsで、「接続できませんでした」とかは出ないが、AZ-GTiに接続しようとして「接続試行中」となってなかなか進まない。この状態のときは、すでにつながっている場合もあれば、まだつながっていない場合もある。「ネットワークとインターネットの設定」で出てくる「状態」スクリーンで確認したほうがいい。きちんと確認せずに、ほかの画面に行ってしまうと、接続されないままになってしまう時が何度かあった。


次にステーションモードに関して:

  • iPhoneからアクセスポイントモードでAZ-GTiにつないでから、改めてSynScan ProでAZ-GTiをステーションモードに切り替えようとすると、必ず失敗する
  • Windows上のSynScan ProでAZ-GTiをステーションモードに切り替えようとすると、きちんとステーションモードに切り替わる
  • ミニルーターを立ち上げる前に、AZ-GTiを立ち上げると、自動的にアクセスポイントモードでの接続になってしまい、ステーションモードでしばらくの間つながらない。気長に分単位で待っているとつながる。ただし、つながらない場合もあったので、先にミニルーターの電源を立ち上げるほうがおすすめ。どうしてもつながらないとAZ-GTiの電源の入れ直しになり、アラインメントなど取り直しになる。

最後、ミニルーターに関して:

  • これは私が使っているミニルーターのだけの問題かと思うが、5GHzはすぐに有効になるのに、2.4GHzがいつまでたっても有効にならない場合がある。何度か電源を入れなおして、やっと立ち上がる状況が多い。2.4GHzもいったん立ち上がると、あとは電源を入れなおしても安定して立ち上がる。
  • ミニルーターは省電力モードでLEDをオフにしていたが、オンにすると5GHz、2.4GHzともに立ち上がっているすぐにかわかるので安心。念のため、Windowsやスマホなどから2.4GHzのSSIDが見えているか確かめたほうがより確実。
  • とにかく当たり前だが、2.4GHz Wi-Fiが立ち上がっていなければ、AZ-GTiのステーションモードは全く働かない。これを意識せずに、なんでつながらないんだと迷ったことが何度かあった。

とにかく最大の懸案事項が、一番最初のWindowsから安定にAZ-GTiのアクセスポイントに接続できないこと。これに尽きます。これができない限り、ステーションモードへの移行もAZ-GTiをミニルーターにつなぐことも、ASCOMでAZ-GTiを操作することもできません。

コツは、ルーター->AZ-GTiと元のほうからから電源を入れていくことと、スマホやPCなどから確実にルーターが動作しているかの確認。それができているならあとは気長に待つのが重要かと思います。WindowsのWi-Fiの認識が思ったより更新に時間がかかるということです。


いずれにせよ、今回の撮影では現場できちんと検証する時間もなく、PHD2でのガイドを諦めました。ガイドなしということで、前回600mmで90秒だと厳しかったので、今回は同じ600mmで60秒で試してみました。ところが撮影された画像を見ると、一方向のみにぶれていることがわかりました。方向は赤経方向です。しかもぶれているファイルが周期的に出るので、どうもピリオディックモーションに関わっているようです。点像になっているファイルもそこそこ存在するので、それらをちょっと厳しくセレクトすると72枚のうち28枚が使えそうなので、約40%弱が使えることになります。前回のオリオンでも40%程度でしたが、それよりは基準を厳しくしているので、まあ妥当な範囲でしょう。

原因がピリオディックモーションならばオートガイドでかなり改善されるはずなので、これならば期待大です。どうやら、風さえ吹かなければAzZ-GTiの赤道儀モードでの撮影はそこそこ使えるという結論になりそうです。今一度ガイドを使って検証してみます。

とりあえず画像処理の結果が以下になります。流石に結構省いたのでわずか28分ぶんしかなく、やはり多少ノイジーです。


NGC1499_CUT


岐阜県飛騨市数河高原 2018/11/3 23:06 - 11/4 00:29
f=600mm, F10 + AZ-GTi(赤道儀モード)
EOS 6D(HKIR改造, ISO6400, RAW), 60sec x 28frames、総露出時間28分
PixInsight , Photoshop CCで画像処理


週末の撮影の記事はこれでおしまいです。久しぶりの週末の晴れで、初撮影の天体もあり、結構満足しました。いろいろ問題点もわかったので次回はもう少し改善したいです。やはり一枚あたり数時間ぶんくらいは使える画像を死守したいです。






 



先週末の土曜日、数河高原のコスモス天文台でM57に続いてとったのがM27亜鈴状星雲です。これも電視観望でこれまで散々見ているのですが、真面目に撮影するのは初めてのことです。いや、初めてというのは嘘で、星を初めて1ヶ月の時に初めてとった星雲のうちの一つがM27でした。それ以来の撮影なのですが、鏡筒は20cmから25cmと5cm大きくなって、焦点距離は800mmから1600mmへと倍です。カメラもEOSの改造kiss x5からASI294MCへと変わっています。機材はだいぶん豪華になりましたが、その分綺麗になっているでしょうか?

結果ですが今回は20秒露光で243枚とって、140枚使いました。

integration_DBE_DBE_PCC_st4_cut
岐阜県飛騨市数河高原 2018/11/3 20:05-22:17
LX200-25 + CGEM II + ASI294MC
f=1600mm, F6.3, gain 370/570, 20sec x 140frames、総露出時間1時間8分
PixInsight , Photoshop CCで画像処理後、中心部をトリミング 

最後は補正板が曇って終了でした。今回フードはつけたのですがそれだけでは足りなくて、やはりヒーターが必要そうです。

さて、2年半で多少は進歩しているでしょうか。流石に細部は今の方が出ています。いや、でも最初の頃のやつも少し流れていますが、意外にシンプルな色付けでそんなに悪くないと思ってしまいました。2分一枚どりなのに、星雲の中の赤色も昔の方がよく出ています。ということはあまり進歩がないということでしょうか?

この後は、同じ日に撮ったAZ-GTiにFS-60Qを載せてのったカリフォルニア星雲の画像処理が待っています。 

金曜日に続いて土曜も天気が良かったので、数河高原の飛騨コスモス天文台に行ってきました。「撮影だからつまんないかもよ」といったのですが、それでもNatsuの方はついてきました。Sukeは最近一人でやりたいことが多すぎるみたいで、あまり付いてきてくれません。Natsuはもう中2で女の子なのに、まだよく付いてきます。と言っても、実はこの日午後8時過ぎには車でぐっすりで、なんのためについてきたのかよくわからないのですが、後で聞いたらそれでも楽しかったそうです。

「M57とIC1296」
integration_DBE_DBE2_PCC_st_6_cut
岐阜県飛騨市数河高原 2018/11/3 19:24-21:00
LX200-25 + CGEM II + ASI294MC
f=1600mm, F6.3, gain 370/570, 20sec x 204frames、総露出時間1時間8分
PixInsight , Photoshop CCで画像処理後、中心部をトリミング 

昼に少し仮眠をとって夕方5時ころに自宅を出ました。途中コンビニで弁当を買っていって、その時点でもまだどこにいくか迷っていました。昨日と同じ楡原か、いつもの牛岳か、ちょっと足を伸ばしてコスモスかです。M57狙いだったので、西側が暗いのと、沈むのが早いので時間との勝負です。スマホアプリのAPT DCによると18時20分頃から十分暗くなるとのことなので、まだ少し時間があることがわかり、空の条件のいいコスモスに決定です。

到着は18時ちょうどくらい。この日はなんと鏡筒2本だし。PCも2台です。

IMG_5685



この日の目的の一つはMEADE LX200-250でコマコレクターをつけて撮影を試みることです。ターゲットはM57とできればM27。もう電視観望では両方とも何度となく見ていますが、 撮影となるとM57の自宅でのテスト撮影くらいが一回きりだけです。牛岳で再挑戦しようとしたのですが、補正板が曇ってしまい、数枚撮ったところでギブアップでした。今回は国際光器から250mmシュミカセ用のフードを購入したので、迷光、曇り対策もバッチリです。もしこれでダメならヒーターを考えます。

撮影はASI294MCでダーク補正だけリアルタイムでしました。フラット補正もしたかったのですが、白いビニル袋の大きなものが無くて諦めました。後でわかるのですが、フラット補正もやっておいたほうが良かったです。露光時間は20秒と短め。ガイドはとりあえず無しなので、流れないように短時間露光としました。枚数は282枚撮って204枚使いました。この時の選定方法は先の記事に書いておきましたが、枚数が多いとだんだん大変になってきます。

画像処理は、PixInsightとPhotoshop CCです。

CCをするとうまくDebayerできないです。Debayerしても白黒のままなので、CCは飛ばすことにしましたがfitsファイルはそうなのでしょうか?理由は不明です。

フラット補正の代わりにDBEを使いましたが、ここでなぜか中心に大きなリング状の明るい部分が入っていることがわかりました。

integration


これを画像処理の過程で取り除くのは結構苦労したので、フラット補正はやっておいたほうが良かったと反省しました。でも一体これなんなんでしょうか?

マスクなども使いましたが、M57とIC1296の輝度差が激しいのが大変だったところでしょうか。あとはごくごく一般的な画像処理かと思います。結果は一番上に載せてあるものになります。

今回はIC1296も腕がはっきりと見えています。これは目標の一つだったので、とりあえずやっと実現できました。今回はそれだけではなくて、M57周りのガスもかろうじてですが見えています。中心の白色矮星が放出する紫外線により、周囲のガスが電離して輝いているとのことです。さらに外側にもう一重あるみたいなので、それが見えるのはいつになることやら。まだコマ収差が残っているのと、星像がどうしても真円でないのですが、今回は少し満足です。

今この記事をM27の画像処理をしながら書いています。次はM27です。


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