ほしぞloveログ

天体観測始めました。

時間が少し前後してしまいますが、前回の記事の前日、8月12日(金)の話です。

8月12日は毎年恒例のペルセウス座流星群です。でも今年は満月と重なってしまい、淡い流星を見るのは難しいかもしれません。でも大きな流星も流れることもあるので、運がよければ見えるかもしれません。


飛騨コスモス天文台へ向けて出発

昨年はコロナでダメでしたが、ここ数年は飛騨コスモス天文台でペルセウス座流星群を見ることが多いです。


今年もその予定でしたが、天気予報がイマイチ。それでも一応行きますと連絡し、17時過ぎに出発。機材も気楽なもので、満月でさらに天気が悪そうなので撮影機材はあきらめ、一応電視観望と、子供用にいつものスコープテックの屈折を持っていくだけです。途中これもいつものすき家で牛丼特盛と豚汁を頼み、腹ごしらえして18時前くらいに店をでます。

途中青空も結構見えていたのですが、岐阜に入ることに徐々天気が悪くなり、雨も降ってきました。でも現地に到着する頃には、少し雲も少なくなってきて、一部青空も見えています。


ドーム操作の確認

19時15分頃に到着したでしょうか。現地にはすでにいつものスタッフも来ています。

到着してすぐに、スタッフのSDKさんと約束をしていた、ドームの赤道儀の操作方法を伝えます。SDKさんが以前試したのですが、マニュアル通りに進めても途中でうまくいかなかったとのこと。ステライメージでどのプロトコルで使えばいいか迷ったようです。実は以前、このドームを立ち上げた故Yさんがまだ元気だった時に同じことをたずねられて、一緒に試してミードのLX200モードであることを突き止めたことがあります。同様にしてみたらきちんと動かすことができました。SDKさんにも再び一から操作してもらい、今後もわからなくならないように、きちんとメモを残しておきました。


少ないお客さんとの盛り上がり

外に出ると、南の空と天頂が晴れています。ただしやはり天気は微妙なのでお客さんは少なく、関係者に近い方が二人、あとお客さんと呼べるのは3人の家族と、女性の方一人くらいでした。お客さんが来た頃には再び全面曇り。しばらくすると小雨も降り出してきました。せっかくなので、SDKさんがドームを案内して解説してくれます。

その間、私は雨よけがてらトイレのひさしがある所でスタッフのSKTさんと話し込んでいました。話題はドームの保険についていです。年額でそこそこの金額を払っていて、どうしたらいいかという相談でした。そもそも、何があった時に何に対してどれくらい支払われるかとかわからなかったので、それを確認するのがいいのではという話になりました。ここは特に手作りに近いドームです。保険といってもなかなか直してくれる業者も見つからないかもしれません。製作者に連絡を取るのが一番なのですが、遠方ということもあり頻繁にというわけにはいきません。こういった、今後の管理、保持についても考えていかなければいけません。

ドームからお客さんが出てきましたが、まだ全面曇っています。雨はかなりマシになって、ほとんど降ってませんでした。家族で来ていた方はその時点で帰ろうとしていましたが、少し雲の薄いところが見え、雲の向こうが明るくなってきてたので「もう少し待ってたら、何か見えるかもしれませんよ」とひきとめました。しばらく待つ間、いろいろ話してみました。高山から来ていてお子さんは小学5年生。その子がどうしても参加したいと言うので、親が連れてきたということのようです。流れ星は見たことがあるらしいですが、天の川はあまりはっきり見たことはないようです。

そうこう話しているうちに、月が雲越しに少し見えそうだったので、いつものスコープテックの5cmの屈折を出しました。雲がキワキワで、月よりもすぐ上の土星が見えそうだったので、まずは時間勝負で私が導入してすぐ未見てもらいます。土星を見たのは家族3人ともはじめてで、大喜びでした。特にお父さんが「ウホッ」とか言いながら興奮状態でした。男の子も最初雲越しでくらかったので「細長く見える」とだけ言っていたのですが、そのうち雲も晴れてきて、輪っかがきちんと見えると大興奮。お母さんにも、もう一人来ていた方にも見てもらいました。

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男の子とお父さんには望遠鏡の操作方法と、導入方法を伝えました。男の子はちょっと挑戦してあきらめてしまって、次にお父さんがチャレンジ。お父さんはすぐにコツを掴んで、その後その男の子もすぐに導入までできるようになりました。3年生くらいでもできる子がいるので、5年生だと大抵できるはずです。

次第に雲が晴れる時間も出てきて、月を導入してもらってみてもらったり、そのうち低空に木星が出てくるとそちらも導入してもらい、衛星までばっちり見えて大喜びでした。20mmのアイピースでたかだか40倍でしたが、木星の縞は赤いのが見えました。最初は男の子の方が見え、お父さんはどうしても見えなくてくやしがっていたのですが、さいごにはお父さんも、お母さんも縞まで見えて喜んでいました。今度は自分の望遠鏡を持ってくるそうです。

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あ、恒例のクイズも出しました。いつものとおりで、太陽や月がどちらから昇ってどちらに沈むかから始まり、やはりお父さんもお母さんも含めて月が答えられず。さらに星の動きについても聞きました。その流れで、動かない星のことを聞きました。すぐに男の子が「北極星」と答えてくれたのですが、じゃあなぜ北極星が動かないかという質問には相当頭を使っていたようです。親は流石にすぐに分かったようですが、その子は頭を北極星の方に向けて自分が回転してやっと納得したようです。

8月27日の観望会も来ると言うので、一つ宿題を出しました。惑星の「惑」は「まどう」とよ向けれども、なぜ惑うのかというものです。調べたら色々わかると思います。「チ。」とか読んでもいいですね。月末の観望会で答えを聞くのが楽しみです。

さてさて、今日のメインの流星群でしたが、きていた人の中で一人だけ一つ見えたと言っていて、他の方は全滅でした。晴れている部分が少なかったのと、月も明るかったので仕方なかったかもしれません。


次回は8月末

22時半過ぎになると徐々に曇ってきて、23時前にはすっかり曇って今日はここまでかなと言うことで解散しました。

23時ちょうどくらいには現地を出発し、0時位に自宅に到着。3時頃まで起きていたら、次の日寝坊してしまい、コメダ珈琲に行くことができませんでした。

時系列的には、この後に前回の記事の密会に続きます。 

 

次回の飛騨コスモス天文台の月例観望会は、8月27日です。

北陸のとあるスタバに集合

少し前にあんとんシュガーさんから、迷人会のえいじさんが北陸の実家にくるので、どこかで集まりませんかとお誘いがありました。でもちょうどその日はコロナワクチンの予約をしてあった日。ワクチンが午後すぐなので、調子が良ければ接種後に行きますと返事をして、お盆週末の土曜日の16時から、北陸のどこかのイオンモールのスタバに集合ということになりました。


イオンモールに向けて出発

ワクチン接種後も大丈夫そうだったので、そのまま車でイオンモールまで移動します。もし途中で調子が悪くなったら帰るつもりでしたが、結局最後まで問題なしでした。

少し早めの15時半頃にはイオンに到着し、スタバの場所だけ確認し、はじめて行くイオンモールなので少し中を歩きます。フードコートとレストラン街を見て夕食をどうするかとか考えてたら、もう16時の10分前です。スタバに戻ると「PixInsightの使い方」が誰もいないテーブルの上に置いてあります。「あ、この席だ」と一瞬で理解して、私もカバンを置いて並んでいる列に行くと、あんとんシュガーさんの顔と、一緒にいるえいじさんと思われる方の顔が。私も一緒に列に並び、いつもの抹茶クリームフラペチーノの一番大きいサイズを頼み、受け取った後に先程の席へ。


延々と会話が

えいじさんとは初顔合わせでしたが、挨拶もそこそこに話し出すと、さすがに同じ趣味です。全く止まることなく会話が続きます。

まずは撮影関連でしょうか。えいじさんの住まいは関西なので遠征はどこに行くかとか、機材ではEM200の話とAdvanced VXの話(私のAVXがバキッと折れた話もご存じでした)や、εの話。電視観望用にFMA135も手に入れたそうです。カメラはα7sとD810Aの話と、さらにCMOSで294MCの話。

あんとんさんは動かなかった294MMがやっと戻ってきたのに、最近撮影できてないと嘆いていました。カメラとフィルターは用意できているので、まずはRGBから試したいとのこと。

私は遠征はあまりしないことと、遠征先で人と会うと、今日みたいに話に夢中で撮影が全然進まないことなど話ます。

二人ともNINAでとまどっているみたいで、ソフト関連でも盛り上がります。自動導入の話で、タカハシの赤道儀でStellariumで自動導入がうまくいかないと、あんとんさんからの話。私はCelestron赤道儀でうまくいっているので、赤道儀からの信号のフィードバックがないのでは言います。えいじさんはEM200とAVXを持っているので比べることができ、同じようにやってもタカハシはうまくいかなくて、Celestronはやはりうまくいくとのこと。

画像処理の話になると、実は私も持ってきていた「PixInsightの使い方」をカバンから取り出し、2冊がテーブルに出ている状態でPIの話に移ります。

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あんとんシュガーさんが撮ってくれた写真。PixInsightの使い方が並んでます。

えいじさんの画像処理はSIからPhotoshopへと進み、あんとんさんはPI一筋、私はPIとPhotoshopで三者三様です。でもえいじさんも最近PIに興味があるとのことで、すでにライセンスも取得済み、「PixInsightの使い方」も今ごろ自宅に届いているはずだとか。たまたま3人そろったら、3人とも持っているというので100%。単純計算でなんと日本の全員が持っていることになります(笑)。

電視観望の話にもなって、私も電視観望を始めた時のこととか、最初の頃に人とトラブった話とか、あまりブログで書けない話とかもしてこちらも盛り上がります。

えいじさんはなんと小6の自由研究で星の写真を写し、そこから星の趣味が始まったそうです。それでもやっぱりブランクはあったとのことで、就職してからしばらく休憩で、2007年の彗星で復帰したとのことで、その頃のことを知らない私とあんとんさんは楽しくその話を聞いていました。

年齢の話になり、なんとえいじさんは私と同じ47組ということが判明。あんとんさんは学年では2つ上です。でも年齢を全く気にすることなく話せるのはで、本当に星友というのはいいものです。

あと、えいじさんから『何年か前、最初「星ぞloveログ」のことを「星ぞ!love」ログと思っていて、「ほしぞらぶ」さんだと思っていた』と聞きました。そういえば確かにこれまで私のことを「ほしぞらぶ」さんと呼ぶ方が何人かいました。その都度『「ほしぞらぶろぐ」の「Sam」ですよ』と訂正してきたのですが、何人かの方は相変わらず「ほしぞらぶ」さんと呼ぶのです。今回エイジさんの話を聞いてやっとなんで「ほしぞ!らぶ」さんと間違えられていたと理解できました。直してくれなかったはずですね。一応ですが、「星ぞloveログ」は「星空がラブなブログ」という意味で、「星空ブログ」の「ら」と「ぶ」を「love」としているというわけです。


話題は尽きず、でも解散

全然話は尽きませんが、さすがに夕食の時間くらいになってきました。結局店を出たのは19時半で、なんと3時間半も長居したことになります。後ろ髪を引かれますが、そこで皆さん解散です。また5日の再開を約束します。

そのあと、私は下調べしておいた「みんなDEステーキ」に入り夕食に。
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本当にとても楽しい時間でした。「星をもとめて」で、もしかしたらまたえいじさんとも会えるかもしれません。またこんな集まりがあるといいです。

ゴールデンウィーク最終日に撮影したM17オメガ星雲です。



牛岳でSCA260でアンテナ銀河撮影してたのですが、夜中過ぎには西の空に傾くので、その後何を撮影しようかと迷って、画角的にちょうど良さそうなM17にしました。しかもちょうどフィルターホイールを8枚のものに新調したばかりだったので、ここは3波でのナローバンド撮影に初挑戦してみました。


感慨深いM17

M17は実は星を始めてからM27と一緒に一番最初に撮影した星雲で、これもやはり牛岳でした。



ブログを読み返すと、既にこの当時から星雲に色がつかないことに文句を言っています。自分自身よほど不満だったのかと思います。

BKP800とAVXと天体改造のX5での撮影でしたが、その当時は赤道儀でうまく導入することもままならず、導入は県天のK会長にやってもらったものです。2分露光の1枚撮りで、何枚か撮影したものから一番流れていない1枚を抜き出し、GIMPで画像処理したものです。もちろん今見るとツッコミどころは満載なのですが、最初にとれた星雲で、M17なんて存在さえよく知らなくて、きれいに色が出て、ものすごく嬉しかった覚えがあります。今思い出しても、当時のワクワク感は蘇ってきて、ずーっとこの延長でやっているんだなあと、改めて今このブログを書きながら思いました。

さてここから6年でどれくらい進化したのか、比べるのが楽しみです。


一枚撮りでの画像

今回の撮影の様子ですが、当時の記事を見てもあまり大したことは書いてないですね。今覚えているのは、アンテナ銀河が西に沈んで何を撮影するかをその場でかなり迷ったことです。M17なら画角がSCA260とASI294MM Proで、(フラットは後で撮ろうと思ったので)カメラを回転させなくてもなんとかなりそうなのと、あーそう言えばM17ってホントに一番最初に撮影してから今まで撮ったことなかったなと意識してました。

さらにその日は青い馬星雲も同時撮影していて、ちょうどセッティングが落ち着いた頃で、アンテナ銀河と合わせると1日で3つ目の天体の撮影になります。1日に3天体というのはあまりないのと、初3波ナローなのでまあ失敗してもいいやと半分ダメ元です。試し撮りのHαの時点でかなり明いと判断し、3分露光としました。しかもかなり眠かった覚えがあるので、NINAでHα、OIII、SIIの順にセットして走らせてすぐに寝てしまったはずです。途中目を覚ましてHαとOIIIは確認して、おお、かなりはっきり出てる!と思った記憶はあります。そこから完全に熟睡してしまい、次に目が覚めたら周りはすっかり明るくなってました。SIIはそこで初めて確認して、そう言えばHαとOIIIはBaaderで、SIIがOptolongだったのをそこで思い出し、もしかしたらピントズレてたかもと反省しました。

改めてそれぞれ見てみます。順にHα、OIII、SIIです。全て3分露光、ゲインはASI294MM Proの美味しい所の120で、比較的暗い牛岳での7nmの波長幅のフィルターです。

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明るさとしては、まあ当たり前ですがSIIが一番暗く、オートストレッチしたときの背景に横線がたくさん入るレベルで、明らかに露光もしくはゲインが足りていなかったと思われます。

改めて見てみると、Hα画像の星雲部の一番明るい部分でも10%を切る程度で、しかもこちらの背景にも多少横線が入っています。こう考えると、Hαでさえももう3倍くらい明るくしても良かったかもしれません。今回ナローバンドで3分露光だったので、いつものRGBでの10分露光よりも明るくしても良かったくらいです。

できるならHα、OIII、SIIで露光時間とゲインは同じにしておきたいので、明るいところと暗いところがきちんとADCに配分されるようにどう調整したらいいのか、今後の課題かと思います。実はこの後まだNGC6888三日月星雲とIC1369の象の鼻のナローバンドの画像処理が待っていて、それぞれ10分露光と3分露光で試しているので、ある程度の知見は出るかと思います。

ピントに関してですが、SII画像のピントはもっとひどいかと思っていました。多少ずれているようにも見えますが、まあなんとか許容範囲でしょうか。でもこれはEAFでオフセットをきちんと調整した方が良さそうです。こちらも今後の課題です。


Integration

次に、インテグレートした後の画像を見てみます。同じくHα、OIII、SIIの順です。枚数はそれぞれ5枚、6枚、7枚です。

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当たり前ですが、1枚の時よりもより細部が表現されています。アンプグローはもう見えないと言っていいでしょう。ダーク補正がうまくいっている証拠です。Hαは横縞はほとんど分からなくなりましたが、OIIIはごくわずか、SIIはまだ多少目立ちます。PIでLinearPattarnSubtractionとかCanonBandingRedutionとか試したのですが、ごくわずか軽減できたくらいで、明るさバランスが狂うなどの弊害もあったので、横縞はそのまま残してあります。これは撮影時の明るさをもう少し増やしてやることと、撮影枚数を増やすことでも解決できそうなので、大きな問題ではないでしょう。


いろんな合成法

さてここから合成です。一般的にはSII(S)をRに、Hα(A)をGに、OIII(O)をBに当てはめるSAO(海外ではSHOというらしいです)が一般的のようで、これはハッブル望遠鏡が想像の柱で使った配色が元のようです。

でもよくわかっていないので、とりあえず3枚のモノクロ画像をRGBに全部当てはめてみます。その種類は3!=3x2x1=6通りあるはずです。条件はPIのChannelCombnationでRGBを選び、それぞれの色にそれぞれの画像を入れ、その後ScreenTransferFunctionの各色のリンク無しでオートストレッチをし、HistgramTransformationで固定します。リンク無しなので、背景がバランスの取れたグレーに近くなります。

1. まずは明るい順のAOS:
AOS

2. 後ろ二つをひっくり返したASO:
ASO

3. 次に、明るいのを真ん中のGに置いたSAOでハッブルパレット:
SAO

3: 前と後ろをひっくり返してOAS:
OAS


5. Aを最後に持ってきたOSA:
OSA

6. 前と真ん中を入れ替えたSOA:
SOA

ふむふむ、こうやってみるとよく分かりますね。一番明るいHαを入れた色(RGB)がベースの色となります。上2つが赤がベース、真ん中2つが緑がベース、最後2つが青がベースということです。

ちょっと面白いのが、3、5、1がCyan、Magenta、Yelllowがベースに見えることです。明るい方からHα、OIIIなのですが、この二つが混ざる時の色でCMYっぽくなるということですね。

ただ、こうやって見てしまうと、ベースの色の印象が強すぎていまいち面白味がないように思えてしまいます。あぷらなーとさんはさらにCMYにAOSをそれぞれ当てはめて「リバース」というパレットを提唱していますが、Stella Imageだとそれが簡単にできるみたいです。



PixInsightはいろいろ調べたけどCMYへの配色は簡単にできそうにはないので、今回は諦めます。というか、そもそもベースが6つもある時点ですでに発散気味で、リバース法も加えて12個もあると、私的にはとてもじゃないけれど扱いきれません。こういう時は一番標準のSAOで試してみるのが良さそうで、3を出発点とします。


SAOでの画像処理

さて、ハッブルが撮影した想像の柱を見ると全然緑っぽくなく、むしろ青と黄色(オレンジ)の対比がとても綺麗です。今回撮影したM17はHαが主体なので、ハッブルみたく近づけるために、カラーバランスを大きく変え、赤と、特に青を相当持ち上げます。ただし背景はグレーに近い色を保つために、ブラックレベルを随時変更します。

SAO_dim

問題は赤。Redに割り当てたSIIが一番暗くノイジー、かつ少しピントがずれているので、
  1. どうしてもノイズが目立ってしまうこと
  2. 赤ハロが出てしまう
などが問題になります。

まず2の赤ハロから対処します。最初、上記画像にPI上でのR画像のみにEZ Star Reductionをかけたのですが、そのまま画像処理を進めていくと、R画像の明るい恒星の周りに大きな窪みができてしまいました。

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この原因を辿っていくと、EZ Star Reductionで、さらにはSIIのフィルターが問題である可能性が出てきました。SIIのみOptolongを使っているのですが、どうも明るい恒星だと周りにゴーストが出てしまうようです。

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BaaderではHαもOIIIも見る限りこのようなゴーストは出ていません。
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とりあえず今回は回避策として、最初からEZ Star Reductionをするのはやめて、まずはStarNet V2で恒星と背景を分離し、その分離された恒星のR画像のみにEZ Star Reductionをかけてみました(この方法、一般的に結構使えるかもしれません)。その結果、背景画像のRに窪みは完全になくなり相当マシになりましたが、それでも合成して炙り出していく過程でゴーストの痕跡は残って赤く目立ってしまいます。

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この結果を見るに、SIIフィルターをBaaderのものに変えようと思ったのですが、国際光器のページを見ても、本家のBaarderのページを見てもナローバンドフィルターは軒並み在庫切れのようです。ZWOのナローバンドフィルターは結構マシという記述をどこかで見たので、SIIだけそれを買うか、もしくはどうも今後SIIを使う機会があまりなさそうだということもわかってきたので、そのまま放っておくかもしれません。今回は後の画像処理でこのゴーストはできるだけごまかすことにします。

処理を進めます。ここでPhotoshopに移動し、R画像のノイズを減らします。Camera Rawフィルターは特定のチャンネルのみにフィルターを適用できるため、使い勝手がいいです。ここではディテールのノイズ軽減をレッドチャンネルに対して使います。

あとは普通に炙り出しです。ハッブルパレットだと多少派手にしても怒られなさそうなので、彩度も多少上げてしまいます。ただ、基準となる色がよく分からないので、どうしてもお絵描き感が強いと思えてしまうのも正直なところです。

最後の方で、レベル補正でRGBのピーク幅をそろえてやると、ハッブルパレットのように青とオレンジの対比が出てくるようになりました。最後に画面全体をひっくり返して北を上にします。

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  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚、SII: 7枚の計18枚で総露光時間54分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

こうやって改めてみてみると、やはりまだ赤が足りないでしょうか。でもSIIがノイジーなのでここら辺が限界です。今回は全体的に露光時間が全然足りていないと思うので、画像処理でノイズ除去とか結構強めにかけてなんとか見えるようにしています。それでもノイジー感が残ってしまっています。

いつものAnnotationです。

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ちょっとAOO

SAOも綺麗なのですが、普通の見え方?に近づけるためにAOO合成をしてみました。

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  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚の計11枚で総露光時間33分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

HαとOIIIしか使っていないので、わずか33分の露光でしかなくて短すぎるのですが、それでもなんとか見えているのは26cmの口径おかげなのでしょう。

あと、この色合いだと2016年の当時に撮影したM17と直接比較しやすくなります。
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こちらはわずか2分の露光なので、そもそも比較するのもかわいそうなのですが、少なくともM17で始めた星雲撮影が、6年間でまたM17にたどり着いて、あらゆるところで進化してることを実感することができます。


まとめ

初の3波ナローバンドの撮影と、その全組み合わせをしてみて、最後SAO合成で画像処理までやってみました。露光時間が3波合わせて1時間未満で、特にSIIはかなり暗くて苦労しました。そのため全体的にノイジーなのは否めませんが、少し強引に一応見える位にまではできました。

フィルターもメーカーによって違いがあることもわかりました。Baarderは何気なしに使っていましたが、やはり良いものだということがわかってきました。

まだ今のところSAO合成が面白いのか面白くないのか、正直いうとよく分からないところもあります。SAOという縛りがあっても自由度が大きすぎる気がします。これはおそらく絶対基準のようなものがないからだと思います。普通の可視光も絶対基準という意味でははっきりはないのですが、それでも目で見て自然とか、いろんな画像例の中心値みたいなのはあって、少なくとも私の中ではある程度の参照基準みたいなのはあります。一方、SAOはハッブルパレットが元なので、今回は想像の柱を想像しながら色を合わせ込んでみましたが、果たしてこれが正しいのかどうか、まだよくわかっていません。

ナロー3波で撮って、最後に出したAOOみたいに、3波で自然な色合いにする方が見ていて気持ちはいいのかもしれません。そこら辺もいつか探れればと思っています。 


ゴールデンウィーク中に遠征(30-40分くらいなので近征?)してSCA260とASI294MM Proで撮影したカラス座にあるアンテナ銀河の画像処理についてです。CGX-Lを持ち出したのでかなり大変でしたが、ここで大型赤道儀で外でも撮影できる目処が立ちました。

撮影時の詳しいことはすでに記事にしていて、近場のいつもの場所、


それと、牛岳で2日分です。




画像処理

撮影は計3日間ですが、初日の撮影分は風が強すぎて使い物にならなく、結局牛岳の2日分だけを画像処理に回しました。

露光時間は10分でBaaderフィルターでのRGB撮影です。確かこの撮影の頃にフィルターホイールを1.25インチの8枚のものにしたはずなのですが、まだLは撮ってないです。処理に使った枚数はRGBそれぞれ15枚、9枚、9枚の計5時間30分です。

フラットは撮影から帰った日の5月6日に、夕方の自宅の外で鏡筒に白い袋を被せて撮影したのですが、これは結局うまく合わずに、以前馬頭星雲の時に撮影したフラットを使い回しました。袋を被せたフラット撮影はFS-60CBの頃にやっていて、うまくいってたのですが、大口径ではまだうまくいったことがありません。普段フラットは晴れ、もしくは曇りの日の部屋の中の白い壁で撮影しています。これまで撮影のたびに毎回撮影していましたが、今回の結果を見るとどうも使い回しができそうな雰囲気です。使いまわすためには大きなホコリが入るとおそらくダメになるので、接眼部に着いているカメラなどの機器の取り外しは出来る限り避けたいです。

画像処理はWBPPまでは5月のうちに終わっていて、3ヶ月も放っておいたことになります。その間何度か仕上までトライしたのですがいまいち気に入らなくて、結局前回のM104の決着がつくまで落ち着いて進めることができませんでした。昨日からやっと仕上げにはいりました。

これまでに何度かに分けてPixInsightでストレッチやマスク作りまで終わっていたので、昨日からの作業はほとんどPhotoshopです。何度かやり直してもアンテナ部分がかなり淡く、マスク処理は多少複雑になりました。そのためマスクを作り直すなどの作業は少しありましたが、なんとか炙り出すことはできたかと思います。

「NGC4038: アンテナ銀河」
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  • 撮影日: 2022年5月4日21時14分-5日0時5分、5月5日21時14分-6日0時51分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間10分、R: 15枚、G: 9枚、B: 9枚の計33枚で総露光時間5時間30分
  • Dark: Gain 120、露光時間10分、29枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 RGB: 0.07秒、RGBそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

出来上がった画像を見ると、まだ恒星サイズが大きいのではと思いました。露光時間が長くて揺れが出たのかと。やはり10分露光でなく、5分露光位に抑えておいた方がいいかもしれません。

下のアンテナ部は先っぽの巻き巻きも含めてそこそこ出たと思います。それでも上のアンテナの先端の広がりがあるはずなのですが、そこまでははっきりとは写りませんでした。

あと銀河の細部がもう少し出てくれてもよかったかと思います。銀河の下部にアンテナ部との境があるように見えて、最初画像処理のせいかと思いましたが、どうもリアルにあるようです。

いつものAnnotationです。

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少し斜めになってしまっています。もうなにも記憶はありませんが、あまり真面目に回転角を合わせていなかったようです。


まとめ

牛岳という、少なくとも普段撮影する自宅よりは十分暗い場所で、結局2日にわたって5時間半のアンテナ銀河の撮影でしたが、それでもアンテナ部分はかなり淡かったです。マスクを駆使してやっと出ましたが、結構大変でした。特に銀河もう少し解像度が出るかと期待していましたが、シンチレーションと露光時間によるのかと思います。またいつか機会を見て撮影してみたいと思います。

さて、さらに溜まっている画像処理を進めることにします。

溜まっていたSCA260の画像処理をやっと再開します。

そもそも、なんで画像処理が全然進まなかったのかというと、まずここ数ヶ月ひとえに忙しかったのはあります。やっと時間ができたと思ったらSV405CCの評価が入ったりしたのもあります。でも一番の原因は、今回のM104の処理を全くやる気にならなかったからです。欲張って、
  • ASI294MMのbin1
  • PowerMATE2倍+ASI294MMのbin2
を一度に比較しようとしたのがダメでした。2つの処理をいっぺんに公平に比較というのはものすごく気を使うので、いまいちやる気になりません。でもこれを終えないと、まだゴールデンウィーク前後に撮った画像の処理も進まないので、とにかく処理してみます。


まずはM51の時と同じbin1で

撮影はもう3ヶ月以上前のことになります。メモを元に記事を書きます。

2022年4月23日、月も下弦の時期になり、夜の前半は月のない空になります。休日の土曜の夜なので気兼ねなく夜更かしできます。

夕方くらいから準備を始めます。場所はいつものように自宅の庭。重いCGX-Lをえっちらおっちら運びますが、揺れのない撮影ができると思えば全然苦になりません。暗くなり始めくらいで極軸調整も早々と済ませて、あとは暗くなるのを待ちます。

対象は迷ったのですが、M104ソンブレロ銀河に決定。南の低空で撮れる時期がある程度限られるからです。目標は上と下の間にあるモジャモジャ。前回VISACで撮影した時は心眼で見ると何か見えるような気がするくらいのものです。



三つ子銀河の撮影で分かったように、CGX-Lも威力は凄まじく、それ以前から使っていたCGEM IIに比べて劇的に揺れを抑えてくれます。

ただし、SCA260の1300mmの焦点距離がちょっと短いです。一つ前に撮影したM51は、まずはバローなど入れる前にASI294MM Proのbin設定を1x1にあえてして、高解像度で撮影し、中心部をクロップしました。今回の撮影の時点ではまだM51の画像処理まで進んでいなかったので、これが正しい判断なのかまだできていませんでした。なので、バイアスやダーク、フラットダークなどが使い回して楽なこともあり、とりあえず設定を変えずにこのまま撮影することにしました。当然露光時間とゲインも使い回しのために変えずに10分と240のままにします。RGB撮影なのですが、本当はLが欲しいところ。でもまだフィルターホイールをこのときは新調していないので(その後、8枚のものに交換しています)5枚のままで、全部埋まっているので今回は諦めます。


撮影開始

撮影開始は天文薄明が終わる20時頃。撮影ソフトはNINAです。実際に10分露光で撮影を始めて何枚か結果を見ますが、どうもイマイチです。一枚一枚を見ている限り真ん中のモジャモジャさんは全く見えていません。これはスタックすれば見える可能性もあるので、まあよしとします。でも恒星が小さくならないのです。最初ピントズレかと思いNINAのAF(オートフォーカス)機能で何度か確かめましたが、HFT8程度が限界。PHD2のグラフを見てみると揺れ幅が+/-数秒とかなり大きいです。一度カメラをNINAから切断して、SharpCapの100ms位の短時間露光で見たのですが、揺れがかなり大きいです。最初シンチレーションかと思いましたが、外に出てみると、風が強い!設定時はそれほどでもなかったのですが、徐々に強くなってきたみたいです。

こんな状態なので結果はダメかもしれませんが、せっかくの月のない休日の夜なので、そのまま撮影を実行します。

撮影終了は、月が出てくる午前1時ころ。本当はもう少し予備で撮っておこうとしたのですが、あまりに風が強くてPHD2の信号で見ると時折10秒以上の幅で激しく揺れるようになってきたので、ここで撤収です。といっても、昼間に太陽を撮りたいので、赤道儀はそのまま片付けずに、万が一の雨に備えてカバーのみかけておきます。(といっても、次の日は結局晴れずに、太陽を見ることなく昼に片付けてしまいました。)

画像処理

撮影フォルダを見てみるとR: 8枚、G: 9枚、B: 10枚が撮れていました。そのうちR: 5枚、G: 7枚、B: 7枚を画像処理にまわします。
  • WBPPですが、なぜか格子状のノイズができます。いろいろ探ったのですが、どうもImage Integrationのところが問題なようです。枚数が少なくて、Percentile Clippingを推奨されるのですが、これにするとダメでいつものWinsorized Sigma Clippingにしたら消えました。
  • また、Image Registrationのところで、RGBどれも2枚ほど弾かれうまくいきません。Image RegistrationのNoise reductionを2に増やし、この問題を回避しました。
  • Local Nomarizationで失敗してしまいます。Interactive modeで色々試して、「Scale evaluation method」を「Multisale analysis」とすると回避できることがわかりました。
  • あと、PCCでどうも色が安定しません。この時は青っぽくなってしまいました。

PI、Photoshopともに、できるだけ素直な画像処理を心がけました。特殊なことは星マスクと銀河部分のマスクを作ったくらいでしょうか。細部出しもPhotoshopの範囲内で済ませています。

結果です。bin1だと画像サイズが大き過ぎでこのブログだとアップロードできないので、解像度を半分に落としてます。

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PowerMATEとbin2設定で

次の撮影は4月24日。今度はTeleVueの2倍のPowerMateを入れてやり、ASI294MM Proの設定でbinを2x2にして撮影してみます。対象は同じくM104です。

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こちらも10分露光は変わらず、Gainは120にしています。PowerMATEで拡大してるので実質F10と暗くなっているため、Gainは4倍のもう120だけ上げ、240にした方が良かったかもしれません。

フラットフレームですが、夕方のほうの薄明で白色のごみ袋をかぶせて撮ってみることにしました。ただし、刻一刻と暗くなり時間変化が大きいので、枚数を限ってRGBそれぞれ32枚とします。条件を同じにしたいので、RGBすべて10秒露光とします。BGRの順にとったのですが、Gが少し暗すぎるかもしれません。Rは比較的明るくなるので、まあ大丈夫かと思います。

ただし、周辺減光がかなり大きかったせいか、どうもこのフラット補正はうまくいかなくて、4隅に大きな補正失敗部分ができてしまいました。たまたまなのか、この鏡筒+PowerMATEのせいなのかわわかりませんが、もし今後もこの組み合わせを続けるなら、トリミング前提で使う必要があるかもしれません。

後で画像で示しますが、フラットフレームを見ると、ホコリがセンサー面とフィルター面の両方にいくつか付いてしまっているようです。やはりカメラ周りをいじると必ずホコリが混入します。入れ替えをなくすという点からは、バロー無しでbin1x1のなしで固定してしまった方がいいのかもしれません。


画像処理は比較しやすいように、bin1の時と同様にできるだけ素直にすませました。あと、PCCでどうも色が安定しません。この時は赤っぽくなってしまいました。

結果です。周辺減光が残っていますが、とりあえず残しておきます。

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比較

さて、ここまできてやっと比較です。

原理的には分解能は同じです。
  • bin1を使ったものはより広角に撮影できますが、12bitのダイナミックレンジしか使えません。ピクセルサイズが小さくなり暗くなるので、その分ゲインを240にしていて、実効的なダイナミックレンジはさらに不利になります。
  • 2倍のPowerMATEとbin2を使ったものは、撮影範囲は各辺2分の1、面積で言うと4分の1ですが、14bitのダイナミックレンジを使えます。ゲインはbin2の時のデフォルトの120としましたが、この時も実質F値がノーマルの5から10になり、明るさでいうと4分の1と暗くなるので、ゲインは4倍明るい240のほうがよかったかもしれません。

銀河部を拡大して比較します。上がbin1で、下がPowerMATEにbin2
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微恒星はPowerMATEで拡大した方がシャープに見えます。でもこの差はbin1の時は風が強かったことで説明できそうです。銀河部はむしろほぼ同じか、bin1のほうが心持ち細部が見えている気がしますが、それでもそこまで大きな差ではありません。画像処理にも微妙な違いがあるので、そこで説明がつくと思った方が良さそうです。

もしかしたらもっと差が出るのではと思っていたのですが、結論だけ言うと、このくらいの差ならば個人的にはこれは拡大せずにbin1で撮影した方がメリットが大きいと感じました。ダイナミックレンジは確かに損しますが、そこまで大きな差になるようには見えないのと、広角でも撮れるので後からトリミングなどできて楽しいこと、トリミング前提なら縦横を気にしなくもていいので、撮影時のカメラの回転も省けるかもということ、そして何よりM51の時にも書きましたが、カメラをわざわざ付け直したりしなくていいのでホコリが入らないことです。


PowerMATEの入れかえによるホコリの混入

今回、PowerMATEを入れ替えたためのホコリの影響はかなりのものです。まずは入れ替える前のフラット画像がこれくらいです。
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PixInsightで強度にオートストレッチしたものにABEの1次をかけているので、相当あぶり出したような状態です。よくよく見ると無数の淡いリングが見えるような気がしますが、この程度では画像処理には全く影響がないと言っていいかいと思います。

次が、今回PowerMATEに入れ替えてから撮影した後、何も状態を変えずにフラットフレームを別撮りした時です。
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少なくとも濃い小さなリング多数と、少し淡めの大きなリングが多数、はっきりと写っています。小さなリングはセンサーの保護ガラス面についたホコリ、大きなものはフィルター面に付いたホコリです。今回はPowerMATEをどう取り付けたらいいかで何度か入れ替えをしたので、部屋の中ですが30分程度はカメラ、フィルターを暴露していたと思います。入れ替え方法は確立したので、今後はもっと短時間になりもう少しマシにはなるはずですが、(特に、外で入れ替える場合は)ホコリの混入を0にするのは難しいと思います。

一応補足しておくと、これくらい埃があっても、個々のライトフレームではリングは多少見えますが、きちんとフラット補正した場合は仕上がりにはほとんど影響がなくなります。

それでもここのライトフレームに影響があるのが嫌なので、この後この埃を掃除したのですが、再び元のレベルまで戻すのにかなりの苦労をしました。掃除してチェックしての繰り返しなので、1時間以上の作業になります。できることならこの作業は避けたいです。


結果

その後、bin1で撮ったものとbin2+PowerMATEで撮ったものをまとめてPixInsightで処理しようとしたのですが、画像サイズも解像度も違っているものをまとめて処理する方法がわかりませんでした。calibratedまでされたものをうまくregistratioinできません。5枚の1binと5枚の2binファイルをStarAlignmentで一合わせしようとした時、デフォルトだとどちらか5枚のみ、Star DetectionのAllow clusterd sourceをチェックすると少しマシで最高7枚の位置合わせに成功したましたが、それでもStar pairを見つけるのがうまくいかないです。何かうまい方法があるのでしょうか?

というわけで、今回は結果としては、周辺減光が少なく、広い範囲で選択でき、銀河部が多少細かく出ているように見えるbin1を採用します。恒星はbin2+PowerMATEのほうがシャープですが、周辺減光が激しく不採用とします。

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  • 撮影日: 2022年4月22日20時1分-4月23日1時18分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃), bin1
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間10分、R: 6枚、G: 7枚、B: 6枚の計19枚で総露光時間3時間10分
  • Dark: Gain 240、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240、露光時間 RGB: 0.03秒、RGBそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

前回を更新したと言えるレベルではないので、また来シーズンリベンジしてみます。


まとめ

やはりフラットフレームのホコリを見ると、できる限り状態は変えない方が得策な気がします。本当に解像度がもっと必要になる時、例えばシンチレーションで制限されず、口径とピクセルサイズで制限されるようなことがある場合に、bin1とPowerMATEで試すことは将来あるかもしれません。

とにかくやっと3ヶ月前の画像処理が終わりました。まだ溜まっているので、順次進めていきたいと思います。
 


志賀高原天空フェス

2022年7月29日と30日に開催された長野県の志賀高原で開催された天空フェス。志賀高原といってもとても広く、今回はその中の熊の湯での開催です。実際には「天空フェスWeek」となっていて、7月25日から31日まで開催されているイベントで、リフトで山頂まで行き、そこから星を眺めるというのがメインです。元々は会場周辺に泊まっている宿泊客のためのイベントだったらしく、そのWeekの中の今回は週末の29、30日が特別イベントという位置付けになるようです。さらに、8月8日から14日までが横手山での天空フェスWeekで12、13日がKYOEIさんがスポンサーの特別イベント、9月23日、24日が山の駅でのイベントになります。

今回、私が電視観望のセミナーとして呼ばれたのも、サイトロンさんがスポンサーになっているからなのですが、そもそも天文関連の会社がスポンサーになるのも今年が初めてとのことで、そのため天文マニアにはこれまであまり知られていないイベントだったようです。

今年は今後まだ、横手山と山の駅でのイベントもありますので、参加される場合の楽しみ方の例も含めて記事にしておきたいと思います。


昼の志賀高原

せっかく志賀高原に来たので、昼間も少し楽しみます。

私が志賀高原に来たのは、まだバブル期だった学生の頃の冬のバスツアーのスキー以来。東京から夜行で長い時間をかけて移動したのを覚えています。夏に来たことはこれまでなく、今回は富山から上越JCTで上信越道に入り、信州中野インターチェンジで降り下道を30分ほど走ります。知らなかったのですが、志賀高原まで来ると草津温泉も下道であと数十kmで、関東からは草津から抜けてくる車も多いとのことです。志賀高原一帯の地名はスキーの時のものをまだよく覚えていて、一ノ瀬、焼額山、丸池、横手山など、今回の熊の湯もふくめて馴染みがあります。確かスキーの時にはローカルなバスが運行されていて、そのバスでスキー場間を移動していました。

今回夏に志賀高原に来て、ずいぶん印象が変わりました。インターチェンジを降りた中野市から国道292号線で志賀高原まで続くのですが、山に入るとどんどん標高が高くなり、志賀高原エリアにはいると沢山の池があることがわかります。丸池だとか蓮池なんかはスキー場の名前としても覚えていました。どうもこの辺り一帯が湿原エリアになっていて、池と池を結ぶ歩道が整備されているようです。さらに、サマーリフトと呼ばれる夏に運行しているリフトがあり、今回も熊の湯の丸山リフトというのを使い、200mくらい上にある高原エリアまで運んでもらいました。

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この日宿泊する予定の熊の湯ホテルです。
天空フェス会場は左の道を奥に歩いていったところです。

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ホテルから歩いて数分のところにあるサマーリフトの一つ、丸山リフトです。


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リフトを降りたところ。たくさんの登山客がいます。

リフトで上に登ると沢山の登山者がいて、多くの人が大沼池を目指します。この池はかなり奥にあり、徒歩でしかいけないようです。私はセミナーの準備も残っていたので、ここから近くの渋池まで少しだけ歩いて引き返し、帰りはリフトを使わずに徒歩で下って少しだけ山の散策を楽しみました。一緒に行った妻は4時間くらい歩いてきたようで、帰ってきたら疲れ果てていました。聞いたら、志賀山と裏志賀山に登ってきたとのこと。途中の道が狭くて細くて岩だらけだったらしく、簡単な四十八池の方に行けばよかったと言っていました。

他にも池巡りの湿原コースなどが志賀高原全域にあるようなので、昼は山歩き散歩を楽しみ、夜は星空フェスを楽しむとかで、夜だけでなく総合的に楽しむのがいいのかと思いました。


会場の下見とセミナー準備

さて、妻が登山に行っている間、私はセミナーの準備と会場の下見です。会場は熊の湯キャンプ場で、受付やセミナー会場は3階建ての建物の中です。

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まだサイトロンのスタッフも来ていなくて、キッチンカーがちょうど到着して準備を始めているところでした。キャンプ場のスタッフの方にセミナーとの下見ですと声をかけると、星を見る場所やキャンプをする場所などを案内してくれました。「よかったら山頂の星見会場も見ますか?」というので、お言葉に甘えてリフトに乗って山頂へ。

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途中景色がきれいで、風が気持ちよく最高でした。この時の天気はというと、雲間に青空が一部見えるくらいです。これくらいでもいいので、せめて夜に星が見えればとこの時は考えていました。

山頂に着くとなんとハンモックが!ここで寝ながら星が見えたら最高でしょう。この時は気づかなかったのですが、後から聞いたら下界も見えるそうで、夜になるとその光が綺麗とのことです。

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ハンモックで寝っ転がっていたら、スズメバチがまとわりついてきて退散。そのまま帰りのリフトに乗ります。ところがこれが怖い怖い...。景色が見える昼間だから一層だと思いますが、そのまま落ちていきそうな感覚でした。よく考えたら下にくだるリフトってほとんど乗ったことがなかったかもしれません。

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熊の湯では昨年からキャンプ場をオープしたとのことで、スキー場下部の芝生の広いスペースに自由にテントを張ることができます。申し込みは下の写真のようなチケット販売機でできるようです。

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この時にもすでに一張りテントが設営されていました。後で分かったのですがこのテントの方も電視観望セミナー参加者で、前日から泊まられていたそうです。

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一旦ここでホテルに戻り、チェックイン。ロビーで待っている間に、たまたま同席した旅行会社の人と話しました。この日は都心からの中学校の2年生が林間学校に来ていて、ここ一帯のいくつかのホテルに分散して泊まっているとのことです。この方、最初私のことを引率の先生と間違えて話しかけてきたようでした。でも旅行会社の人も今回の天空フェスのこと知らなかったみたいで、ちょっと意外でした。その後、本当の先生も現れ「引率大変ですね」とか話していたのですが、中学生は天空フェスには参加できないんだろうなと思うと、せっかくの機会のはずなのにちょっと残念でした。有料イベントなので仕方ないこともありますが、ホテルのエレベーターにさえ「中学校の生徒は使用しないでください」と張り紙がしてあるくらいなので、かなり行動が制限されているのかと思います。

チェックインの後、再び会場に行くと、間もなくサイトロンのスタッフさんも到着して、設営が始まります。2階はサイトロンのブースになり、天文機材や書籍、アクセサリーなどが並びます。

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セミナー会場も準備ができました。この日紹介するつもりなのが、架台がAZ-GTi、鏡筒とカメラがNEWTONY+Ceres-CとFMA135+Uranus-Cです。プロジェクターがすごかったです。真上にレンズが付いていて、スクリーンから30cmの距離で投影可能な最新型だそうです。

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スタッフと一緒にスライドを一通りチェックして、代替準備完了。一旦ホテルの部屋に戻り、30分くらい仮眠をとり、17時過ぎに会場に向かいました。


電視観望セミナー

2階のサイトロンブースの前では、お客さんが何人かいて、今日のセミナーを受講してくれるという方もいました。

話してみると、電視観望を始めたはいいがなかなかうまく行っていないとのこと。なんとかしたくて今回参加を決めたようです。まだ時間があったので少し聞いてみると、まず鏡筒がMAK127であること。MAK127は焦点距離が1500mmと長くて視野がかなり狭くなるので、初心者が導入するにはかなり厳しいと思います。カメラはNeptune-C IIを使っていて、もう少し視野を広げようとしてどこかの電視観望を説明している動画でASI482MCがいいといっていたので買って試したが、全くうまくいかないとのことでした。あのカメラはピクセルサイズが大きく、一見期待できそうなのですが、オフセットに難ありのようなので、私も結局使ったことがありません。とにかく初期導入に困っているとのことで、プレートソルブを試したいそうなのですが、こちらもうまくいっていないとのこと。聞くとこの日は自分の機材を持ってきているそうなので、せっかくだから一緒にやってみましょうと言って、PCとカメラとAZ-GTiを接続してチェックしてみました。私よりも年上の方だと思いますが、PCの設定もきちんとしてあり、SharpCapやPlayer Oneカメラのドライバー、 SynScan ProやASTAPもインストールされていたりで、かなり使いこなしているようでした。ASCOM関連もPlatformまではインストトールされていたのですが、SynScan Apps用のASCOMドライバーが入っていなかったのが原因でした。改めてインストールし、SharpCapから無事にAZ-GTiに接続もでき、その場では星が見えなかったのでプレートソルブのテスト機能を走らせただけですが、おそらくこれでうまくいくはずです。セミナーの時にも説明はしたのですが、この場でも焦点距離が短い方が楽だということを力説しておきました。

こんなことをしていると、セミナー開始15分くらい前になってしまい、急いで3階にいくと、もう何人かの方は席に着いていました。スタッフさんに聞いてみると、事前申込者が4、人当日申し込みが4人で、合計8人とのこと。平日の夕方からのセミナーで都心からも遠く離れているので、参加もなかなか難しいと思いますが、それでも8人も集まってくれてとてもありがたかったです。

それぞれどこから来たか聞いてみると、やはり関東勢がほとんどです。天体の経験が長い方もいましたが、電視観望の経験はと聞いてみると半分少々が試したことがあるけど、基本的に初心者に近く、いずれもあまりうまくいっていないとのこと。残りの半分切るくらいの人が、興味はあるので始めてみたいという方で、中には天体撮影もやっているベテランに近い方もいるようです。

せっかくの機会なので、わからないところはできるだけ解決してあげたくて「どんどん質問して下さい」と言っていたのですが、セミナーの途中に何度も、セミナーが終わってからもずっと質問が続くような状態でした。今回は有料のセミナーということで、いずれも何か解決したいことがあるというような意気込みを持って参加するような方が多く、皆さん相当熱心にでした。

最後の方の質問で、電視観望でまとまった書籍みたいなのはないかと聞かれたのですが「詳しいものはまだ存在していない」と答えざるを得ないことが非常に残念でした。セミナーの中でもサイトロンで作った「電視観望実践ガイドブック」があるとは伝えたのですが、それも読んだがやはりまだ細かいことがわからないという質問のようです。とうより、最初は何がわからないかもわからず、どこまでできるかもわからないということのようで、考えてみればそれはもっとかもしれません。例えば「SharpCapの有料版があることはわかっていて、どんなことができるようになるかもある程度わかる。でもどの機能が実際に電視観望に有効かを知ろうと思うととても苦労する」というようなことです。確かにこういった細かいことまでまとまった書籍というのは販売されていません。

私のところもブログの記事でしかなく情報が散乱しているので、何か一冊、細かいところまで手が届く書籍のようなものがあるといいのかもしれません。天文ガイドの記事もありますがやはり字数制限もあり、応用編などはどうしても紹介にとどまってしまいます。いつかどこかで、思う存分書けるような一冊を出版できたらと、最近考え始めています。

いずれにせよ、セミナーに参加していただいた方には、今回のスライドと動画を後でお渡しすること、わからないことはいつでも連絡をいただければ応えることをお伝えし、セミナーはここで終了となりました。

30分ほど休憩の後は、外に出ての実際の星空での実演です。休憩といっても用意して頂いていた夕食がわりのホットドックを急いで頬張り、すぐにそのまま機材の準備です。今回時間がなくてキッチンカー巡りができなかったのが心残りです。でもホットドックははみ出るほどの大きなソーセージとチーズがかかっていてとても美味しかったです。


電視観望実演

実演会場は、建物があるところから坂を10m位上ったところで、昼間乗ったリフトとは別のリフトの乗り場の開けたところになります。下の写真に写っている小屋に機材を入れておき、雨の時は退避させ、天気が良ければ出すというような形になります。電源もあるので、今回は大きなプロジェクターを出していました。

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20時半頃に建物の前に集合して、スタッフさんとともに上に上がる予定でしたが、20時20分にいくとすでに何人かは集まっていたので、私と一緒に実演会場まで先に移動してもらいました。ただしこの時点ではかろうじて薄い雲のところから星が見えている程度で「晴れてくれー」と願っているような状況でした。上に登って機材を展開していると、少なくとも南の低いところは星がはっきり見えてきて、さそり座がよく見えてきました。サイトロンスタッフのWさんはすでにセットアップをしていて、AZ-GTiのオフィシャルな赤道儀版とも言える、まだ発売前のSTAR ADVENTURE GTiを試用していました。鏡筒とカメラはWさんも私もFMA135とUranus-Cで、特に相談したわけでもなくかぶってしまいました。それだけ使いやすいということでしょう。

私もセットアップをはじめます。セミナーで話した通り、
  1. 三脚を調整しAZ-GTiの水平と、同じく鏡筒の水平も(水準器を置いてきてしまったので、目分量ですがある程度)とります。
  2. PCとカメラを繋ぎSharpCapで画面に何か見えることを確認します。
  3. PCとAZ-GTiをWi-Fiで接続し、 PC上のSynScan Proから操作し、初期アラインメントをします。
ところが今回珍しく深刻なトラブル発生です。初期アラインメントが全然うまくいかないのです。最初見えていたさそり座のアンタレスで全然画面に入らず失敗。一旦あきらめて、雲が晴れてデネブが見えてきたのでデネブで再度初期導入。これも画面に入らず失敗。AZ-GTiの電源を落とし、改めて水平をきちんと確認し、北も確認し、それでも画面に入らず失敗。惜しいところで入らないとかではなく、10度くらいターゲットからズレるようなので、磁北と真北を間違えたのではと思い、北極星の位置を見ながら確認しても失敗。相変わらず10度くらいのオーダーで全くずれてしまいます。合計4−5回電源を入れるところから繰り返したことになるでしょうか。お客さんがいる観望会でこれだけトラブルのは珍しいというか、ほぼ初めてのことです。一方、プロジェクターに映しているWさんの電視観望セットは絶好調で、次々と天体を映し出していきます。

流石に何かおかしいと思いますが、こういう時こそあせってはダメです。電源がおかしいかとかなど色々考え、あることに気付きました。答えは上の1から3の中にあるのですが、これだけで気付く方いますでしょうか?
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ヒントですが、実際には1から3のうちの3が問題でした。3の何が問題かわかりますでしょうか?
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これ以降答えになります。考えている方は答えをまとめてみてください。
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答えは、PCからAZ-GTiをコントロールしてしまったことがトラブルの原因でした。もう少し詳しく書くと、今回富山から志賀高原に移動して来たわけで、当然緯度経度はかなり違います。最初にスマホのSynScan Proで操作してやれば、スマホのGPS情報が自動的にAZ-GTiに転送されるのですが、GPSを持っていないPCで接続すると過去の緯度経度情報を使ってしまいます。そのため自動導入も全然違った方向を向いてしまったというわけです。

これに気づいてから、スマホで接続して初期アラインメントをすると、これまでの苦労がなんだったのかというくらい素直にデネブが画面内に入りました。このトラブルだけで30分近くロスしてしまったので、実演としては失格です。まあ、途中手動で北アメリカ星雲を入れてライブスタックを見せていて少し場を繋いだことと、初期アラインメントができなければその後何をやっても無駄だということを身をもって示したということで、なんとかお許しいただければと思います。

ここからはこれまでの失態を挽回すべく、どんどん天体を入れていきました。M27を自動導入し実際の電視観望で綺麗に見えることを確認し、M57ではFMA135の短い焦点距離でも十分分解することを示します。時間があまりなくほとんど写真を撮れてなかったのですが、下は数少ない写真の一つで、M8干潟星雲と、M20三裂星雲です。

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この日の空のコンディションの良さと明るい天体ということもあり、6.4秒露光の一発であからさまに画面に鮮やかな星雲が出てくるので、セミナーの受講生も含めて、その場で見ていた方は「おぉー!」というような雰囲気でした。

この頃になると私もやっと余裕も出てきて、改めて空を見上げると全面快晴。プロジェクターの明るさがすぐ近くにあるにもかかわらず、天の川もかなりくっきりと見えていました。実は私の方が見えるようになると、今度はプロジェクターを利用しているWさんの方がトラブってて「天の川で迷子になったー」と叫んでいました。

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上の写真は終了間際の21時50分くらいでしょうか、この頃にはWさんのトラブルも解消し、プロジェクターにはM51子持ち銀河が、私のPCには網状星雲がそれぞれはっきりと見えていました。

この時点でアナウンスが流れて、22時にイベントは終了とのこと。我々もここで片付けとなりました。今回トラブルはありましたが、やはりそれでも快晴の空が全てで、セミナーだけでは説明しきれない説得力を持って電視観望の楽しさを示すことができたと思います。

結局、ちょっと楽しみにしていた夜のリフトはセミナーと実演で時間がなくて乗ることはできませんでした。その代わりに妻が夜にリフトに乗ってくれていて、後から感想をたっぷりと聞かされました。ちょうど空が晴れ渡った21時くらいにに乗ったみたいで「星が目の前に迫ってくるようで、とにかく大迫力。降りたら誰もいなくて星空を独り占めで、天の川はもう普通にはっきりと見えて、下の方にあるさそり座も全部見えた。あと、すごく大きな流れ星(火球だよと教えました)を見たよ。音が聞こえたくらい大きかった。下の明かりもすっごく綺麗。これだけでもう大満足。」とのことでした。


イベントについて

片付けも終わり、ホテル内の温泉に行くと、ちょうどサイトロンの若手のスタッフ2人と一緒になりました。昭和レトロ満載の、すごい雰囲気の温泉です。お湯に浸かりながら、多分1時間くらいは話していたでしょうか。趣味としての星のこと、アマチュア天文の将来、業界の裏話など多岐に渡り、とても楽しかったです。もちろん今回のイベントについても話しました。

その延長ではないですが、今回のイベントについて改善点も含めて、少し書いておきたいと思います。

今回参加して、過去のことも調べて少しわかったのですが、まず認識しておかなければならないのは、このイベントは元々志賀高原での夏の滞在を促すためのものとして立ち上がり、基本的には会場周辺のホテル宿泊者を想定していると思われることです。そして、天文関連の会社にスポンサーを頼んだのは今年が最初のようで、天文マニアにこのイベントの存在が届き始めたはおそらく今回が初めてだったのではということです。

その上で少し議論ですが、まずイベント参加料が2500円ということです。最初少し高いのではと思ったのですが、天文マニアの視点を外して、一般の人が参加することを想像してみます。夏休みのイベントとして高原に旅行に行き、そこで(天気さえ良ければ)極上の星が天の川と共に確実に見えるというなら、この値段もありかなという気がしました。これは妻の反応が物語っていて、リフトがやはりメインであるということです。イベント参加料にはリフト代も含まれています。しかもリフトはその時間の間は乗り放題だそうです(すみません、多分間違いないと思いますが、一応参加時に確認してください)。妻はこれまでもたまには私に付いてきて、濃い天の川も何度も見ています。それでもリフトに乗って山の上に見にいくという体験は初めて。相当迫力があり楽しかったようで、(私は夜にリフトに乗れなかったので)いまだに何度も話してくれます。都会の、普段天の川など全く見えないところから来て、リフトに乗っている時も、山頂についてからも、迫力満"天"の星を楽しめる保証をしてくれるなら、決して悪くないと思ったというわけです。

その一方、普段から光害の少ないところに遠征とかしている天文マニアにとっては、天の川はよく見ているはずなので、参加料の割にそこまで魅力とならないかもしれません。とくに今回セミナーで参加して頂いた方は、ほとんどの時間をセミナーと実演に使ってしまったので、私と同じでリフトに乗る時間はなかったのが現実だと思います。百歩譲って、セミナーに参加された方は目的があり納得済みでイベントに参加しているのでまだいいかもしれませんが、一般の方で参加してリフトに乗らなかった、もしくは乗れなかった場合です。今回も、実際に満天の星が見えたのは21頃からです。21時だと家族連れで子供が小さいとすでに厳しい時間かもしれません。妻がリフトに乗った時には誰もいなかったと言っていたので、この日実際にリフトに乗って星を見た方は、参加者全体の中でも数えるほどかと思います。リフトが運行しない場合はイベント参加料が安くなるとアナウンスされていましたが、天気が悪いとリフトが運行されている場合は実際にリフトに乗る参加者は少なくなってしまうのかと思います。もちろん天気のことなので、文句を言ってもしょうがないのは参加者も納得済みかとは思いますが、天気が悪くても楽しめるようにすることをもう少し考えてもいいように思えました。

参加する前、事前に昨年の星空フェスの様子などの宣伝の動画を見ました。もっと飲食やアクセサリー販売のブースが出ていたり、ヨガイベントやバーのようなものがあるのかと思っていましたが、あれは熊の湯ではなく他の場所で行われたものだと、現地についてやっと理解できました。動画では何がどこで行われているか何も解説がなかったので、普通に考えると自分が行く場所でも行われていると期待してしまいます。妻もビデオを見て期待していたところもあったので、少し残念がっていました。それでもリフトに乗って星が見えたので「それだけで価値がある」と言っていましたが、そうでない家族連れなどは少し物足りなかったかもしれません。これは今後大いに改善して頂きたいと思った点でした。


まとめと、帰り道

個人的には電視観望の実演のところでGPSのトラブルがあったものの、セミナーも盛り上がり、実演も最後は奇跡的に快晴と、十分楽しむことができました。次の日の朝、ホテルの朝食会場でセミナー受講生の一人と会い感想を聞いてみたら「とても楽しかった、目から鱗のことがたくさんあった」というようなことを言っていただいたので、今回の講師を引き受けた甲斐があったのかなと思えました。

帰りに、志賀高原歴史記念館に寄っていきました。元々志賀高原最初のホテル「志賀高原ホテル」のエントランス部分を残して記念館にしているところです。入場は無料で、志賀高原の丸池スキー場をベースに活躍した1956年(昭和31)のコルチナ・ダンペッツオ(イタリア)冬季五輪のスキー男子回転銀メダリストの猪谷(いがや)千春の紹介コーナーは中々見応えがありました。

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山から降りて高速のインターに向かいますが、高原から下界に降りたときの暑いこと暑いこと!気温が10度以上違ったりするので当たり前なのですが、改めて高原がいかに涼しかったか思い知らされました。

久しぶりに妻もついてきた星イベントですが、ずっとコロナでどこにも行けていなかったので、とてもいい機会でした。講師として呼んで頂いたサイトロンさんにはとても感謝しています。今後の志賀高原のイベントはさらに天文マニアが増えてくる可能性があります。これまで通りのホテル宿泊の方に喜んでもらうのはもちろん、マニアも含んだ皆さんが楽しめるイベントに発展していってもらえたらと思います。

妻もとてもいい夏休みのイベントになったと喜んでたので、今回は大成功だったかと思います。

先日、飛騨コスモス天文台の観望会のあとに、かんたろうさんの45cmドブソニアンで見せてもらったリング上星雲M57に色がついた話ですが、天リフの特選ピックアップにとりあえげられるなど、反響がすごかったので少し補足しておきたいと思います。

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色がついた時の詳細

この時、M57は都合3度ほど見ました。そこまで記憶が定かではないのですが、まず最初に70倍、ついで360倍、また70倍だったと思います。もしかしたらその後さらに360倍を見たかもしれません。

ほぼどの回も、私はずっと電視観望でUranus-Cのテストをしていたので、直前までそこそこ明るいPCの画面を見ていました。PCがある場所から45cmドブソニアンまでは10m位離れていますでしょうか。途中Hさんが撮影している場所を通るので、見えにくい目で注意しながらHさんを避けてドブソニアンのところまで行き、これまた見えにくい目でかんたろうさんに接眼部の場所を聞き、頭をぶつけたりしないように注意しながらアイピースを覗きます。

  1. まず最初に70倍で見た時。ちょっと緑色に見えているように感じましたが、背景の色も緑に見えるような気もして、色がついていると言うには全然確証が持てませんでした。
  2.  一旦電視観望のところに帰り、明順応になった状態で再び360倍。この時は気のせいと思うこともできないほど色が全くついたようには見えませんでした。
  3.  再び70倍。よく見ると決して明るくはないですが、M57の中がはっきり青と緑の2色に分かれています。「あ、これは色がついてる!」と叫んで、確証した瞬間です。真ん中が青で、その周りが緑。細い外周が一瞬オレンジ色か赤っぽく見えましたが、見ているとすぐにその色は確認できなくなっていました。
あ、でもこの時点は実際にはどの色がどの順で見えるべきかの確証はなかったのですが、後で画像で確認すると見事に中が青で、外に行くに従って緑、最外周はオレンジだったので、ここで改めに確証が持てました。

今回は最低限2色、もしくは3色見えたことが「星雲に色がついた」ということの確証です。

それでも、オレンジ系は気のせいかとも思っていて確証が持てなかったのですが、その後の天リフ特選ピックアップで編集長が「M57の外周部が口径20cmでほんの少しオレンジ色に感じたことがあった」と書いています。Twitterで黒天リフさんが発言していたのですが、これは電視観望の名付け親のHUQさんも同時に見ていたとのことです。これを聞くと、私も気のせいなどではなかったのではと思えてしまいます。おそらく、何か見える要因があるのでしょう。

今回、星雲に色が付くことは理解でき、実際に見えたのでやっと納得できました。2016年の原村の星まつりでドブソニアンの人たちに聞きまくって、当時10歳だった下の息子が「緑に見える」と言ってもどうしても私には色がついて見えるようには思えませんでした。その後どうしても観望会で色付きの星雲をお客さんに見せたくて電視観望への道が開たのですが、今後は明順応を前提にした観望会もやってみたいと思うようになりました。

今後はM57のオレンジや、M42などの明るい星雲の色がどこまで見えるのか、いろいろ検証できたらと思います。

かんたろうさん、素晴らしい眼視経験、本当にありがとうございました。でも今のところかんたろうさんの45cmのドブ頼りです。自分で一本持った方がいいのかなあと思い始めています。


自宅で順応実験

さて、天気も悪く、もちろん手元にドブも無いのですが、もう少しできることとして、その後、自宅で少し実験してみました。

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夜中目が覚めてトイレに起きた時は確実に暗順応状態です。なので、まずは暗順応から試しました。実験は、廊下にある電気のスイッチのところについている小さなオレンジ色の明かりを使います。暗順応状態でも、目を普通に開けて普通に見るとオレンジ色がそのまま見えます。そこで、暗くするために目を細めます。目を細めていくと、あるところから色が消えて白い明かりがあるように見えますが、それでも形ははっきりとわかります。おそらくこれが暗順応した目で星雲を見ているような状態だと思います。

次に、起きている間に、夜に電気を消して廊下周りを暗くして同じスイッチのオレンジ色の光を見ます。目を開けているとオレンジ色に見えるのは同じです。同じようにだんだん目を細めていきますが、あるところから真っ暗になります。暗順応の時に見えたような白い明かりは全く見えません。これが明順応で見た状態に相当すると思うのですが、M57を明順応で見たときは少なくともまだ形が見えてたので、廊下で見た暗くなる状態よりは、目に入る光量は多かったと考えていいのかと思います。

暗順応状態でも、明順応状態でも、ある程度の明るさがあれば色はついて見えることはわかりました。色がついているものが、色がつかないように白く見えるのは暗順応の方ということもわかりました。問題は、最低限色がつく明るさが、明順応の方が暗順応よりも暗いのかどうかです。

  • 廊下で暗い状態で見た小さなオレンジ色の明かりが、明順応の方がより暗い状態で色が付くのならば、今回見たM57の色もかなり説明がつきます。
  • 逆に、暗順応の方がより暗い状態で色が付くのならば、今回見たM57は説明がつきにくくなります。
  • ですが、暗順応の場合に、色が付かなくてより明るく見えるために、その明るさが色を消してしまうようならば、まだ今回見たM57の色は説明がつきます。
今回は目をつぶりかけるということで明るさを調整しているために、明順応、暗順応で色がついたときの明るさを定量的に比較できていないことが、今回の廊下スイッチ方法の最大の欠点です。

でも少なくとも明順応と暗順応で、暗く色がついた光の見え方に明らかな違いがあることが確認できました。簡単な方法なので、よかったら皆さんもぜひ試してみてください。


いよいよ明日は

さて、いよいよ明日は志賀高原の天空フェスタで電視観望セミナー。今から楽しみです。

実は、M57を見た時に同時にしていた電視観望は、この天空フェスのスライド作りのためでした。その後、晴れる日があるかどうか心配で、最後のチャンスかと思っていたのですが、結局今日まで晴れる日はなくて、本当にあの時が最後のチャンスでした。

スライドの準備もほぼ完了。ブログ記事をこんなふうに書いているくらいなので、精神的にも少し余裕があります。天気がちょっと心配ですが、来てくれた方には精一杯付き合おうと思います。せっかくの機会なので、満足して帰っていただけるよう頑張ります。

今週末の7月29日金曜日18時30分から、

において
をすることになりました。
  • 天空フェスはリフトで標高1,960mの山頂へ行き、『熊テラス』から眼下に広がる夜景と綺麗な夜空を堪能できる星イベントです。夏休みの行事として、ご家族連れで参加されても楽しいかと思います。
  • セミナーの内容は初心者向けにわかりやすく、一般の方にも興味を引くようなものにしようと思っています。


会場はタイトルにあるように長野県の志賀高原の熊の湯キャンプ場(〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏7148)になります。

実は今回の話、有料イベントと知らずに引き受けてしまったのですが、セミナー参加料2000円の他に、イベント入場料(一部アトラクション代、保険代、リフト乗車代が含まれます。):
  • 大人:税込2,500円
  • 小学生:税込2,000円
  • 小学生未満:無料
が必要とのことです。

さらに私の講演は平日の金曜にあるので、なかなか参加しにくいかもしれません。定員20名ですが、まだ枠はあるとのことです。もし電視観望に興味があり平日時間が取れる方は、よろしければぜひご参加ください。

お申し込みはこちらから


お願いいたします。



当日はサイトロンの天文機器の販売ブースも出ますので、講演を聞いて興味が出たらその場で機材を買うこともできるようです。せっかくの機会なので、

その場で購入した機材を使って、
私Samといっしょに
電視観望のセットアップを組むことができたら

と考えています。さらに、もし天気が良ければ

実際にその機材で電視観望で星雲などが見えたら

と思います。
NEWTONY

なお、7月30日の土曜日は17時30分から
も開催されます。

こちらも合わせて、皆様のご参加を是非お待ちしています。


 

恒例の飛騨コスモスの観望会ですが、前回6月はJAPOS出席のために休んでしまったので、2ヶ月ぶりになります。


久しぶりの観望会

2022年7月23日、この日の天気予報は微妙でした。そもそも早くに梅雨明けしたはずなのに、全然晴れてくれないです。予報も晴れか曇りか、時間によってころころ変わり、SCWで見てもそこそこ雲の率が高そうです。でも北の富山よりも南の岐阜の方が少しマシなようで、当日の午後に判断するに、まあ何か見えるのではないかと思い、 準備して出発することにしました。でも撮影までは無理そうなので、観望会用に電視観望セットと、子供への解放用にSCOPETECHの屈折、あとは星座ビノくらいです。

夕方、早めの簡単な食事を自宅でとり、17時40分頃に出発。途中コンビニにより、ここ2ヶ月近く評価していたSV405CCをあぷらなーとさんに送付しました。 ついでに夜食とおやつなど買い込み、富山を後にします。岐阜に入ると途中に青空も見え始めてきて、天気もなんとかなりそうです。

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到着

飛騨コスモス天文台に到着すると、すでにかんたろうさんと、富山県天文学会のHさんが来ていて、機材を展開していました。写真を撮るのを忘れてしまいましたが、かんたろうさんはYさんから譲ってもらった新兵器の45cmのドブソニアンを出しています。一方Hさんも、長いことかんたろうさんから借りていたGP赤道儀をとうとう返却し、なんとSCOPIOで手に入れたという未開封中古のEM200のTEMMA2モデルを設置してます。HさんはさらにFMA180にCeres-Cで電視観望セットも出しています。

程なくして飛騨コスモスの会のスタッフのSDKさんとSTさんが到着です。SDKさんと話すと、ドームで長年使っていた自作の口径250mm、焦点距離3000mmの鏡筒は、返却したとのことです。段ボール箱を組み合わせて箱を作って送ったそうなのですが、重さが70kgほどもあったそうです。

だんだん一番星が出る時間になってきます。STさんがものすごく目がいいことがわかりました。私は全然見えなかったアのですが、STさんはークトゥルス、ベガ、アルタイル、スピカなど次々に見つけていきます。私は途中から星座ビノを使い、やっとSTさんに追いつくことができました。STさんは老眼で遠視だからと言っていましたが、ちょっと羨ましいかもです。


Uranus-C

その後、私も機材を展開し始めます。暗くなり始めでなかなか初期アラインメントのプレートソルブがうまくいきません。そうそう、今日の電視観望では新兵器のIMX-585を搭載したUranos-Cを導入です。

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観望会ついでにいろいろテストしてみようと思っています。

目的は
  • ピクセルサイズが2.9umと小さいが、電視観望で使えるのか?
  • DPS(Dead Pixes Suppressioin)機能がどれくらい効くのか?
  • 1/1.2インチサイズはPlayer Oneのカメラの中でも最大。これでASI294MCにどこまで太刀打ちできるのか?
  • 電視観望で見た画像を保存して画像処理すると、天体写真として成り立たせることはできるか?
などです。この日使うPCにPlayer Oneの最新ドライバーをインストールし、SharpCapで認識して画像が出るところまで自宅で確認しておきました。

鏡筒はいつものFMA135、これにCBPをつけます。ASI294MCがフォーサーズで19.2mm x 13.1mm、Uranus-Cが1/1.2インチで11.2 x 6.3 mmなので、横で1.7倍、縦で2.1倍、面積で約3.5倍とそこそこの差はあります。これとFMA135で大きな北アメリカ星雲やアンドロメダ銀河がどこまで入るのか?分解能は良くなるので、例えばM57がどこまで見えるのかが興味の対象です。


楽しいお客さんとのやりとり

さて、電視観望の結果は後述するとして、うまくいかなかったASTAPでのプレートソルブですが、なぜかAZ-GTiにフィードバックすると星が認識できなくて、フィーバックしないプレートソルブのみだとうまく位置を特定できるような状況でした。もちろん、SharpCap上でのAZ-GTIへの接続はうまくできていて、矢印ボタンで動かすことはできる状況です。その後、SharpCapを立ち上げ直すと、AZ-GTiにフィードバックしてもきちんと星認識をして、ズレを直して、希望方向に向いてくれるようになりました。結局原因は不明ですが、そろそろお客さんも来始めているので、早速M27を導入し見てもらいます。

最初に来てくれたのは家族4人連れ。お父さん、お母さん、保育園の双子?の女の子です。星雲をみて最初「おおー」と言ってくれてたのですが、まだ完全に暗くなっていなかったので、星座ビノで星が増える様子を観察してもらいました。子供用にcokinとNikon、大人用に旧型のWideBinoと笠井の2倍です。子供も含めて、星がたくさん見えることを実感してもらって、さらにSIGHTRONの3倍も投入して、「交換すると見え味が違って面白いですよ」というと、家族間でいろいろ見比べが始まりました。「星座がちょうど入るくらいの星座用の双眼鏡です」と説明して「星座アプリとかで形を見て、それを実際の空でトレースするのも楽しいですよ。ここの空は肉眼でも十分星座が見えますけど、この双眼鏡を使うとさらに細かい星があることもわかります。」などというと、この星座ビノの良さが少しわかっていただけたようでした。

次の家族はお母さんと小さな多分4歳か5歳くらいの女の子と、小学5年生のお姉ちゃん。下の子が「アルデバラン」とか「シリウス」とかいうので、「すごい!よく知ってるね!」とか言ってたのですが、残念ながらこの時期には見えません。どうも昨年この観望会に参加れていて、秋や冬の星座を見て覚えてくれていたようです。「アンタレス!」というので、「あ、それならあそこに見えるさそり座の赤い星だよ」といって、今度はSCOPETECHで見てみようということになりました。お姉ちゃんは5年生ということなので「じゃあ、望遠鏡自分で使ってみようか」と、早速二つ穴での導入の仕方を説明します。勘のいい子で、すぐに2つの穴に導入することができ「じゃあここ覗いてみて」と接眼部を覗いてもらうと「入ってる!」と。ピントを合わせてもらって、妹に「お姉ちゃんが頑張って入れたやつだよ」と言って見てもらいました。

勘の良かった子なので、前回と同じクイズをしてみました。太陽が東から昇り、西へ沈むことはすぐに答えられました。でもやはり月はどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができません。一緒にいたお母さんもわからなかったようです。でも5年生なので、地球が回っていることも知っているはずで、そのことを思い出してもらうと、すぐに月がどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができ、「じゃああのアンタレスは?」と聞くと、すぐにきちんと「東から登って、西に沈む」と答えることができました。少しきっかけがあると頭の中ですぐに考えることができるようで、勘のいい子です。

お母さんもかなり興味があるようで、前回来たときに地球は銀河の中にあるという話をきいたとのことです。じゃあまたここで問題です。「あちらに見えている天の川の濃いところは、銀河で言うとどの向きでしょうか?」と聞くと、最初はなかなか答えられませんでしたが、冬にも銀河があること、銀河の円盤の中にいること、その円盤の中から見ると天の川が濃い薄いも含めて、全天を一周することなどを説明すると、最後は南の濃く見えている天の川は銀河の中心方向だということを答えることができました。

残念だったことは、私がそのお母さんと話していると、下の子が多分ヤキモチを焼いたと思うのですが「もう帰ろー」とか言い出すのです。「ごめんねー、難しかったねー」と言って謝っておいたのですが、なんかとても可愛かったです。


雲と共に雨が

実は天の川クイズを出していた頃には雲が出てきてしまい、天の川は見えなくなってしまっていたのですが、それどころか、霧雨のようですが明らかに雨が降ってきています。PCなどもあるのと、予報では天気は悪くなる方向だったので、私はそこで機材を撤収しました。

結局電視観望で見せたのはM27だけ、対応した家族も2組だけでした。でもこの時点でもまだ星は見えていて、Hさんもかんたろうさんも多少の雨には負けずに頑張っていました。雨がだんだん強くなってくるとじきに二人もカバーをかぶせたり、撤収したりでここで中止。お客さんも徐々に帰って行きました。

かなり雲で覆われていますが、全く星が見えなくなることなく、それでも霧雨はずっと振り続けています。この辺りはほとんど風はないのですが、おそらく山頂で降っている雨が、強い風にあおられてばらまかれているのではなどとみんなで話していました。

その後、みなさん諦めて機材を車の中に詰め込んで、少し雨も小降りになってきたので、椅子を出してまったりモードで、スタッフのSDKさんと、コーヒーを差し入れてくれたSTさんも交えて話していました。

まあここからなのですが、天文あるあるで徐々に空は快晴に!まずはHさんが我慢しきれずに機材を出し始め撮影を開始。ついでかんたろうさんが最初は120mmの屈折で眼視。私は双眼鏡でかんたろうさんのコーチを受けながら、天の川方向の星雲星団を双眼鏡で追いかけることに。


双眼鏡で見るDSO

途中方向によっては多少曇っていたりで、かんたろうさんのコーチには全然ついて行けずに、結局星座アプリで天体の位置を確かめなが落ち着いて見ることに。

まず、教えてもらったM6、M7両方を視野に入れることができ、次にM8とM20が見え、さらにバンビの横顔も確認、その上のM16、M17まではっきりと見えました。他にも星座アプリで確かめながらNGC系をいくつか見ました。双眼鏡でも明るいDSOなら十分見えるんですよね。これもまた空が暗い飛騨コスモスならではの観望会なのかと思います。

途中、白鳥座の方に移り、双眼鏡で網状星雲の「い」の字の一画目が見えたのは感動でした。残念ながら2画目は淡すぎて私での目では見ることができませんでした。

でも今日はもっと感動したことがあったのです。双眼鏡観察をしばら続けていると、かんたろうさんが「45cm出せば良かった」と悔やんだ声を出しはじめました。あまりの空の良さに、結局再度ドブも組み立てることに。ついでに私も、再度電視観望機材を出して目的のUranus-Cの評価です。


電視観望

この時点で23時半頃、月が出るまで1時間の勝負です。

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まずは最初にお客さんには見せたM27。本当は羽根が出るまでスタック時間を稼ぎたいのですが、数もかせぎたいので1対象あたり5分に限ります。

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1ショットあたりの露光時間は6.4秒ですが、ゲインを失敗して350に抑えてしまいました。ゲインは最大800まで上げることができるのでもう少し攻めてもよかったかもしれません。ASI294MCの最大ゲインが570なので、上げられるゲイン幅が23dB分の14倍くらい大きいことになります。ここら辺も回路関連の技術が上がっているせいでしょうか。また、オフセットも数値だけ見ても500まで上げることができます。実際にオフセットが上がる量も画面を見ているとわかりますが、(実用上はどうあれ)かなり大きなところまで上がるようです。

あと気づいたのが、ノイズが小さいことです!ヒストグラムを見ても、山の幅がかなり小さいです。DPSが効いているのでしょう、ホットピクセルの数もかなり少ないです。でも全くの0ではなくて、いくつか目に止まるくらいは存在しています。


次は北アメリカ星雲。今回は90度回転が合ってなくて、縦横が逆になってしまっていますが、ASI294MCの時にはペリカン星雲も込みで全景を入れてもまだ余裕がありますが、Uranus-Cではちょうど全景がぴったり入るくらいでしょうか。

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同じようにどこまで入るか見ようとして、近くの網状星雲を入れてみましたが、なぜか全く出てきませんでした。位置が間違っていた可能性もありますが、もしかしたら大きすぎて入らなかった?とにかく時間がないのでスキップです。

同じく近くの三日月星雲です。

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この時間、ほぼ天頂に近く経緯台の最も苦手な領域になります。少しの時間での移動に追いつくために、大きな回転が必要になるため、6.4秒毎の露出で星が流れてしまっています。

次は南の天の川を見ようとしたら、いつの間にか雲に覆われています。しかたないので秋のアンドロメダ銀河へ。こちらも大きさの比較がしやすいです。うん、FMA135とUranus-Cだとアンドロメダ銀河は画角的にぴったりですね。

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あとはどこまで分解能があるのか見るためにM57を導入します。ピクセルサイズがASI294MCより1.5分の1くらい小さくなるので、分解能は少しマシになります。それでもジャギーは見えています。
05_M57


45cmドブで衝撃的なことが

と、ここらへんで全面が曇ってきました。先のM57は雲の影響もだいぶ受けています。電視観望はこの時点で終了なのですが、実は電視観望の間、ずっとかんたろうさんの叫び声が響いていて、「(何々が)入ったよー」との招集でHさんと私は45cmドブを覗きにいきます。

今回も色々見せてくれました。M13の中心のベンツマーク型の暗黒帯とか、銀河がすぐ隣の恒星のゴーストに見えるのとか、他にも色々見せてくれたはずなのですが、M57のインパクトがありすぎて記憶が飛んでしまっています。

なんと今回M57に明らかに色がついて見えたのです!もちろんすごく淡いのですが、中心付近は青色、外に行くに従って緑色、大外枠の細いラインで少し赤っぽい色も見えていたかもしれません。青と緑については、見間違いとか、錯覚とか、偶然とかいうレベルとは一線を画します。70倍の時には色がよく見え、逆に360倍で大きく見たときには色は認識できませんでした。これは明るさの違いかと考えています。そもそも淡いので、70倍の方がより単位面積当たりの光子として情報が目に入ってくるのでしょう。さらに、後で画像で色を確認すると、中の方が青に近く、外に行くに従って緑、外側が赤なので、見た色と実際に合っています!

ところが、かんたろうさんは色はそこまでではなかったみたいです。多分一つ理由があって、私はずっと電視観望でPCの明るい画面を見ながら、呼ばれるたびにドブのところまで行っていたので、暗順応が全くできてなかったのです。PCの画面を離れてから30秒後くらいにドブを覗いていたとかいう状況でした。そのことを話すと、かんたろうさんもスマホの画面をみて暗順応を崩していましたが、あまり改善はされなかったようです。

とにかく今回、初めて目で見て星雲に色がつきました。これは2016年に星を初めて、6年越しの達成です。もともと、この星雲の色を見たいがために電視観望に走っていたようなものなので、これは私にとってはそうとう大きな出来事です。

輝度の明るい星雲、例えばオリオン大星雲とかも、この暗順応させない方法で一度試してみたいです。


とうとう撤収

午前1時頃には高層の雲が全面にかかってしまい、全体が霞んだ星空になってしまいました。東の方が少し月で明るくなってきた気もします。流石に皆さんそろそろ撤収です。私も電視観望だけだったので、すぐに片付けることができます。かんたろうさんもドブを片付け終わってます。大きさの割に出し入れがかなり早いという印象です。HさんがEM200で新しい機材のせいか、少し時間がかかってきます。私も眠気が出てきて、このままいると寝てしまいそうなので、先に帰宅することにしました。


画像処理

次の日(日曜の今日)、電視観望で5分ライブスタックで保存したM27だけ少し画像処理してみました。といっても処理に掛けた時間は15分ほどで、ライブスタックで保存したFits画像を、PCCで色を補正して、ASでストレッチ、StarNetで恒星と背景を分離して、Photoshopで簡単に仕上げただけです。

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たかだか5分でこれくらいにはなるので、もっと時間をかければさらに見栄えは良くなると思います。

Uranus-Cですが、心配していたピクセルサイズの小ささは電視観望でも大した問題ではないようで、十分に天体を見ることも、ある程度の観賞用の画像にすることもできそうです。というか、ノイズも小さいし、感度も悪くないし、センサー面積もそこそこ、DPSでホットピクセルも少なく、かなり使い勝手の良いカメラだと思います。Player Oneの中でもセンサー面積だけ見たら電視観望に最も向いていると言えますし、ASI294MCと比べてもホットピクセルが少ないのは明らかに利点になります。値段的には税込みで6.5万円程度。ASI294MCが税込みで10万ちょいなので、値段的にも少し差があります。

前回のSV405CCもそうでしたが、2017年に発売されたASI294MCが長いこと築いていた電視観望ベストカメラの牙城も、少しづつというか、やっと崩れ始めてきた気がします。


まとめ

天気が微妙な観望会でしたが、それでも最初の1−2時間はお客さんも星を楽しめましたし、小雨の後の快晴では双眼鏡でのDSOや、45cmのM57で色がつくなど、かなりインパクトが大きかったです。目的のUranus-Cの電視観望も時間はあまり掛けられなかったですが、ほとんどの目的は達成できました。ずっと思い出に残るような、ある意味とても感慨深い観望会になりました。

これまでに5回、番外編2回も合わせると、7回に渡ってSV405CCの評価をしてきました。

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  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露
青ハロが大きな問題でしたが、なんとか解決につながる道は示せたのかなと思います。SVBONYによると、NINAでの解決はまだのようですが、いずれ解決されるでしょう。

解決されたNINAでの撮影、もしくはディザー無しでのSharpCapで撮影までしたかったのですが、ずっと天気が悪くできてません。そんな折、SVBONYさんのほうからそろそろあぷらなーとさんに送って欲しいとの連絡が来たので、今回のまとめを以ってSV405CCの評価は終了としたいと思います。


いきなり総評

まず結論から言うと、色々まだ未成熟なこともありますが、長い目で見ると明らかにこのSV405CCは「買い」ではないかと。

まずはいい理由を箇条書きに書いておきます。
  • 冷却で、フォーサーズセンサーで税込みで10万円切りと相当な安価。今回比較した同じ冷却で同センサーASI294MC Proと比べると5万円ほどの価格差があります。これは大きな利点です。
  • ホットピクセルがASI294MC Proと比べて明らかに少ない。
  • NINAの撮影では現状は青ハロが問題になるが、ソフトの問題と判明したのでいずれ解決されるはずでこれはもう大きな不利にはならない。

逆にASI294MC Proと比べて不利な点は
  • カメラ本体にUSBハブが付いていない。
  • 冷却で曇ることがあったが、時間をおけば曇りはとれる。
  • 必要冷却パワーが少し大きい。
  • なぜか撮影の最初の1枚目が暗く写ってしまう。
くらいでしょうか。 

次に、用途別に考えます。

電視観望での使用について

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電視観望ではホットピクセルがASI294MC Proよりも明らかに少ないので、いちいちリアルタイムダーク補正をしなくてよくて、圧倒的に有利です。特に露光時間やゲインを頻繁に変えるような電視観望をしている場合は、ダーク補正をしなくていいとうことはテンポよく見るのに大きな差が出ます。この特性ですが、Player OneのDPSのようにあらわに機能として謳っていないのですが、何か内部でしているのかと思われます。もっと宣伝してもいいと思います。また、SharpCapでは青ハロ問題もないので、現時点で不利になるようなこともありません。

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左がSV405CC、右がASI294MC。
右にある赤、青、緑の輝点が左にはないのがわかる。

私は電視観望で冷却を使うことがなく、軽さも含めて普段はProでないASI294MCを使うことが多いです。なので冷却が付いているSV405CCはその分重くもなり不利と考えてしまうのですが、冷却を使って電視観望する方にとっては重さのことは不利にならないでしょう。この場合、電視観望に限って言えばASI294MC Proよりホットピクセルの分だけ有利ということが言えます。

電視観望での見え味に関しては、ASI294MCもSV405CCもホットピクセルの有無以外はほとんど違いはありませんでした。なので私としてはトータルではSV405CCに軍配が上がるという判断です。


天体写真の撮影用途について

冷却CMOSカメラなので、本来は天体撮影の方が主目的です。

今のところ対応しているのはSharpCapとNINAのみです。実際の撮影を考えると、SharpCapでは依然ditherガイドがやりにくので、NINA一択になります。APTドライバーも開発中とのことですが、もう少し時間がかかるようです。

現状ではNINAでは青ハロや恒星の中心抜けを避けることができないのですが、これは時間が解決してくれるでしょう。いますぐ撮影をしたいという方は、これら欠点を画像処理で補正するのが許容できるかどうかにかかってくると思います。今すぐ青ハロなどの処理なしでフォーサーズカメラが欲しいという場合はASI294MC Proをお勧めします。とりあえず問題を許容して、後の解決を待てるという場合は、値段のことも考えるとSV405CCがかなり強力な候補になってきます。

あと一つ残念だったのが、アンプグローです。120秒以上の露光ではアンプグローが緩和されるという触れ込みだったはずですが、今のところ私は確認できていませんし、他で確認できたと言う話も聞いていません。とはいえ、アンプグローはASI294MC Proも同じ状況で、特にSV405CCが不利になると言うわけでもなく、またこれまでのASI294MC Proからの経験でも、今回のSV405CCでの撮影でも、適したダーク補正をすることでこのアンプグローは鑑賞に影響ないレベルで解決できることがわかっています。

現段階の青ハロと中心抜けを除いては、撮像結果に関しては特に不満はなく、私程度の腕の画像処理で仕上げたものでもこれくらいの写りにはなります。

「M8: 干潟星雲とM20: 三裂星雲」
masterLight_180_00s_FILTER_NoFilter_ABE2_mod_cut_

「北アメリカ星雲とペリカン星雲」
Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT3_cut_tw

明るい天体で写しやすいとはいえ、自宅の庭撮りでここら辺まで出るなら個人的には十分満足で、カメラの性能としてはもう不満はありません。逆にこの値段と、青ハロも中心抜けもじきに解決されるであろうことを考えると、このSV405CCは十分な買いだと思います。これが最初に書いた「買い」の根拠です。


そーなのかーさん

今回の評価の過程で、そーなのかーさんが随時面白い結果を出してくれていました。特に、同じように青ハロや星の中心が抜けることも示してくれたのはとても心強かったです。

とにかく変な結果が出ると、自分が全くおかしなことをやっていないかとか、変に間違ったことを公表して悪評が立ってしまいメーカーに迷惑をかけないかとか、色々心配になります。そのために結果の判断には相当に慎重にならざるを得ないのですが、そーなのかーさんのように他の方が同様の結果を示してくれると、すくなくとも他の環境でも再現性はあるということがわかるので、かなり気が楽になります。

このブログ上でのお礼で恐縮なのですが、改めまして、そーなのかーさん、どうもありがとうございました。

また、そーのなのかーさんは暗電流も直接測定しているなど、私なんかよりも遥かに先に進んでいろいろ解析されていて、素晴らしい結果を出しています。今後とも結果に注目したいです。




SVBONYについて

今回SVBONYさんの方からSV405CCをレビューして欲しいというオファーがあり、一連のレビューを進めてきました。担当の方がおそらく中国の方かと思いますが、私とは日本語でやりとりをしてくれていたので楽で助かりました。多分機械翻訳を使っていると思われ、たまに???な場合もありましたが、意思疎通は普通にでき、深刻なことは何もありませんでした。海外の方とももう機械翻訳で普通にやりとりできるレベルになっていると実感できます。

SVBONYのいいところは、ユーザーからのフィードバックにものすごく早く対応しているところでしょうか。その一方、不満としてはユーザーを使ってある種βテストをしているような状態とも言えなくはないので、少なくとも最初のHCGモードさえオンになっていなかったドライバーの出来を見るに、リリース前にもう少しテストして欲しかった感もあります。

まあ、リリースも当初聞いていた時期から1ヶ月近く遅くなっていたので、いろいろ苦労があったであろうことは容易に推測できますし、まだ冷却カメラとしては初めての機種なので、トラブルがあるのも仕方ないのかと思います。経験をどんどん積んでもらって、今後も求めやすい価格でいいものを提供してもらえれば、ユーザーとしては選択肢が増えて嬉しいのかなと思います。


さようならSV405CC

さて、SV405CCは本日をもってあぷらなーとさんのところに旅立ちます。あぷらなーとさんは骨折の入院から復帰されたばかりとのことなのですが、もう送っても大丈夫とのことだそうです。あぷらなーとさんの評価がどんなふうになるのか、今から興味深々です。


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